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排出量取引市場の行方-洞爺湖サミットを終えて

ちょうど洞爺湖サミットが開催されている間、休暇で海外に行っていた。洞爺湖サミットの初日、ホテルの部屋でCNNのニュースが流れていたのでぼんやり観ていると、ヘッドラインニュースのアフガニスタン、パキスタンの自爆テロに続いて洞爺湖サミットのニュースが流れてきた。日本では過熱気味に報道されているのに、なんだ3番目か、と少し拍子ぬけ。そして、ブッシュ大統領とサルコジ首相、メルケル首相なんかが握手しているシーンが次々と映しだされるのに、ホストであるはずの福田首相が全く画面に映らない。あれ、うそ?と思っていたら、本当に全く映らないままニュースは終わってしまった。

そんな存在感が薄い福田首相だが、トロント大学のサミット研究機関が福田首相のリーダーシップを「A」と評価していた。その理由は『「サミットの成功をブッシュ米大統領から引き出すことに賭けた。ギャンブルだったが、うまくいった。真の指導者だ」と手放しで褒めあげ、「A」評定をつけた』(読売新聞)ということのようだ。ブッシュ大統領対応がうまくいったからって、リーダーシップがあるのとは違うような気もするが、まあ地味だけど無難にまとめたという意味では、私利私欲丸出しのサルコジ大統領がやったよりも良かったのかもしれない。

今回のサミットの焦点は地球温暖化対策であったが、具体的な数値目標の合意はなかったものの、洞爺湖サミットに向けて日本国民全体が地球温暖化問題を意識し、CO2排出を削減することに努めるようになったという意味では評価できると思う。また、福田首相も議長として何かしらの成果を上げようと「福田ビジョン」なるものを公表したりもした。福田首相は排出量取引制度の導入に前向きであり、それまでは排出量取引推進派の環境省と反対派の経産省が、傍から見るとあまり建設的ではない論争を繰り返していたが、首相の強い(?)意思を受けて排出量の流動化・市場化に向けて具体的な検討が始まった。これは大きな変化だ。市場メカニズムの導入にはいまだ賛否両論があるが、京都議定書の数値目標を達成するためには避けられないものだと思う。今後、京都クレジットのセカンダリー市場が育つのは時間の問題である。

現在、国連承認のCDMプロジェクトの件数は1,115件、日本が行っているCDMはそのうち139件であり、イギリスに次いで2番目に多い(2008年7月6日現在。京都メカニズム情報プラットフォームより)。日本にとって、京都議定書の目標を達成するためには、CDM事業から得られるCER(CDMに基づいて発行されるクレジットであり、CDMを管理する国際組織であるCDM理事会による温室効果ガス排出削減プロジェクトの登録と排出削減量の検証を経て発行されるもの)に頼るところが大きい。そのCDMには、理論上得られるであろう排出削減量と、実際に得られる排出削減量との差が事業リスクとして存在する。日本が行っているCDMの約半数が対中国であるが、四川大地震などの影響から、そのCDMから安定的かつ十分な排出削減量が得られなくなってきているという。予想通りのクレジットが得られないということは、企業の事業リスクが高まっているということになる。もちろん、キャップがないので義務ではないが、エネルギー関連業者など、排出なくして事業を行えない企業にとっては、セカンダリー市場でクレジットが調達できることができれば事業リスクのヘッジにもなる。

投機マネーによる実需と関係ない価格の乱高下など、市場メカニズムの悪い側面ばかりが強調されがちであるが、その価値を無視するわけにはいかない。経済界の抵抗もあり、まだまだ時間がかかるという人も多いが、1年前を振り返ってみれば、この変化は驚くべきものであり、これから1年後の市場を考えるとちょっとワクワクする。

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2008.07.12 | Comments(0) | Trackback(0) | 環境問題

排出量取引制度創設に向けて

政府は洞爺湖サミットに向けて、気候変動問題取り組みの動きを加速させている。24日に鴨下環境相が、温室効果ガスの排出量取引導入を加速する本邦における組織「日本カーボンアクション・プラットフォーム」(JCAP)を発足させることを明らかにした。これは、EUを中心に昨年秋に組織し、排出量取引のルール作りを目指すInternational Carbon Action Partnership(ICAP)の日本版といえる。JCAPの役割として、キャップ&トレード型の仕組みに関する情報交換が含まれており、環境省の排出量取引市場創設に積極的な姿勢が見て取れる。

この、キャップ&トレードとは、政府が温室効果ガスの総排出量(総排出枠)を定めて、それを個々の主体(業界レベル、企業レベル、工場レベルなど)に排出枠(キャップ)として配分し、個々の主体間の排出枠の一部の移転または獲得(トレード)を認めるものである。この、業界や企業に枠をはめることによって、日本企業の国際的競争力を失速させてしまうということで、いまだに産業界からの反発は強く、産業界代表である経済産業省はキャップ&トレード方式の取引制度に積極的ではない。また、政府や学者の間には、キャップ&トレード取引制度を導入 → 排出量(枠)が金融商品の一つとなり、その結果、需給と関係のないところで価格の乱高下を招くのではないか、という懸念がいまだに聞こえてくる。特に最近の原油価格の値動きがその懸念を増しているのだろう。たとえば、原油価格が上昇するとなれば、石炭などの代替燃料に頼らざるを得ず、その結果CO2排出が増え、電力会社などはそのキャップを超える可能性が高くなり、排出量(枠)の価格が上昇するといった具合に、枠をはめることによりその他の市場価格との連動が強まってくることになる。また、昨年7月の新潟中越地震発生時に火災が発生し柏崎刈羽原子力発電所の機能停止といった事件があったが、排出量取引市場があったとしたら、市場は大混乱したかもしれない。環境問題という人類にとって純粋で高潔な問題を、マネーゲームにしてほしくないという気持ちはわからないでもない。然はさりながら、90年比6%削減という絶対的な目標があり、企業の自助努力だけでは達成が難しいことは事実である。そのためには、市場メカニズムを用いて流動化を高める必要がある。

そのキャップ&トレードに消極的な経済産業省から、26日に京都クレジット(京都メカニズムにおいて取得や移転が可能な排出割当量や排出削減量)の流通基盤整備のため、金融商品取引関連法制、割当量口座簿制度、京都クレジットの法的性格等における各種論点を整理した最終報告書を公表した。制度的枠組みそのものには触れられていないが、早ければ2013年には導入されるであろうキャップ&トレードの市場のインフラ整備基盤として興味深いものだ。特に、決済に関する点は金融商品として安定的に取引するためには非常に重要である。

金融市場では当たり前なことであるのだが、以下のような点が整備される必要がある。
1. 現物と現金の同時履行性
2. 受渡日の確定および短縮化(割当量口座簿の法定管理者による京都クレジット移転申請の処理に係る標準処理期間の確定化と短縮化)
3. 決済完了・未了の確認通知
4. 決済がフェイルした場合の遅延損害金を含めた決済実行

金融商品取引関連法制について言えば、今後、取引が広がり、投資家保護又は消費者保護の観点から新たな措置導入の必要性が謳われている。一般投資家が直接排出量取引を行うことは考えにくいが、環境問題にリンクしている点が一般投資家に訴えやすいため、カーボン・オフセットや欧州市場の排出枠価格に連動した商品の小口販売といった形で販売が行われている。今後、一般投資家向けによりわかりやすい開示が必要になってくるであろう。

ちなみに、マスコミなどで一般的に使われる「ポスト京都」(京都後)という言葉だが、京都議定書は具体的な数値目標を定めた2008年~2012年を「第一約束期間」と呼んでおり、マスコミが「ポスト京都」とする2013年~2018年は、数値目標はまだ定められていないが「第二約束期間」と呼ばれ京都議定書の一部である。厳密に言えば、2012年で「京都」はおわらず、2013年以降もまだまだ続くのである。

2008.06.29 | Comments(0) | Trackback(0) | 環境問題

温暖化いろいろ

昨晩よく眠れず、今日は一日中眠くてうつらうつら、気がつくとすでに外は薄暗くなっていた。今朝洗ったスニーカーをベランダに干していたことを思い出して外に出てみると、干していたはずのスニーカーがない。ベランダを探すと、隅のほうに片方が転がっているのが見つかったが、どうしてももう片方がみつからない。まさかとは思ったが、ベランダから体を乗りだして下をのぞくと、はるか下の歩道に黒いものが落ちている。どうやら強風にあおられて柵を乗り越え落下したようだ。予見可能性はないので不法行為責任は負わないとしても、万が一歩行者に当たっていたら怪我をして大変なことになっていただろう。一気に目が覚めた。それにしても、洗濯紐にしっかり留めてあったはずのスニーカーが柵を越えてしまうほどの強風が吹くとは想像していなかった。温暖化の影響か、最近はよく突風が吹くので気をつけなければいけない。

先日、環境法-地球温暖化の国際制度-のセミナーを受講する機会があった。講義の内容は、温暖化のメカニズム、京都議定書と京都メカニズムの説明などの基本的なものであり、現状を整理するのには役立ったものの目新しい話ではなかったが、講師の高村ゆかり教授の資料にあった、実務家への期待として(温暖化の)『「被害者」の救済』という一文が気になった。ここでいう「被害者」とは一体だれなのか。

被害者は、我々人間を含む地球上の生物すべてであろう。人間は、同時に加害者でもあるので、(後述のイヌイットやツバルの人たちは違うかもしれない)、空に向かってツバをはいているようなものだ。

もう少し具体的に考えてみる。温暖化の被害者についてはさまざまな議論がある。全国地球温暖化防止推進センター(JCCCA)のデータによると、2005年時点の世界のCO2排出量は、アメリカが全体の22.1%を占め、また、国民一人当たりの排出量も19.8トンと世界一の排出国だ。そのアメリカに対して、イヌイット周極会議は、「温室効果ガスを最も多く排出し、温暖化対策に怠慢な米国は人権侵害を行っている」と申し立てを行っている。また、温暖化で海底に沈む国として有名になってしまったツバルは、モルジブなどと共同して、大量排出国にもかかわらず京都議定書を批准していないアメリカやオーストラリアを国際司法裁判所に提訴する動きもあったようだ(裁判費用の関係で実現ならず)。不作為の責任ということだろうが、国際的な問題をある国の問題とすることが可能なのか、またその因果関係等、様々な議論があるところだろう。

京都議定書では、第一約束期間である2008年から2012年までの温暖効果ガス排出量の削減目標が定められている。日本は1990年比6%削減をすることが求められているが、2005年時点で逆に7.1%増加しており、7.1%+6%削減の目標達成が危ぶまれている。では、もし目標が達成できなかったらどうなるのか。非遵守の罰則規定は、2001年のマラケッシュ合意で以下の三点が定められた。
① 達成できなかった削減量の1.3倍を第二約束期間(2013年~2018年)に削減する
② 遵守行動計画の作成(今後どうやって下げるのかを説明する)
③ 排出量取引で海外へクレジット(京都議定書に基づく排出権)を売る資格を失う
つまり、先延ばしにするほど達成目標が高くなり、達成することが難しくなってしまう。また、排出量取引を利用して海外へクレジットを売却できなくなる、ということは新たな被害者を生む可能性がある。現在、日本の企業は京都メカニズムの一つであるCDMや排出量取引を利用して、コストを払ってクレジットを蓄える努力をしている。しかし、もし売却ができなくなれば、せっかく蓄えたクレジットの価値が半減してしまう。国の不作為のために企業が被害者になる可能性があるということだ。

これらの被害者にたいして、救済方法はあるのか。救済方法は、まず温暖化を止めることである。最近は一般にもエコが浸透し、ローソンからもカーボンオフセット商品が販売されていたりする。私もエコバックを利用したり、電気をこまめに消すようにしている。小さな努力ではあるけれど。一方で、排出量が世界二位の中国や五位のインドの経済発展は、世界経済の安定を考えれば非常に重要であり、排出量の削減を同時に達成することは容易なことではないだろう。小さな努力だけでこれらの排出をオフセットすることができるのか。温暖化問題は様々な問題を含み、慎重かつ迅速に対処しなければいけない問題だ。明快な解決方法を見つけるのは簡単ではないが、一加害者かつ被害者として真剣に考えていきたいと思う。


2008.04.26 | Comments(0) | Trackback(0) | 環境問題

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