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GSE狂騒曲 (追記あり)

今週はGSE(Government Sponsored Enterprise)を巡るメディアや政府高官等の発言で世界中の金融市場が大きく振り回された一週間だった。新聞はFannie MaeやFreddie Macを「住宅公社」と表記したが、実務ではどちらかというと“Agency”とか“GSE”と呼ぶことが多い。このGSE2社の経営不安が取り沙汰されて2社の株価は暴落したのだが、この1週間で状況が劇的に変化したわけではまったくなく、以前からじわじわと悪化していた状況に今週スポットライトが当たっただけとも言える。

記憶を辿ると、発端となったのは7日の月曜日に出たLehman Brothersのリサーチレポートだろうか。FASB140を適用してオフバランスの資産をバランスシートに計上すると、Fannie Maeは460億ドル、Freddie Macは290億ドルの増資が必要となるが、これは容易ではないので当局は会計上の例外を認めるだろう、といった内容だったはずが、この前半部分が強調されて報道され、2社の株価は大幅に下落する。皮肉なことに、モーゲージ業務のウェイトが高いLehman自身の株価もとばっちりを受けて下落してしまう。

8日の火曜日にはこの2社の監督当局であるOFHEOのLockhart氏が火消しのために資本増強の必要性を否定する発言をしてやや市場の不安が後退したが、9日の水曜日にFannie Maeが2年債をT+ 74といった非常にワイドなスプレッドで条件決定したり、Poole元セントルイス連銀総裁がフェアバリュー・ベースではFreddie Macは債務超過、Fannie Maeも来期は債務超過になりうると発言したことなどから再び不安が台頭する。

10日の木曜日にはNew York Timesでこの2社を国有化して債務を負担する一方で株主は切り捨てることを当局が検討しているといった趣旨の記事が出て株価は暴落。国有化になると米国政府の負債が増大して金利の上昇とドルの暴落を招きかねないことから、Paulson財務長官は現状のモデルを維持する意向を11日の金曜日に表明、この日Freddie Macの株価は一時$3.89というありえないようなレベルまで下落した(クローズは$7.75)。11日には、連銀がこの2社向けの窓口貸出しを検討しているとの観測も流れ、FRBはこれを否定している。

CDS市場では、かなり前から「シニアクレジットは当局が死守するが、劣後クレジットは不透明」という仮説から「シニアCDSのプロテクション売り/劣後CDSのプロテクション買い」といった戦略が推奨されていたが、今週に入ってFreddie Macの5年劣後CDSは200bpsを超える水準までワイドニングした。国有化によって株はゼロになるかもしれない一方で、デットは“政府保証”となるのではないかという思惑が働いたせいか、CDSのスプレッドのワイドニングは今のところ限定的である。代わりに、US Sovereignを参照するCDSに飛び火し、金曜日には前日一桁であった5年CDSが17bpsまで拡大したらしい。究極の“リスクフリー”であり、“質への逃避”の象徴だったUS TreasuryのCDSは従来は1bpsとか2bpsといった水準でクォートされていた(取引は少なかったように思う)が、クレジット危機の発生以降市場にストレスがかかる局面ではワイドニングする場面もあり、CDS市場ではいよいよ“リスクフリー”扱いされなくなってきたようだ。

住宅ローン関連業務を専門とするGSEのバランスシートが痛むのは当たり前のことであるが、GSEも民間から住宅ローンを買い取る際にそれなりに厳しい基準を設けていた。信用力が劣る個人向けのローン、金額が一定額を超えるローン(Jumbo Loan)、書類が不十分なローン、第二抵当権付きのローン、居住以外の目的での住宅取得のためのローンなどが買取りの対象外だったと記憶しているが、住宅ローン市場の冷え込みが深刻化する中で、今年の2月ごろから(おそらく当局主導で)徐々に基準が緩み始める。Jumbo Loanの上限金額を一部上方修正したり、本来ダブルA格以上としていた取引相手の住宅ローン保証会社の格付け基準を緩めるといったことがその例であるが、市場全体の回復のために以前より積極的な役割を期待されるようになったと解釈できそうだ。こうした動きがどれだけ大きなネガティブ要因となったのかは定かではないが、当局の意向を汲んでリスク量を増やした結果の経営危機であれば、当局は株主も債券保有者も切り捨てることなどできないのではないかと思うのだが、ナイーブな考えだろうか?

それにしても、Paulson財務長官の周りには昨年来次から次へと“守るべきもの”が出てくる。銀行のファンディングを助け、住宅ローン返済に苦しむ個人を助け、MMFを守るためにSIVの処理を主導し(これは失敗)、モノライン業界のソフトランディングに(おそらく)かかわり、破綻しかかったBear Stearnsを助け、証券会社の資金繰りを助け、お次はGSEである。GSEは”too big to fail”で”too politically important to fail”であることには間違いないが、”too big to be supported(大き過ぎて救済できない)”なんてことにならなければよいのだが、、。

<追記>日曜日のヘッドラインニュース
(1) 財務省が設定しているGSE2社向けのクレジットライン(各22.5億ドル)を一時的に増額すること、(2)必要な時に2社に出資を行う権限を財務省に与えること、(3)FRBにGSE2社の資本状況についての"consultative role"を与えること、以上3つをPaulson財務長官が議会に要請したとのこと。これとは別に、FRBはGSE2社に公定歩合で窓口貸出しを行う権限をNY連銀に与えたと発表している。問題が大きいだけに、ここにきて当局の対応にスピード感が感じられるし、結構踏み込んだサポートという印象がある。市場の反応やいかに、、。

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2008.07.13 | Comments(0) | Trackback(0) | GSE

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