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CDSの話題三題

(その1:リストラクチャリング・クレジットイベント)
もはや風前の灯の感さえ漂うギリシャ国債をどのように処理するのか、どうすれば格付会社にデフォルト扱いされないか、どうすればCDS市場でクレジットイベントが認定されないか、散々話題になっているが、その傍らでひそかに(?)、JVCケンウッドが昨日金曜日に債券をリスケジュールする意向を表明した。

まだ提案段階ではあるが、8月8日の社債権者集会で条件変更が承認されれば、償還期限の延長というリストラクチャリング・クレジットイベントの一項目に該当するとして、同社を参照するCDSにおいてクレジットイベントが認定される可能性がある。認定されれば、日本銘柄としては昨年の武富士以来久々のクレジットイベントとなる。

細かいことを言えば、条件変更した事実が公となるかどうか、当該条件変更は同社の信用力・財務状況の悪化に起因するものかどうか、といったチェックポイントをクリアする必要がある。特に後者については主観的な判断となることから、すんなりとコンセンサスが得られるか、現時点ではなんともいえない。デフォルト寸前に追い込まれた上での債務返済期限の延長ではないが、財務に全く問題がなければこのような提案はしないとの考え方もあろうか。米国では数年前にリスケが信用力の悪化によるものかどうか議論となった事例があったように記憶するが、日本ではおそらくはじめてのケースであるだけに、注目されるところだ。

(その2:クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)とは)
今朝の日経新聞一面の囲み記事でCDSの用語解説が掲載されていた。金融危機以降、何度もCDSの用語解説を目にしたが、商品性が不変であるのにもかかわらず、新聞の解説は毎回結構異なっていた。2008年には「損失肩代わり商品はCDSと呼ばれる」と解説した日経だが、今回は「債券などのデフォルト(債務不履行)リスクを取引する一種の保険商品」と、まあギリギリ合格点はあげられる内容だ。それにしても、『用語解説』ってデータベースから引用するのではなく、毎回記者が考えるものなのだろうか、、、。

(その3:CCP(中央清算機関)の稼動)
こちらも今朝の日経新聞、「証券5社CDS清算利用開始」との記事。来週から、日本でも一部の市場参加者がCDSを取引する際に清算機関(CCP)を利用するとのこと。こちらについても、一昨年のG20合意後、「CCPはデリバティブ市場を安全にするものだ」との神話(?)に基づき、世界各国でCCPの導入が進められているが(現状ではごく一部の取引限定だが)、何年かたって、どれだけリスク削減効果があったのか、しっかりと検証する必要があるだろう。

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2011.07.16 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

リプロファイリング

ギリシャの財政問題がいよいよ袋小路に突入し、国債の「満期延長」「元本ヘアカット」「不払い」などの可能性が方々で口にされている。国債の条件変更は、「リスケ(reschedule)」「リストラ(restructuring)」「リプロファイリング(re-profiling)」などと称されている、どのように”かっこよく”表現しようと、現在の支払い条件では払いきれないので変更が必要であることには変わりはない。

欧州の政策当局者には、「(CDS)のクレジットイベント(信用事由)に該当するような形での条件変更はありえない」と強調する人が多い。なぜイベント該当を回避したいのかは定かではないが、想像するに、「市場が大混乱し、システミックリスクに発展しかねない」「ギリシャの面子がつぶれる」「プロテクションを買ったヘッジファンドを利することになる」、といったあたりが頭にあるのではないか。そうだとしたら、CDS市場に対する理解不足と言わざるを得ない。

CDSのクレジットイベント決済は近年多数の事例を積み重ね、今では大きな混乱もなく淡々と決済されている。金融危機の真っ只中の2008年秋でさえも、Lehman Brothers、Fannie Mae、Freddie Mac、Washington Mutualといった超大型のイベントがスムーズに決済された。ギリシャが当事者となっているISDAマスター契約の早期終了事由に引っかかると、あらゆる種類のデリバティブ取引が早期終了となり、債権・債務額の確定やポジションの再構築など、結構ややこしいことになるが、CDSのクレジットイベント決済がシステミックリスクにつながることは非常に考えにくい。むしろ、国債の保有者に損失を強いておきながら、クレジットイベントが認定されないと、CDSのヘッジ効果に対する懸念が高まり、欧州国債を市場売却せずにCDSでヘッジしていた投資家などが、アイルランド国債やポルトガル国債を売却を進め、こちらの方がシステミックリスクを引き起こしかねない。

イベント認定が「面子がつぶれる」ことになるかどうかはなんとも言えないが、政府機関(Fannie&Freddie)や業界最大手の企業(GM、Xerox)ですらイベントを経験した後に、いまでは普通に債券を発行しているくらいだから、新聞ネタを提供する程度で済む話ではないか。

当局者が目の敵にしているヘッジファンドは、イベント認定を待たずに、もうとっくに反対売買によって利益を確定して、次の獲物を狙っていそうな気もする。

また、「クレジットイベントに該当しないように格付会社と相談している」という発言を耳にしたが、ちょっと相談する相手を間違えているのではないかという気もする。クレジットイベントは、大手ディーラーや投資家で構成されるグループの投票によって認定され、認定プロセスに格付会社が入り込む余地はない。

いずれにせよ、そう遠くない将来に決着がつくことも予想されるが、「海水を注入したら再臨界するかもしれない」に類する政策当局者の不理解による市場の混乱だけは避けたいものだ。

2011.05.29 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

CCPって本当に必要か

大御所John Hull氏とのインタビューの内容がIFR誌(5月14日)に掲載されていた。私など、比較的古くからデリバティブの実務にかかわってきた人間にとっては、CCP(中央清算機関)を活用してもカウンターパーティー・リスクの軽減につながらず、むしろネッティング効果の喪失、リスク管理のモラルハザード増加、新たなToo Big To Failの存在の誕生、事務コスト管理コストの増加、といった副作用ばかりが目に付いてしまうのだが、Hull氏もCCPの有用性には懐疑的のようだ。

Dodd Frank法が5年前に導入され、店頭デリバティブの70%がCCP経由で取引されていたとしても、今次の金融危機を回避することはできなかっただろう、とHull氏は主張する。CCPが管理できるのは、普通の金融機関であれば誰でも容易に管理できるようなプレーンな取引だけであり、AIGが取引していたような難易度が高い取引がCCPの対象となることはない。現在、プレーンな取引をCCPにのせようとする動きが全世界で進行中であるが、次の金融危機は現在はまだ開発されていないような非標準的な取引によってもたらされるだろうとのHull氏の主張は説得力がある。

それではCCPは市場の透明性を高めるかというと、DTCCなどのTrade Repository以上に実務的に有用な情報をどれだけ提供するのか、疑問が残る。仮に、有用な情報が追加的に確保できるとしても、それをモニタリングして危機の芽を事前に摘むだけの能力を当局が持ち合わせていなければ意味がない。むしろ、デリバティブよりも取引残高の大きい現物市場の透明性を向上させることのほうが先決のようにも思われる。例えば東京電力、CDSの残高は数100億円単位だが、5兆円ある東京電力の社債をどこの誰が保有しているのか、きちんと把握したいと思っている関係者は多いだろう。

2011.05.22 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

UK FSA / UK Treasuryの報告書

先日英国の金融当局(FSAと財務省)から発表された報告書(Reforming OTC Derivatives Markets: A UK Perspective)を読む。

米国やユーロで進められている店頭デリバティブ市場の改革について、英国の金融当局としての見解をまとめたもので、規制当局としてはバランスのとれた見解との印象を受けた。総論としては清算機関の導入に向けたグローバルな動きを支持しながらも、制度の変更にかかるcostに見合うbenefitがあるのか、市場機能を阻害するriskをもたらしていないか、慎重に再考する必要があると強調している。以下は報告書の概要を簡単にまとめたもの。


・店頭デリバティブ取引は、事務処理の効率性を高める目的などにおいて、さらに標準化(standardisation)を進めることが望まれる。一方、事業会社などのエンドユーザーなどにおける個別のリスク管理の要請に応えるために、清算機関の対象とならない標準化されていない(bespoke)取引も必要である。

・標準化された取引がすべて清算機関に適しているとは限らない。清算機関自身のリスク管理上の要請(参加者の破綻時のポジション再構築の必要性等)から、清算の対象となるのは標準化された取引のなかでも市場流動性が高く価格が常時入手可能なものに限られる。清算機関自身の破綻はシステミック・リスクを引き起こしかねず、清算機関が満足にリスク管理できない取引を制度などによって強制的に清算の対象とすることは好ましくない。

・こうした理由で「標準化された取引はすべて清算機関の対象として義務付けるべき」といった趣旨の法案などには賛同できない。清算機関の利用を”推奨”することはいいとしても、清算機関枠外でより適切なリスク管理が行なわれるケースもあり、これを”義務付け”するべきではない。また、清算機関の利用を動機付けるために、清算機関の枠外の取引に法外に高い資本上のペナルティを課すことは好ましくない。流動性が不十分で清算機関のリスク管理が困難な取引を無理やり清算機関経由で取引しようとするインセンティブを生みかねない。

・清算機関の対象となる取引は清算機関において、対象とならない取引は相対で、それぞれ適切な担保契約などによるリスク管理が必要である。相対取引における担保契約(CSA)は、Lehmanの破綻時にも機能するなど相応に効果のある枠組みで、今後も継続的に利用されることを推奨するが、取引の値洗い頻度を高めるなど改善の余地は残る。事務的な理由などで、担保契約の利用が困難である場合は、適切な資本賦課(capital charge)で対応すべきである。

・店頭デリバティブ市場の取引情報は、適切な範囲で規制当局や市場参加者に公表されるべきである。一方、必要以上に詳細な情報の開示を要請することで、(流動性が低いポジションの反対売買を行なう必要がある)市場参加者の取引意欲を阻害して市場流動性の低下を招きかねないこと、透明性のメリットに比して市場参加者の事務的な労力が法外に高くならないようにすること、といった点には留意が必要である。

・店頭デリバティブ取引に清算機関の利用を義務付けることによって、テーラーメードなヘッジが不可能となったり、流動性の乏しい市場で清算機関を維持していく必要性を生むなどの弊害が生じうる。清算機関の利用以外にも、リスク管理や市場の透明性改善を推進する方法は存在することから、当局は市場のフレームワークを大きく変化させるような規制の導入には慎重になるべきである。


先日の新聞記事のように、現在でも「清算機関の利用が絶対的に正しいグローバルスタンダードであり、これを回避しようとする”姑息な”動きは封じ込めるべきである」といった上滑り的な発想がマスコミにも政治家にも存在するように思うが、この報告書が示唆するように、もう一度原点に返って、意味のあることを意味のあるコストの範囲で行なおうとしているのか、考えてみることも必要であろう。

2009.12.23 | Comments(2) | Trackback(0) | CDS

OTCデリバティブ クリアリング

OTCデリバティブ市場にクリアリング(以下CCP)を導入する動きについて、お話を耳にする機会があった。(以下は欧米市場における話)

相対で取引されるOTCデリバティブは、A社とB社が取引を行なうと、取引の終了日までA社とB社が取引当事者として向かい合う。ここにCCPを導入すると、A社とB社で取引締結後、「A社とCCP」・「CCPとB社」という二つの取引に分解され、A社もB社もそれぞれCCPと向かい合うことになる。

グロスで400兆ドルほどの残高を有する金利スワップの場合、ディーラー間市場では以前からCCPが一部利用されており、推計では市場の半分程度の取引がCCP経由となっているようだ。グロスで30兆ドル規模の残高を有するCDSの場合、今年の3月からCCPの利用が始まり、現在は市場全体の1割程度がCCP経由となっている。

海外では、CCPの利用は元々は民間主導でその是非が検討されていたが、金融危機の発生以降は、規制当局や政治家による強いプレッシャーに後押しされるようになった。規制当局や政治家の主張は国によっても異なるが、大まかには、厳しいものから順に、

① そもそもデリバティブ取引は禁止するべきだ

② 投機的なデリバティブ取引は禁止するべきだ

③ デリバティブ取引による空売りは禁止・もしくは厳しく規制すべきだ

④ すべてのデリバティブ取引は取引所経由で行なうべきだ

⑤ すべてのデリバティブ取引は取引所もしくはクリアリング経由で行なうべきだ

⑥ 取引条件が標準的なデリバティブ取引は取引所もしくはクリアリング経由で行なうべきだ(標準的でない取引も当局への報告は義務付ける)

といった感じかと思う。これに、ディーラーではないエンドユーザーにも同様の規制を求めるか、CCPは地域ごとに設置すべきかどうか、といったような議論が絡んでくる。

さすがに、①を主張する人は、技術開発自体の否定(例:飛行機は事故やテロのリスクがあるので、これを禁止して歩いて移動すればよい的な発想)につながると気がついたのか、最近ではあまり見かけなくなった。②や③を主張する人は根強くは存在するものの、市場には実需で取引する参加者と投機で取引する参加者が共存してはじめて高い流動性が期待できるという考え方が浸透しつつあるせいか、少数派のようである。

④を主張する人は多いという印象を受ける。すべてを取引所経由にすれば透明性と流動性が確保できるというのが根拠かと思われるが、日本の個別株オプション取引のように、取引所取引にしても流動性が低いままというケースもある。流動性は、相対取引か取引所取引かというよりも、取引の需要が高いか低いかによって決まる部分が大きいように思う。

⑤は④よりは現実的であるが、取引条件が標準的でない取引をCCP経由とすることは困難であり、妥協案として⑥に落ち着きつつあるといったところだろうか。

⑥の問題は、「標準的な取引」の定義である。CCPにのせる以上、流動性が確保され、日々値洗いされる必要があるが、金利スワップでもCDSでも、毎日あらゆる年限・銘柄・通貨の取引が行なわれたり・気配が提示されているわけではない。CCPにのせるにふさわしい、本当に流動性が高くて標準的な取引は意外に多くはないようにも思われる。

市場参加者による意図的なCCPの利用回避を防ぐために、CCPを経由しない取引には高いキャピタルチャージを賦課するという方向性もあるようだが、これも必ずしも名案ではないように思う。「CCPを利用し、元本の10%程度の担保を拠出」というケースと、「CCPを利用せず、元本の50%程度の担保を拠出」というケースでは、後者のほうがリスク管理的には望ましいとも考えられ、むしろ「高いキャピタルチャージが課されるなら、CCPを利用しない取引ではなるべく担保の拠出を減らそう」というインセンティブが働きかねない。

といった感じで、大きな方向性は見えてきたものの、実践に至る過程にはハードルも多く、まだまだ時間がかかりそうな雰囲気である。これだけ多くの人の時間と労力を使って、「全て相対モデル」から「一部相対・一部CCPモデル」に移行するメリットやリスクの削減効果はどの程度期待できるのかと、ふと考えてしまった。

2009.11.03 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

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