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邦銀の決算発表を見ての雑感

北米の大手銀行やブローカーの決算発表が一巡し、これから8月にかけては欧州の大手金融機関や保険会社、そして日本の銀行・証券の決算発表が続く。昨日・今日といくつかの邦銀が決算を発表したが、あまり本質的でないと知りつつ、つい仕事柄、証券化商品のエクスポージャーに目が行ってしまう。金融安定化フォーラムのガイドラインが出て以来、その開示内容は極めて詳細なものとなった。

もともと日本の金融機関はごく一部の例外を除いて、(その体力に比しての)海外の証券化商品の保有は欧米の大手金融機関と比べて小さい。過去1年間にわたって、各行ともにそれなりに損失を被り、それなりに処理を進めてきた結果、今後よほどレバレッジド・ローン市場が(想定以上に)大きく崩れたり、GSEに不測の事態でも発生しない限り、大きな波乱が生じるような状況にはないと思われる。

実際、今回のディスクロージャーを眺めていて大きなサプライズは感じないのだが、ここ最近のポジション開示のきめ細かさには改めて驚かされる。保有する証券化商品の種別・国別・トランシェ別・ビンテージ別などなど、保有額は細分化されて開示され、これに丁寧な脚注がつけられる。もちろん、質が高い情報は量が多いに越したことはないのだが、これだけの資料を用意する担当者の方の苦労は相当なものだろう。

脚注を見ていると、「CDOはこれだけあるがサブプラムやAlt-Aは限定的」「モノラインのエクスポージャーがあるがすべて高格付けの相手ばかり」「保有するモノラインの保証付き債券の原資産は痛んでいない」などと言った文言が並んでいる。なんだか言い訳がましくも見えるが、ここまでの説明を行なっている背景も少し考える必要がありそうだ。

日本に限った話では全くないが、サブプライム問題が発生して以来、一流メディアや金融機関・規制当局にまで “にわか証券化専門家”や“にわかモノライン専門家”が次々と誕生し、裏付け資産や保有しているトランシェも見ずにCDOはリスクが高いとか、原資産も見ずにモノラインの保証付き債券は危ないとか、AAAだからといって安全ではないとか(これは正しい場合も多いか、、、)、CLOにはサブプライムローンが組み込まれているとか、レベル3の評価はいい加減とか(これも正しい場合もあるが、、、)、例を挙げればきりがないが、数多くの誤解や思いこみが生まれている。その都度、現場の担当者は事細かに実態を説明するのだが、ヘッドラインばかりが先行して、なかなか正確な実態の理解が進まない、という状況があるように思う。正確に説明しようとすればするほど説明が複雑なものとなり、逆にわかりにくくなってしまうという側面もあるのではないか。

ディスクロージャーが充実している現状は非常に好ましいと思う一方で、レポーティングのために使う手間隙と開示の質のバランスが崩れてきているような気がしてならない。


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2008.07.31 | Comments(0) | Trackback(0) | 決算発表

Merrill Lynchによる負の遺産処理

昨日のMerrill LynchのUS ABS CDO super seniorの売却と増資の発表は、今のところ賛否両論で市場の評価は固まっていないようだ。「Merrillはこれで膿を出し切って次へ進める」とポジティブに捉える向きもあれば、「今後も追加損失が発生する可能性があり、それに備えて増資をしたのでは」とネガティブに見る向きもあるようだ。今回の売却がprice discoveryとなって、類似案件を保有している他社の評価に対する影響を懸念する声も聞かれるが、同一案件ではないため、どういった判断になるかは今のところ未知である。

ABS CDOの処分の中身を簡単にまとめると、元本ベースで306億ドル、6月末時点で111億ドルまで評価減していたsuper seniorをLone Starsの関連会社に50億ドルのバックファイナンス付きで67億ドルで売却することで合意した。これによって、第3四半期に44億ドル(111億マイナス67億)の追加損失が発生することになる。バックファイナンスがノンリコースであることから実際の損失が17億ドルを超える部分に関してはリスクが外部に外れていないことになる。

“評価損”と“実現損”の乖離については、十分想定しうる範囲ではあるが、改めて見てみるとやはり小さくない数字である。今さらではあるが、トリプルAの上(=super senior)が元本の22%でしか売却できないのは異常としかいいようがない。ABS CDOのsuper seniorの保有額の大きいUBSやCitigroupが実際に売却しようとしたら、それなりのインパクトとなるだろう(Citigroupの場合はMerrillほどMezzanine ABS CDOの保有割合が大きくないので、まだましな数字になりそうだが)。

この売却によって、6月末に199億ドルあった”long”ポジションが88億ドルに減り、売却した案件に対応するヘッジ取引の解約によって、156億ドルあった”short”ポジションが72億ドルに減り、ネットで16億ドルのlongとなる。72億ドルのヘッジ取引のうち、60億ドルはモノラインでない高格付けのカウンターパーティー(AIGなどか?)と担保契約付きで行なわれ、11億ドルはMBIAと(担保契約なしで)行なわれているとのことである。

売却にともなって関連するヘッジ取引を解約した(する)わけだが、SCAをカウンターパーティーとするCDS8件(XLの金融保証付き)/元本37.4億ドルを5億ドルのunwind feeで解約することで合意している。6月末時点で、“元本37.4億ドル/MTMの勝ち分25億ドル”であったうち10億ドル分をすでに引当てているため、今回の解約の影響は5億ドルのマイナスとなる。解約の交渉を進めているSCA/XL以外のモノラインとのヘッジ取引の元本は121億ドル、MTMの勝ち分は49億ドルで、41億ドルを引当て済みであることから、unwind feeを全く受け取れないという“最悪の”シナリオの場合で追加損失は8億ドルとなる。Longの売却で44億ドル、SCA/XLとのヘッジ解約で5億ドル、その他モノラインとのヘッジ解約で8億ドル、合計57億ドルの損失が第3四半期に発生するという計算である。

立場を変えて、モノラインの視点から見ると、必ずしも悪い話ではないようだ。SCA/XLに関しては、6月末時点で法定資本がマイナスとなる状態であったが、今回のMerrillとのCDSの解約や関連会社間での保険契約の解消合意などによって、なんとか当面の危機は凌いだようだ。この交渉には保険当局も関与し、NY州保険局のDinalloは今回の合意によってSCA/XLの格付けが投資適格級の上の方に回復する可能性があることや、今回のような既存契約の解約・変更(commutation etc)が他のモノラインにとってのモデルケースになると、コメントしている。

SCA/XLは、現状はまだ予断を許せる状態ではなく、今後もMerrill以外の金融機関とも同様のcommutationの交渉を進めるとの意向を表明している。大手金融機関が過去の負の遺産の処理を急ぎ、保険当局が背中を押す中で、モノライン関連の処理が金融システム全体にとってソフトランディングとなる可能性が浮上したと今回のMerrillの事例だけから判断するのは楽観的過ぎるだろうか。

2008.07.29 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

男性棋士 vs 女性棋士

昨日第57期王座戦の予選トーナメントが行なわれ、特別枠で出場する女子プロ棋士4人と男性棋士の試合が一斉に行なわれた。もともと存在する実力差に加えて、持ち時間が各5時間と普段短い持ち時間の将棋が多い女子プロ棋士には不利とも思われる条件設定であるせいか、この棋戦では過去において男性棋士の全勝という結果である。この日出場した女子プロ棋士はタイトルホルダーが中心で、大きな期待がかけられていたが、今回も男性棋士の全勝に終わった。

将棋は1番勝負なら多少の実力差は克服できる競技である。何かで読んだ喩えであるが、プロゴルファーのトップとアマチュアがコースを回った場合、36ホール回れば結果は自明となるが、そのうち1ホールが2ホールくらいはアマチュアのスコアがプロを上回ることもあるだろう。将棋の男女差も同じようなもので、対局を重ねれば男性プロが高い勝率を残すことになろうが、1局1局の対局は水ものであり、”金星”が入る余地は大いにある。清水市代女流王将・倉敷藤花の対男性棋士の成績が27勝117敗、石橋幸緒女流王位の成績が7勝23敗と聞いたが、比較的納得のいく数字である。

直感的には、持ち時間が長いほど”波乱”がおきにくいと思われるが、昨日の勝負も途中は女子プロ側が有利な将棋もいくつかあったものの、勝ちきるまでには至らなかった。持ち時間の長さもさることながら、勝負の時間帯も結果に微妙に影響を与えているような気がする。通常、男性プロの対局は夕食休憩後に勝負が本格化するのに対して、女性プロの対局は普通は夕食前には終了する。昨日のように持ち時間が長い勝負だと、勝負の山場~決着を迎えるのが夜の8時・9時といった女性には経験の浅い時間帯となる。王座戦で女性が実績を残すには、”夜戦”の経験を積むことも必要なのだろうか。

そんな中で、昨日の石橋幸緒女流王位の頑張りには頭が下がる思いがした。午後8時半頃に千日手で引き分け、午後9時頃にスタートした指し直し局でも途中見せ場を作り、不利になってからも手を尽くして頑張って終局は翌日の午前0時23分。決して体が強くない人だけに、その根性・頑張りにはとても勇気付けられる。

2008.07.27 | Comments(0) | Trackback(0) | 将棋

モノライン最後の砦に格下げの可能性?

Moody’sは昨日NY時間の遅くにモノライン保険会社のFSAとAssured GuarantyのAaa格付けを格下げ方向で見直すと表明した。MBIAやAmbacなどの最大手がAaaから格下げされる中で、ABS CDOの保証を避けるなど比較的保守的な運営を行なってきたこの2社のAaaは当面は安定的かとも思われたが、予断は許せなくなってきたようだ。Moody’sによると、格下げしたとしてもAa2を下回る可能性は低いとしている。

FSAについては、ABS CDOは概ね回避してきたが、HELOCやCES等のモーゲージのエクスポージャーの毀損や、asset management業務(GIC等)における資産の劣化について、PershingのAckman氏の“攻撃”の対象となっていた。一方、先般も親会社のDexiaが50億ドルのコミットメント・ラインを設定するなど、親の強いサポートの存在によって他のモノライン大手と比べて資本の増強が相対的にスムーズに行なわれていた。Moody’sは、今後もDexiaのサポートが必要なだけ無条件に行なわれるか定かではないとし、モノライン業界全体が低迷して新規ビジネスの見込みが不透明であることや、レバレッジが高いことから保有資産の損失の想定を厳しくした場合の影響が大きくなりうること等を理由に、Aaa格に値しない可能性があるとしている。

モノラインの今後のビジネスの継続性については多いに疑問の余地はあるが、それにしても最近の格付会社のモノライン格付けの手法変更には違和感がある。AmbacやMBIAの時もそうであったが、新規ビジネスの見込みが不透明であることを格下げ要因にしているが、保険会社の保証履行能力を考える時、必ずしも新規ビジネスを行なうことがプラスになるとも限らないだろう。モデル上の保証ポートフォリオの損失見込みにしても、ここ数ヶ月で急速に厳しくストレスをかけ始めているように見えるが、世の中の動きを見ているとここ最近急に悪化したわけでもない。FSAの資本は$6.5billionで、Moody’sのAaaに必要な最低ラインの数値を上回り、最低ラインの1.3倍を$140millionだけ下回っているが、以前であればこれくらいの数値で格下げすることはなかったであろう。先般の日本国債の格上げのケースも同じと思われるが、はじめに結論ありきで、それに対して後から理屈をつけているようにしか思えない。

今回の声明の最後に、今後は親会社のDexiaの対応次第だといったようなニュアンスのコメントがあったが、Dexiaにしても格付け基準や方針がころころと変わっている間は、どうサポートしていいものか、対応に困るのではないか。

2008.07.22 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

船戸陽子二段、上々のデビュー

先日日本将棋連盟からLPSA(日本女子プロ将棋協会)へ移籍した船戸陽子二段が、本業の将棋で”LPSAデビュー”した。移籍前後に体調を崩して入院していたとのことで心配していたが、一昨日のマイナビ女子オープンでデビューを果たし、昨日のLPSA 1day tournamentでは決勝で石橋女流王位を破って見事優勝した。年齢的にもまだ伸びしろがあると思うので、今後の活躍を期待したい。

全般に、マイナビ女子オープンの予選の結果はLPSAファンとしては少々がっかりした。本選出場13枠のうち、LPSAからは中井広恵LPSA代表が勝ちあがったのみで、他の棋士は全員予選落ちした。残念ではあるが、勝負の世界はシビアであり、大きな意外感はない。実績がない10代・20代の伸び盛りが実績のある中堅・ベテランを破っていくのは男の世界でも同じだし、日頃から研究に時間を使える棋士が勝つのは当たり前のことである。組織の運営、普及・営業活動で精一杯のLPSAの棋士は研究の時間どころか睡眠時間すら確保するのが大変だろう。

棋士は勝ってなんぼで、本業がおろそかになっては元も子もないといった批判もあろうが、それはケースバイケースだと思う。男の世界でも、中途半端に本業で活躍している棋士よりも、本業はからっきしだが将棋界の宣伝塔として活躍している神吉宏充六段の方が将棋の普及やスポンサーの確保にどれだけ役に立っているかわからない。みんながみんな羽生・森内であるわけではなく、ある程度の年齢から本業以外での将棋の普及に力を注ぐのも立派な道なのだと思う。

たとえば、女性への普及、特に若年層への普及は将棋ファンの裾野を広げるためにも不可欠で、誰かがLPSAのように注力する必要がある分野である。LPSAの活躍で将棋ファンが増加し、日本将棋連盟の出版物や免状の売上げが伸びたり、アマチュアの将棋大会が盛況になるといった効果もあるだろう。その意味でも、引き続きLPSAの活動にはエールを送り続けたいし、いつかLPSA内でもより運営に力を入れる人、より普及に力を入れる人、より勝負に力を入れる人、といったように役割分担ができるほど人手に余裕ができる状況になることを願いたい。

2008.07.22 | Comments(0) | Trackback(0) | 将棋

数字だけではわからないもの

NHK土曜ドラマ「監査法人」が19日に最終回を迎えた。3回目からみ始めたのだが、とても面白いと思った。(特に第3話、4話あたりはかなり真剣に見入ってしまった。)自分は会計が専門ではないので実は正しくない部分もあったのかもしれないが、非常に人間くさくて生々しい、公認会計士と監査を受ける企業の世界がドラマティックに描かれていて、勉強になることも多かった。(公認会計士協会も気合が入っているようで、HPでこのドラマを推奨している。)当然、このドラマはフィクションとされていたが、かなり事実を意識していたと思えるシーンも多く(財政監督庁が東都銀行の強制捜査並の検査を行っていたシーンはかなりリアリティがあった)、ちょっとした大河ドラマを見ているようであった。

こういった一連の不正事件をきっかけとしてなのか、近頃の公認会計士は非常に保守的である。身近な話題に置き換えてみると、金融商品の会計基準、実務指針の解釈において、会計士は基準や金融商品会計に関するQ&Aに書かれている例示をかなり厳格に解釈することが多い。リスクをとりたくないというのはわからなくもないが、企業にとって会計士に対して強く意見を主張することは大変難しく、万が一「これはおかしい」などと主張をしてしまえば、ドラマの中の尾張部品のように監査難民になってしまう恐怖心があるため、会計士の言われたとおりにするしかないのである。

たとえば、デリバティブの会計基準については、いまだにおかしなところが多くある。身近な例で言えば、ヘッジ会計の有効性の判断基準がある。実務指針によれば、ヘッジ対象とヘッジ手段の変動額を比較することで有効性を判断するとされており、その考え方自体は理解できるものの、具体的に示されている手法が対象期間の第一回キャッシュフローのみを変動額算出の基準とするとされており、必ずしも実効的なものといえない。 実例として、原燃料費変動をヘッジしようとする企業が、上述の理由からヘッジ会計の適用ができず(ヘッジ手段としての)デリバティブズの導入を断念し、その結果昨今の減燃料費の高騰に悲鳴を上げているという例もあり、これでは本末転倒である。また、かなり細かい話になってしまうが、クーポンスワップの会計処理については、ずいぶん前より問題になっており、実際に訴訟にまで発展した例もある。(参照:間違いを認めない会計士の体質が多くの企業を窮地に陥れる)。

ヘッジ会計の有効性の判断基準については、現在FASBから修正案が出ており、その中では定量的判断基準から、定性的判断基準に、そしてよりシンプルに修正が加えられているように見える。会計基準のコンバージェンスはいずれ進められる必要があり、本邦でもこのタイミングで重い腰を上げてぜひ見直しの検討を始めてほしいと思う。また、長期的な目標は全面時価会計という声も国内外から聞こえるが、時価が全てではないということは昨今の市況を見れば誰も否定はしないだろう。(長期を一万年と考えれば話は別だが)今求められているものは、時価による開示ということではなく、株主や当局、格付機関といった外部関係者に対して「正確に」現状を表したよりわかりやすい開示であろう。

ドラマに話を戻すと、最終回では、厳格監査こそが正義と信じてきた主人公の会計士の若杉が、「決算を認めることは出来ません。しかし、再生する方法はきっとあります。最後まであきらめず、ともに頑張りましょう」と経営危機状態にある尾張部品に告げる。たった6回のドラマにしては内容が多すぎて方向性が良くわからなくなってしまう箇所もあったが、最後は企業や監査法人の再建が期待できる希望の持てる展開だった。

2008.07.21 | Comments(0) | Trackback(0) | 会計

金融機関の決算発表など

先週の大手金融機関の決算発表はポジティブ・サプライズとネガティブ・サプライズが混在していたが、Merrill以外は市場の想定ほどには悪い内容ではなく、Citi・JPMと大きなヤマを超えて一息といった声も耳にするが、7月下旬から8月上旬にかけては北米地銀・保険会社・モノライン・欧州金融機関と決算発表が目白押しで、市場にノイズを与えることになりそうな気配だ(個人的にはAIG、UBS、モノラインに注目している)。

Big pictureとしては、当局・中央銀行に対する市場の信頼が(辛うじて)残っている間は大きなパニックにはならず、個別のニュースに一喜一憂して相場も上げ下げを継続する、といった展開をぼんやりとイメージしている。ファンダメンタルズの悪化傾向は覆い隠すべくもなく、一度失われた市場のconfidenceがすぐに回復するとも思えず、どちらかというとダウンサイドリスクを強く意識せざるを得ない。ある日突然、「やっぱり大手金融機関は大丈夫」「増資も問題なく継続できる」「モノラインも格付けは下がっても保証は履行できるから大丈夫」「GSEが破綻するなんてばかばかしい」「最後は当局がなんとかしてくれる」といったように市場参加者みんながいっせいに思い込めば、それが幻想であったとしても問題は一気に収束に向かうであろうが、まだまだ時間はかかりそうである。

MBIAとAmbacがAAAを失ったのは6月だが、MerrillやCitigroupの第2四半期決算にも影響が見受けられた。Merrillに関しては、6月末時点で北米ABS CDOのSuper Seniorの保有元本が約$19.9billion、これに対してショートポジションは約$15.6billionで、ネットのエクスポージャーは$4.4billion、うちMezzanine ABS CDOとABS CDO squareの合計が$1.8billionとのこと。

上述ショートポジションは主にモノラインからCDSで買ったプロテクションだが、その元本は(無価値となったものを含めて)$18.7billion。これに対して、現在$9.1billionの評価益がでているが(プロテクションを買っているので中身が悪化すると評価益となる)、モノラインの信用力低下に合わせて$6.2billionの評価減を行なっている(AAのモノラインで28%程度、A&BBBで60%程度、投資適格以下で100%の評価減)。仮にABS CDOのSuper Seniorの評価益が$9.1billionのまま変わらないとしたら、モノラインが全滅したとしても、追加的な損失は$2.9billionにとどまる(小さくはない数字だが)。問題は、ABS CDOのSuper Seniorの評価益が増加した場合で、この場合はその分だけワーストケースの損失が増える。どれだけMezzanineやCDO squareが多いのか、どれだけ最近のvintageが多いのかわからないので、現状がどれだけ保守的な評価なのかわからないが、モノラインが全滅したとしてもリカバリーがゼロということはない(はず)ので、最終的には評価減した分が(遠い)将来戻ってくる可能性もそこそこあるのだろう。

2008.07.20 | Comments(0) | Trackback(0) | 決算発表

本日棋聖戦第5局

本日、第79期将棋棋聖戦5番勝負第5局が行われている。佐藤康光棋聖に挑戦しているのは先日名人をとったばかりの羽生名人・王座・王将である。今期の棋聖戦は名人戦の途中から幕開けし、最初の2局は佐藤棋聖が連勝したが、名人戦終了とともにエンジンがかかってきたのか羽生挑戦者がカド番を2回はね返して現在2勝2敗である。

勢いからすると、このまま羽生が2連敗から3連勝の大逆転でタイトル奪取といった結末が予想されるが、両者の実力に目に見えた差はなく、勢いだけでは勝負は決まらないだろう。たとえて言うならば、山崎の戦い・賤ヶ岳の戦いを制して天下の趨勢が見えてきた秀吉が、小牧・長久手の戦いで家康を迎え撃つ、といった感じだろうか。佐藤は”コンピューターが1億手先まで読むのなら、佐藤は1億3手先まで読む”と言われるほど緻密な読みに定評があるが、彼の逆境とかプレッシャーをはね返す精神力も超一流である。先般の棋王戦ではこうした強さを遺憾なく発揮して、1勝2敗のカド番から羽生の挑戦を退けている。

羽生が奪取すると、タイトル数では羽生が四冠、佐藤が一冠となって天下の趨勢は決まってしまうが、佐藤が防衛すると、タイトル数でこそ羽生が三冠、佐藤が二冠と差があるものの、今年に入って棋王戦と棋聖戦で2回羽生の挑戦を退けたということで、佐藤の存在感が高まる。

ポイントとなりそうな振り駒では、佐藤棋聖が先手番を引き当てたようだ。勝負が決まるのは本日夕方から夜にかけての時間帯が予想されるが、どんな将棋になるのか今から楽しみである。

<後日記>
既報の通り、羽生がタイトル奪取で四冠王に!勝負は羽生挑戦者の角換り向い飛車に対して佐藤棋聖の居飛車穴熊。互いに手を作るのが難しい中盤が続いたが、一箇所佐藤棋聖に勘違いがあったようで、途中からは羽生挑戦者がきれいに収束させてタイトルを獲得した。現在進行中の王位戦にもこの勢いが続き、早くも五冠王確実の声も聞かれる。私もその可能性が高いと思うが、将棋に限らずプロの世界は1つリズムが狂うと好調から不調への転換は早く、実力的には紙一重なだけに、勝負は終わってみるまでなんともいえないだろう。

2008.07.18 | Comments(0) | Trackback(1) | 将棋

GSEと公的資金注入

国によるFannie Mae / Freddie Macの株式購入や国有化の可能性が話題となり、ふと2003年のりそな銀行や足利銀行のケースを思い出した。いずれのケースも預金保険法第102条に基づいた措置であったが、りそな銀行の場合は第102条第1号という“健全行”に対する措置であり、足利銀行の場合は第102条第3号という“破綻”が認定された先に対する措置であった。

ISDA Master AgreementのEvent of Defaultや、Credit DerivativesのBankruptcy Credit Eventとの関連では、破綻を認定した上での公的資金の注入であればEvent of DefaultやCredit Eventに該当する可能性が高いが、破綻を認定していないのであればこれに該当しないのではないか、というのが当時の日本法の弁護士の見解だったように記憶している。よって、りそな銀行は該当せず、足利銀行は該当する可能性が高いが、足利銀行を参照するCDSが少なくともインターバンク市場では存在していなかったことから、具体的にテストはされたわけではない。

以上の議論は日本の金融機関に関するものであり、Fannie MaeやFreddie Macの場合は関連する法律と照らしての判断となる。仮に日本の場合と同様の議論があてはまるとしても、GSEの設立根拠法には破綻処理が明示されておらず、現在のままでは破綻を認定した上での公的資金の注入という展開にはならないようだ(大先輩のK氏に色々教えていただきました)。この意味で、当局による株式の購入が即Event of DefaultやCredit Eventとなる可能性は低いのだろう。一方、当局がGSEのboardに役員を送り込むことによって経営権を実質的に掌握するといった事態になると、Event of DefaultやCredit Event の“管財人の選任”という項目に該当するかどうかを検討する必要がありそうで、いずれにしても気持ち悪さは残る。

実際には、仮に法解釈上グレーな部分があったとしても、政治的には当局はGSE2社をEvent of DefaultやCredit Eventに該当させないような配慮をする(圧力をかける?)だろう。この2社が当事者のSwap契約がすべて時価で清算されたり、この2社を参照するCDSにおいてイベント決済が行なわれるような事態は、面目上もシステムの混乱を避けるという意味でも、当局が望むところではないだろう。それにしても、MonolineやGSEについてCredit Eventの蓋然性をこんな真剣に考えることになろうとは、ほんの1年前は想定もしなかったことだ、、。

2008.07.17 | Comments(0) | Trackback(0) | GSE

Déjà vu

格付会社が格下げを発表し、PershingのAckman氏が空売りを仕掛ける。まるで、おなじみのモノラインについてのニュースのようだが、昨日に関してはGSEが格付会社とAckman氏の“攻撃”の対象となった。

Moody’sはFannie MaeとFreddie MacのPreferred Stockの格付けをAa3からA1へ引き下げて格下げ方向で見直しとし、銀行の財務力格付けを前者をBからB-へ、後者をB+からB-へ格下げし、こちらも格下げ方向で見直しとしている。市場の信頼を失った格付けではあるが、タイミングによっては市場のセンチメントに大きな影響を及ぼす。当局の本音は、「余計なことせずにおとなしくしていてくれ」といった感じなのかもしれないが、格付けが不適切であるとか客観的でないとして散々槍玉に挙げられていた格付会社としては、“手心”を加えるわけにはいかないだろう。

一方、Ackman氏は問題解決の策として、GSE2社の既存の株式をゼロにして、社債権者の保有額の一部についてはDebt Equity Swapを行なうという持論を展開、自身も運営するファンドにおいてGSE2社についてショートポジションを作ったようだ。Ackman氏の提案に耳を傾ける価値があるかどうか定かではないが、民間企業の経営者であれば住宅市場のスランプに際してレバレッジを下げるなどの保守的な企業運営を行ないたいところを、GSE2社は当局の意向を汲んで(?)積極的にリスクをとっていたわけであり、当局としても株主を簡単に見捨てることはできないだろう。SECは、2社の株式の空売りを制限する方針を表明しているようだ。

また、議会もPaulson財務長官のGSE救済案に一定の評価を行ないながらも、議論することなく通過させることはできないと牽制球を投じている。Paulson財務長官は今週中には法案を成立させたいと考えているようだが、果たしてスムーズにことが進むだろうか。

こうした格付会社・民間のファンド・議会などの動きは、市場の混乱やシステミックリスクを防ごうと必死になっている当局の当事者にとっては邪魔なものとしか映らないのかもしれないが、本質的には健全な動きであると評価していいのだろう。混乱している市場の“治療”にスピードが要求されるのは間違いないが、必要なプロセスを素通りするわけにはいかない。

2008.07.16 | Comments(0) | Trackback(0) | GSE

頑張れ ソウルブラザー

昨日、忌野清志郎氏の病状と夏のライブ中止のニュースに絶句した。今年2月の復活ライブの時にはあんなに元気だったのに、、、。彼が今何を思っているのか知る由もないが、ホームページに掲載されたメッセージでは前向きな心境が綴られている。元来、明るいキャラクターではない。ブルースは昔から、そして今も続いている。本人も言うように予想外の出来事ではなく、乗り越えていくべき試練のひとつに過ぎないのかもしれない。

夏の日比谷野音というと清志郎だった。実際に観に行ったのはRC Successionでの活動を休止してからだが、Screaming RevueやGlad All Overなど、あの日のよそ者が、あの夜の多摩蘭坂が、あの夏のSweet Soul Musicが、今でも野音の蝉の声とともに心に深く残る。そして、一昨年と今年、心待ちにしていた夏の野音がキャンセルになって心にぽっかり穴があいたことも、忘れることのない記憶として残る。

ブルースはまだまだ続く、これは彼自身に対する、そして彼を敬愛するすべての人に対するメッセージだろう。ブルースって、つらいものだ。生きながらブルースに埋められたJanis Joplinも薬に頼って行ってしまった。残念ながら友人のtransblue氏のように豊富な語彙や表現力は持ち合わせていないのだが、これからも病気に負けないで、ブルースってこんなもんだって我々に語りかけて欲しいと願うばかりだ。

2008.07.15 | Comments(0) | Trackback(0) | Blues

昨夜のマーケットから

週末に米当局がなりふり構わぬ(?)GSEサポート案を発表、マーケットの反応が注目されたが、一部の個別銘柄(Washington Mutual・National City・Lehmanなど)を除いてクレジット市場は全般にフローは限定的で急反発することも急落することもなかった。これで一安心と感じるには不確定要素が多く、夏を控えて新たにクレジットショートを作るにはネガティブ・キャリーが気になるということなのだろうか。GSEの問題はcredit issueからpolitical issueとなってしまった感があるが、さすがにこれは税金を使ってでも救済する必要があるというのがコンセンサスなのだろう(と思いたい)。

Paulson財務長官はGSEの発行・保証する債券は世界中の投資家が保有していると発言し、今朝の日経新聞にも日本の投資家の保有高についての記事があったが、投資家が保有するAgency債の価格が少々低下するだけなら傷は浅いのかもしれないが、CarlyleのファンドのようなGSE関連の資産に投資するファンドやストラクチャード・クレジット商品の存在や、デリバティブのCSAに代表されるように各方面でAgency債が担保に使われていることを考えると、システミックリスクについては神経質にならざるを得ない。救済がうまくいかなかった場合、直感的には北米の投資銀行・商業銀行の被害が大きそうだが、株安・クレジットスプレッド拡大・デフォルト増などなどなど各方面からの間接的なルートで日本を含む米国以外の金融機関にも小さくない影響がでることが懸念される。

GSE以外では、SpainのSantanderが英モーゲージバンクのAlliance & Leisterの買収を発表した。経営の先行きに暗雲が漂う同業のBradford & Bingleyについても当局主導の救済合併の話をメディアが報道するなど(LloydsやHSBCの名前がでたようだ)、昨日は英国のモーゲージバンクの株価が急騰・CDSは大幅にタイトニングした。Santander(やLloyds)はドイツのリテールに食指を伸ばしていたとされるが、イギリスの住宅ローン市場の方がアップサイドが大きいと判断したのだろうか。悪いニュースばかり続くイギリスの住宅ローン市場にとって久しぶりのgood newsであるが、住宅市況のファンダメンタルズの悪化は続いている。

この他では、Moody’sが独立系の大手SIVであるSigmaのシニア債を”A2/Prime-2”から”A3/Prime-3”へと格下げし、引き続き格下げ方向で見直しとした。昨年の夏以降、新規のCPやMTNの発行による資金調達が不可能になり、Repoや資産の売却(Sigmaの投資家向け・および市場向け)によって資金繰りを行なってきたが、市場全体が流動性に敏感な現在、Repoの取引相手がいつまでも取引に応じるとは限らず、Repoに利用できる資産の種類も一部の優良資産に限られる。資産の平均売却価格も昨年夏はover-parであったのが、現在は95%台まで低下しているとのことで、今後市場環境が回復しない限りは綱渡り的状況が続くことは必至のようだ。これまでも繰り返し見てきた光景であるが、仮にMMFが保有するSigmaのシニア債の償還に支障が出れば、大手米銀などのMMFのスポンサーが何らかの対応を迫られるケースも想定される。また、Sigmaのシニア債を“リスクフリー資産”として利用しているシンセティックCDOなどへの影響も無視できない。

2008.07.15 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

GSE狂騒曲 (追記あり)

今週はGSE(Government Sponsored Enterprise)を巡るメディアや政府高官等の発言で世界中の金融市場が大きく振り回された一週間だった。新聞はFannie MaeやFreddie Macを「住宅公社」と表記したが、実務ではどちらかというと“Agency”とか“GSE”と呼ぶことが多い。このGSE2社の経営不安が取り沙汰されて2社の株価は暴落したのだが、この1週間で状況が劇的に変化したわけではまったくなく、以前からじわじわと悪化していた状況に今週スポットライトが当たっただけとも言える。

記憶を辿ると、発端となったのは7日の月曜日に出たLehman Brothersのリサーチレポートだろうか。FASB140を適用してオフバランスの資産をバランスシートに計上すると、Fannie Maeは460億ドル、Freddie Macは290億ドルの増資が必要となるが、これは容易ではないので当局は会計上の例外を認めるだろう、といった内容だったはずが、この前半部分が強調されて報道され、2社の株価は大幅に下落する。皮肉なことに、モーゲージ業務のウェイトが高いLehman自身の株価もとばっちりを受けて下落してしまう。

8日の火曜日にはこの2社の監督当局であるOFHEOのLockhart氏が火消しのために資本増強の必要性を否定する発言をしてやや市場の不安が後退したが、9日の水曜日にFannie Maeが2年債をT+ 74といった非常にワイドなスプレッドで条件決定したり、Poole元セントルイス連銀総裁がフェアバリュー・ベースではFreddie Macは債務超過、Fannie Maeも来期は債務超過になりうると発言したことなどから再び不安が台頭する。

10日の木曜日にはNew York Timesでこの2社を国有化して債務を負担する一方で株主は切り捨てることを当局が検討しているといった趣旨の記事が出て株価は暴落。国有化になると米国政府の負債が増大して金利の上昇とドルの暴落を招きかねないことから、Paulson財務長官は現状のモデルを維持する意向を11日の金曜日に表明、この日Freddie Macの株価は一時$3.89というありえないようなレベルまで下落した(クローズは$7.75)。11日には、連銀がこの2社向けの窓口貸出しを検討しているとの観測も流れ、FRBはこれを否定している。

CDS市場では、かなり前から「シニアクレジットは当局が死守するが、劣後クレジットは不透明」という仮説から「シニアCDSのプロテクション売り/劣後CDSのプロテクション買い」といった戦略が推奨されていたが、今週に入ってFreddie Macの5年劣後CDSは200bpsを超える水準までワイドニングした。国有化によって株はゼロになるかもしれない一方で、デットは“政府保証”となるのではないかという思惑が働いたせいか、CDSのスプレッドのワイドニングは今のところ限定的である。代わりに、US Sovereignを参照するCDSに飛び火し、金曜日には前日一桁であった5年CDSが17bpsまで拡大したらしい。究極の“リスクフリー”であり、“質への逃避”の象徴だったUS TreasuryのCDSは従来は1bpsとか2bpsといった水準でクォートされていた(取引は少なかったように思う)が、クレジット危機の発生以降市場にストレスがかかる局面ではワイドニングする場面もあり、CDS市場ではいよいよ“リスクフリー”扱いされなくなってきたようだ。

住宅ローン関連業務を専門とするGSEのバランスシートが痛むのは当たり前のことであるが、GSEも民間から住宅ローンを買い取る際にそれなりに厳しい基準を設けていた。信用力が劣る個人向けのローン、金額が一定額を超えるローン(Jumbo Loan)、書類が不十分なローン、第二抵当権付きのローン、居住以外の目的での住宅取得のためのローンなどが買取りの対象外だったと記憶しているが、住宅ローン市場の冷え込みが深刻化する中で、今年の2月ごろから(おそらく当局主導で)徐々に基準が緩み始める。Jumbo Loanの上限金額を一部上方修正したり、本来ダブルA格以上としていた取引相手の住宅ローン保証会社の格付け基準を緩めるといったことがその例であるが、市場全体の回復のために以前より積極的な役割を期待されるようになったと解釈できそうだ。こうした動きがどれだけ大きなネガティブ要因となったのかは定かではないが、当局の意向を汲んでリスク量を増やした結果の経営危機であれば、当局は株主も債券保有者も切り捨てることなどできないのではないかと思うのだが、ナイーブな考えだろうか?

それにしても、Paulson財務長官の周りには昨年来次から次へと“守るべきもの”が出てくる。銀行のファンディングを助け、住宅ローン返済に苦しむ個人を助け、MMFを守るためにSIVの処理を主導し(これは失敗)、モノライン業界のソフトランディングに(おそらく)かかわり、破綻しかかったBear Stearnsを助け、証券会社の資金繰りを助け、お次はGSEである。GSEは”too big to fail”で”too politically important to fail”であることには間違いないが、”too big to be supported(大き過ぎて救済できない)”なんてことにならなければよいのだが、、。

<追記>日曜日のヘッドラインニュース
(1) 財務省が設定しているGSE2社向けのクレジットライン(各22.5億ドル)を一時的に増額すること、(2)必要な時に2社に出資を行う権限を財務省に与えること、(3)FRBにGSE2社の資本状況についての"consultative role"を与えること、以上3つをPaulson財務長官が議会に要請したとのこと。これとは別に、FRBはGSE2社に公定歩合で窓口貸出しを行う権限をNY連銀に与えたと発表している。問題が大きいだけに、ここにきて当局の対応にスピード感が感じられるし、結構踏み込んだサポートという印象がある。市場の反応やいかに、、。

2008.07.13 | Comments(0) | Trackback(0) | GSE

排出量取引市場の行方-洞爺湖サミットを終えて

ちょうど洞爺湖サミットが開催されている間、休暇で海外に行っていた。洞爺湖サミットの初日、ホテルの部屋でCNNのニュースが流れていたのでぼんやり観ていると、ヘッドラインニュースのアフガニスタン、パキスタンの自爆テロに続いて洞爺湖サミットのニュースが流れてきた。日本では過熱気味に報道されているのに、なんだ3番目か、と少し拍子ぬけ。そして、ブッシュ大統領とサルコジ首相、メルケル首相なんかが握手しているシーンが次々と映しだされるのに、ホストであるはずの福田首相が全く画面に映らない。あれ、うそ?と思っていたら、本当に全く映らないままニュースは終わってしまった。

そんな存在感が薄い福田首相だが、トロント大学のサミット研究機関が福田首相のリーダーシップを「A」と評価していた。その理由は『「サミットの成功をブッシュ米大統領から引き出すことに賭けた。ギャンブルだったが、うまくいった。真の指導者だ」と手放しで褒めあげ、「A」評定をつけた』(読売新聞)ということのようだ。ブッシュ大統領対応がうまくいったからって、リーダーシップがあるのとは違うような気もするが、まあ地味だけど無難にまとめたという意味では、私利私欲丸出しのサルコジ大統領がやったよりも良かったのかもしれない。

今回のサミットの焦点は地球温暖化対策であったが、具体的な数値目標の合意はなかったものの、洞爺湖サミットに向けて日本国民全体が地球温暖化問題を意識し、CO2排出を削減することに努めるようになったという意味では評価できると思う。また、福田首相も議長として何かしらの成果を上げようと「福田ビジョン」なるものを公表したりもした。福田首相は排出量取引制度の導入に前向きであり、それまでは排出量取引推進派の環境省と反対派の経産省が、傍から見るとあまり建設的ではない論争を繰り返していたが、首相の強い(?)意思を受けて排出量の流動化・市場化に向けて具体的な検討が始まった。これは大きな変化だ。市場メカニズムの導入にはいまだ賛否両論があるが、京都議定書の数値目標を達成するためには避けられないものだと思う。今後、京都クレジットのセカンダリー市場が育つのは時間の問題である。

現在、国連承認のCDMプロジェクトの件数は1,115件、日本が行っているCDMはそのうち139件であり、イギリスに次いで2番目に多い(2008年7月6日現在。京都メカニズム情報プラットフォームより)。日本にとって、京都議定書の目標を達成するためには、CDM事業から得られるCER(CDMに基づいて発行されるクレジットであり、CDMを管理する国際組織であるCDM理事会による温室効果ガス排出削減プロジェクトの登録と排出削減量の検証を経て発行されるもの)に頼るところが大きい。そのCDMには、理論上得られるであろう排出削減量と、実際に得られる排出削減量との差が事業リスクとして存在する。日本が行っているCDMの約半数が対中国であるが、四川大地震などの影響から、そのCDMから安定的かつ十分な排出削減量が得られなくなってきているという。予想通りのクレジットが得られないということは、企業の事業リスクが高まっているということになる。もちろん、キャップがないので義務ではないが、エネルギー関連業者など、排出なくして事業を行えない企業にとっては、セカンダリー市場でクレジットが調達できることができれば事業リスクのヘッジにもなる。

投機マネーによる実需と関係ない価格の乱高下など、市場メカニズムの悪い側面ばかりが強調されがちであるが、その価値を無視するわけにはいかない。経済界の抵抗もあり、まだまだ時間がかかるという人も多いが、1年前を振り返ってみれば、この変化は驚くべきものであり、これから1年後の市場を考えるとちょっとワクワクする。

2008.07.12 | Comments(0) | Trackback(0) | 環境問題

Ambacからプレスリリース2つ(備忘録的まとめ)

7月7日にAmbacは先般の格下げ(by Moody’s and S&P)および格付け取下げ(by Fitch)による直接の影響を公表した。影響が発生したInvestment Agreement BusinessはAmbac Capital Funding Incを通じて行なわれるAmbacの顧客のALMをサポートする業務で、例としては地方公共団体が地方債等の発行によって調達した資金の運用手段(GIC債など)を提供することなどが含まれる。

この業務において元々20億ドル強の担保を差し出していたが、S&Pの格下げ(AAA→AA)によって0.76億ドルの追加担保提供、Moody’sの格下げ(Aaa→Aa3)によって0.7億ドルの追加担保提供と2.7億ドルの早期償還資金手当て、Fitchの格付け取下げによって3.6億ドルの追加担保提供と、合計7.76億ドルの追加担保/償還資金の手当てが必要になった。

一方で、Investment Agreement Businessにおける資産の市場価値は5月末時点で56億ドルあり、これによって「元から存在する担保必要額」+「今回の追加担保等」の合計である約30億ドルはカバーされる。ただし、現状から1ノッチ格下げされるとこの必要担保等の合計額は52億ドルと増加し、2ノッチ格下げされると必要担保等の合計額は66億ドルとなって資産の価値を超えてしまう。この場合、不足分はモノライン子会社であるAmbac Assurance Corpの余剰資産を利用すると表明している。

この状況自体は従来から開示されているものであってサプライズではない。少々気になるのは、追加的な格下げリスクが払拭できない中で、5月末で56億ドルとされるInvestment Agreement Business部門における資産の市場価値の妥当性である。Ambacの開示によると、資産の大半はAAAであるが、12%は自社を含むモノラインの保証債(Ambac、MBIA、FSA、Assured)、2%がFGICの保証債であり、これ以外のAAAの資産にはAlt-AのRMBSやその他ABSやCDOも含まれる。仮に時価評価が妥当であるとしても、格下げトリガーによって市場での売却を迫られた場合、想定よりも低い価格でしか売却できない可能性がある。もちろん、比較的流動性のあるCredit CardやAutoのABSなどもそこそこ保有していると思われるが、担保の差出し(=売却不要)と早期償還(=売却必要)の割合がポイントのような気がする。

追加的な格下げによって発生した不足分を穴埋めするためにモノライン子会社の資産を利用することによって、理論的にはモノライン子会社の資本適正度はその分だけ低下することになる。Ambacはこうした状況について州保険当局にレポーティングを行ない、当局との話合いは順調であるとしているが、大きな余裕があるわけではないだろう。Ambacは第2四半期の決算発表を8月6日に行なうとしているが(当初の見込みは7月25日)、このタイミングまでに当局との話合いがどの程度進むのか注目される。

これとは別に、Ambacはモノライン子会社のAmbac Assuranceから子会社のConnie Leeに8.5億ドルの資本を移して、第4四半期を目処にConnie LeeにおいてPublic Financeの新規保証業務を開始する意向を表明した。これは、先般の格下げのひとつの要因として格付会社が挙げているのが新規ビジネスの見込みが低いことだったことに対応するものと思われ、新規の保証ビジネスが増加すれば、中長期的には保証料収入が増加して資本適正度が向上する。一方で、8.5億ドル分は格下げされたばかりのAmbac Assuranceの資本の低下につながり、現在の格付けを維持するためには相当数字的な余裕があるものの、それなりに思い切った判断であったのではないかと思われる。

2008.07.09 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

第66期将棋名人戦

土曜日にBSで放送された第66期将棋名人戦特集番組を見た。なかなかリアルタイムですべての棋譜をフォローできないだけにとても有難い特集で、短い時間で今回の名人戦をおさらいし、熱戦のエッセンスを再び感じることができた。谷川九段や渡辺竜王の解説も生放送とは思えないほど抜群だった。

まず森内と羽生の過去の対戦成績を見てびっくり、名人戦が始まる前で森内41勝・羽生50勝とのことで、羽生と100局単位で将棋を指しているプロでここまで拮抗している棋士は珍しいのではないか。確か、佐藤康光や谷川浩司のような実力者でも羽生にはダブルスコア近い差をつけられていたような記憶がある(勘違いだったらごめんなさい)。ここ数年間は名人戦以外ではやや地味な印象があったが、何年か前にはタイトル戦で次々に羽生を破ったこともあり、そして何といっても永世名人でもある。今回無冠になってしまったが、遠くない将来に巻き返しを図ってくれることだろう。

番組でも取り上げられていたが、超一流同士の将棋では先手番の勝率が非常に高く、今回も結果的には森内の先手番をブレークした第3局が大きかったようだ。改めてみると、途中では森内が圧倒的に優勢な将棋であり、いくつも勝ちがあるところで少しずつミスを重ねて差をつめられ、例の王手銀取りを見落とした手の辺りではかなり流れがおかしくなっているようだった。番組の構成上やむを得ないのかもしれないが、あそこまであの見落とし強調することもないような気もした。Gentlemanの森内は大して気にしていないかもしれないが、指したのが升田幸三であれば「わしゃNHKにはもう出演せん」とでも言ったかもしれない。

それにしても先手番の勝率の高さを見ているとサッカーのPK戦を見ているようで、得点して当たり前、平凡なミスでゴールポストをはずしたり、スーパーセーブで相手のシュートをブレークすると、一気に流れが傾いてしまう。来週の棋聖戦第4局は王手をかけている佐藤棋聖の先手番だけに、佐藤棋聖もここで必ず決める意気込みだろう。好勝負を期待したい。

最後に、解説の谷川浩司九段について。最近はタイトル戦からもご無沙汰してしまい、あの憎らしいばかりの強さはどこにいってしまったのか不思議でならない。番組では、初めて名人になった時の思い出話 ~最終局で即詰みを発見した時に手が震えた話~ を語っていたが、このまま過去の人・伝説の人になってしまうにはあまりにも若すぎるし、そんな実力でもないはずだ。思い出話をする姿があまりにもさまになっていたような気がして、逆に寂しさを感じた。

2008.07.06 | Comments(0) | Trackback(0) | 将棋

モノライン・アップデートなど

先般FitchがMBIAのALMビジネス(顧客向けの資産運用等)における流動性の懸念を表明したことを受けて、6月30日にMBIAはこれを否定する声明を出し、第2四半期に約40億ドルの資産売却を行なった結果GIC債の保有者による担保の差出し・早期償還要求を全額満たすことができるとしている。また、Wall Street Journalが報道した地方債の市場での売却については否定している。73億ドルの残高があるMTNについては、担保の差出しや早期償還を要求される条項がなく、償還は今後34年間にわたって行われる(平均年限5.3年)と述べているが、行間を読めば、仮になんらかのデフォルト事由に該当して即座の償還を迫られた時には、決して余裕がある状態ではないのかもしれない。

資産の売却の結果3億ドルの実現損が出たとのことであるが、単純に計算すると売却平均価格は92.5%となり、平均年限を仮に5年とすれば150bps程度ワイドニングしたところでの損切りという感じだろうか(この想定に特に根拠も意味もないが、、)。また、くどいぐらいに持株会社には14億ドルの現金があることを強調しているが、そのうちの9億ドルは本来はモノライン保険子会社のために増資したものに他ならない。外部からの批判に対して即座に声明を出して反論し、保証債務やMTN・GIC債務を全額スケジュール通りに履行する意向を強調する姿勢は評価できるが、日に日に空元気に聞こえてくるような気もする。

Ambacについては、昨日株価が1.05ドルを下回ったことでNY証券取引所で売買停止となった。すでに株式発行による増資は事実上不可能となっていることから、このニュース自体はAmbacの債務履行能力に直接の影響はないと思われるが、何とも象徴的な出来事である。

今後の展開を予想するのは極めて困難だが、MBIAとAmbacの2社は7月25日に第2四半期の決算発表を予定している(日程が変更になる可能性もありそうだが)。MBIAは6月11日の時点で、数週間程度でNY州当局と格付会社からのフィードバックを受け、それを基に今後の方向性を検討するとコメントしていることから、何らかの大きな事業再編等のアナウンスが遠くない将来に行われる可能性がある。ポジティブサプライズがあるとすれば、一部で報道されている通りに大手金融機関との”債務免除(commutation)”の話合いがまとまって再び格上げされるというシナリオや、当局主導の合併などの動きだろうか。手をこまねいていると保証ポートフォリオの劣化が進んで更なる格下げが行われる可能性も否定できない。

モノラインと直接関係はないが、CDPC (Credit Derivative Products Company)の大手Athilonの格付け(AAA)を、ポートフォリオ内のStructured Finance CDOの格付けの低下(AAA→CCC)などを理由に、昨日Fitchが格下げ方向で見直しとしている。CDPCは個別の企業クレジットやCDOのSuper SeniorのリスクをCDSの形で取る(=プロテクションを売る)クレジットデリバティブに特化した運用会社であり、高格付けクレジットに投資してレバレッジをかけるという意味ではSIVに似ているが、アセットサイドがキャッシュを使わないCDSによる運用であることから、基本的にシニア負債の継続的なファンディングを前提としてはいなく、資産価値の下落による解約トリガー(マーケットバリュー・トリガー)は組み込まれていない。SIVやモノラインと似ているのは、高格付けを人工的に維持していくことがビジネスモデルの柱であることや、CDSなどのデリバティブ取引においてCSAなどの担保契約を締結しないことである。確かに以前の市場環境ではCSAがなくてもカウンターパーティーリスクをそれほど気にすることはなかったのかもしれないが、大手金融機関が軒並み与信を絞りこみ、特に無担保の与信には厳しく対応していることから、現在のままでのビジネスモデルの存続自体を疑問視する声もある。あまり本質的な話ではないが、CDPCは以前ファンディングにおいてARS(Auction Rate Securities)を発行していたことを思い出す。"CDS""Super Senior""担保契約なし""ARS""人工的なAAA""格付けモデル""高いレバレッジ"とキーワードを並べると、モノライン関連の用語と驚くほど共通項が多いことに気がつかされる。

2008.07.03 | Comments(2) | Trackback(0) | モノライン

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