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Dinallo氏の戦略

昨日は遅れ馳せながらモノライン大手のFGICが第2四半期の決算発表を行ない、同時に北米パブリックファイナンス(地方債など)ポートフォリオのMBIAへの再保険と、ABS CDO保証のCalyonとの解約(commutation)を発表した。FGIC、MBIA、NY州保険局それぞれから声明が出ているが、ここでは、一番詳細に記述しているNY州保険局のステートメントを基に内容を確認する。

(1)FGICからMBIAへの北米パブリックファイナンスの再保険
FGICの北米パブリックファイナンスの保証ポートフォリオは今年の3月末時点で約2180億ドルであるが、FGICはこのうち約1840億ドル相当をMBIAに対して再保険によってリスクを移転し、アップフロントでプレミアムを約7.41億ドルを支払うことで合意している。実行には諸々の手続きや承認が必要で、9月2日に正式な申請を行なって、これに対して10営業日の間パブリックコメントを募集し、最終的には9月末までには実行して、第3四半期の決算には間に合わせる、といったスケジュールである。

この7.41億ドルというプレミアムは、元々の保証のプレミアムの約80%とされる。ざっくり言えば、地方公共団体がFGICに10の保証料を支払ううち、FGICはMBIAに8を支払う、といった感じだろうか。以前、Berkshire Hathawayが同様の再保険で当初プレミアムの150%程度を要求したのに比べると格安とも思われるが、Dinallo氏は今回の再保険は入札形式でMBIAを含めて複数のbidを比較して決定したとコメントしている。

これが実行されれば、FGICのポートフォリオから北米のパブリックファイナンスの大半が消えて、証券化と北米以外のパブリックファイナンスが残ることになり、以前から模索していた「地方債保証と証券化保証の分社」が図らずも実質的に実現することになる。FGICに残る北米のパブリックファイナンス保証は、Jefferson County向けなどの投機的階級のクレジットに対する保証が中心となるようだ。

Dinallo氏が強調しているのは、今回の再保険は”cut-through”方式によって行なわれ、保険の受益者はFGICを飛ばしてMBIAに直接保証の履行を求めることができるということである。一般的には、FGICが破綻した場合、最終的に再保険先から保証の履行が行なわれるまでにはタイムラグが発生するが、”cut-through”方式によってこのタイムラグがなくなり、ARSを含むモノラインラップつき地方債の投資家の利益となることが見込まれる。Dinallo氏はこれによって”FGICのラップ付き&MBIAの再保険付きの地方債”の格付けがFGIC単独のB~CCCからMBIAのAA~Aへとあがることを期待しているようだ。

(2)FGICとCalyonのABS CDO保証の解約
これはドイツのIKBのABCP Conduitが投資するABS CDOをCalyonが買い取り、それにFGICが保証を入れるといった契約に関するもので、今年の3月ごろにはFGICはIKBのRepresentation & Warrant違反で保証契約が無効であると主張していた。結局今回は、18.75億ドルの保証を2億ドルの解約フィーの支払いで解約することになり、FGICにとっては完全な“勝ち逃げ”はできなかったものの、ひとつの頭痛のタネが減ったことになる。

Dinallo氏は、上記の2つの合意が実現すると、FGICがラップする地方債の投資家にとっては「地方債とFGICの同時デフォルトリスク」から「地方債とFGICとMBIAの同時デフォルトリスク」へとリスクが減り、証券化商品の投資家はFGICに約10億ドルの資本が新たに創出される効果によって返済の確実性が高まることになるとしている。また、MBIAにとっても新規のビジネスの獲得が困難な環境において大きな収益&キャッシュフローが生まれ、保証ポートフォリオにおける地方債 VS 証券化のバランスがより安全とされる地方債寄りとなり、格上げも期待できるとしている。

今のところ、格付会社はコメントを出していないようだが、ここもとの格付会社の保守的なスタンスを考えると、Dinallo氏が描くような楽観的なシナリオとなるかは不明である。先般のXL(現Syncora)のcommutationの発表の際に、Dinallo氏はこれによって大幅な格上げが期待できるとコメントしたように記憶するが、今のところは実現していないようだ。9月の上旬には格下げ方向で見直しとされたFSAとAssured GuarantyがMoody’sに格下げされるかどうかの結論が出る見込みである。色々な意味で予断が許せる状況には思えないが、少なくともモノラインの破綻・当局の直接的介入によるデリバティブ契約のトリガーといったハードランディング的なシナリオは先送りされることになったと前向きに評価することは可能だろうか。

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2008.08.28 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

GSE-S&Pの格付けアクション

先日のMoody'sに続いて、火曜日はS&PがFannie MaeとFreddie Mac2社の格付けアクションを行なった。大きな意味ではMoody'sとほぼ同じロジックが用いられ、当局のサポートが期待できるシニア債はAAA/A-1+ (stable)をaffirmし、当局のサポートによってどのような取扱いとなるか不透明な劣後債や優先株(preferred stock)が格下げの対象になって(劣後債:A-からBBB+/優先株:A-からBBB-)、それぞれ引き続き格下げ方向で見直しとされた。

この中で、S&Pは劣後債と優先株の関係について言及している。劣後債は規制資本の水準が規定値を下回ると利払いが繰り延べされるが、劣後債の利払い繰延べはコベナンツによって優先株と普通株の配当の停止につながる。このため、両者の格付けには密接な関係があるが、株式の配当停止によっては劣後債の利払い繰延べにはならないことから、劣後債の格付けを優先株の格付けよりも高くしている。

また、この日はBank of AmericaのアナリストがCDSにおけるGSEのクレジットイベントについてレポートを書き、劣後債の利払い繰延べは債券の契約書に規定された条件に従って行なわれる範囲においてはクレジットイベントに抵触しないとの見解を表明している。CDSの支払不履行(Failure to Pay)は、債務の諸条件に反する形での不払いをクレジットイベントとしていることから、資本が規定値を下回った場合に利払いが繰延べ可能である劣後債において、これが理由で利払いが繰延べされれば、CDSの支払不履行と認定される可能性は極めて低い。また、当局による株式の買取りとバンクラプシーとの関連にも言及されているが、これは7月17日のエントリーでも触れたように、株を買い取るだけではイベントと認定するにはおそらく不十分であり、破綻の認定が行なわれるとか当局の支配下に完全に入るなどの状況がないと、クレジットイベントには該当しにくいと思われる。

GSE関連では、S&Pはこの日、大手住宅ローン保証会社についても格下げを行なっている(PMIがA+からA-、RadianがAからBBB+)。S&Pは、住宅ローン保証セクターの長期的なファンダメンタルズを分析した結果、このセクターに属する会社は"シングルAの下の方"の格付けが妥当であるとしている。GSEの適格住宅ローン保証会社のうち、Type1と分類されるためにはダブルA以上の格付けが必要とされ、これを下回りType2となると財務条項などで追加的な基準をクリアすることが要求される。大手住宅ローン保証会社が数ヶ月前にシングルA格に格下げされた際には、ダブルAへ復帰するためのプランを出せばType1を維持するとの規定変更などによって現在でも大手はType1を維持していると思われるが、ダブルAへの復帰の道が事実上閉ざされた今となっては、GSEの適格住宅ローン保証会社の規定が見直されることになりそうだ。


2008.08.27 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

最終局面へ

今週は金融株・CDSともに散々な週だったが、金曜日はKDBがLehmanの買収を検討していることを否定しなかったことから、相場は相当程度戻しがあったようだ。KDBがLehmanを買うと言っても、具体的なビジネスモデルなどイメージがわかないが、とりあえずLehmanの5年CDSは50bpsほどタイトニングして330bps近辺となったようだ。

Lehmanのおかげで目立ち方が少しは小さくてすんだ(?)のがMoody'sによるGSE2社の格付けアクションである。Moody'sはこの2社に対して同じ格付けアクションをとり、事実上差別化していないようだ。

まずシニア債務については、当局による強いサポートが引き続き期待できるとしてAaa/P1を確認して見通しも安定的としている。現在、この2社でアメリカの住宅ローン市場の約75%のシェアを持つとされ、2社が住宅ローン市場を支える使命を継続しないとアメリカの住宅ローン市場、ひいてはマクロ経済全体が危機的な状況になりかねず、国が何らかのサポートを行なう蓋然性が高いとしている。

劣後債務については、これについても当局のサポートが期待できて、利払いが停止することはないだろうとしてAa2のまま据え置いたが、状況が流動的であることから見通しをネガティブとしている。GSEの劣後を参照するCDSは今週半ばには300bps後半まで拡大したが、この日は250bps近辺まで戻したようだ。

大きな動きがあったひとつは銀行財務格付け(BFSR)で、これをB-からD+へ引き下げて、さらに格下げ方向で見直しとした。GSE2社の住宅ローンポートフォリオの劣化が大きくこれを管理する手段が限られ、株価の下落によってまともな形で増資を行なう選択肢が遠のいたことを理由にしている。

また、優先株(preferred stock)の格付けも、配当が停止となる可能性が高まったとしてA1から一気にBaa3まで格下げして、さらに格下げ方向で見直しとしている。バランスシートの劣化によって配当を行なうのに必要とされる最低資本を下回る可能性が高まり、また当局がサポートを行なうときの優先株の取扱いが不透明であることを理由に挙げている。実際に配当を停止したり、国のサポートによって支払い優先順位が劣後化するなどの事態になれば、さらに格下げを行なうとMoody'sはコメントしている。

優先株は税制上や資本上のメリットが享受できることからアメリカの地銀によって幅広く保有されているとされる。一部の地銀は自己資本対比でも小さくない額を保有しているようで、GSEの優先株が紙くずとなると、ただでさえ年初来破綻が相次いでいる北米の地銀セクターに圧力が強まることが予想される。

Moody'sは、今の今市場を安定化させることと、今後住宅ローン市場を支えていくことの両立を迫られて、当局が苦しい舵取りを強いられていると指摘しているが、まさにその通りなのだろう。市場全体が当局のサポートを催促し、サポートの方法に注目している中で、米当局に残された時間は少ない。

国が出資を行なう場合、新たに発行する優先株を国が保有するというシナリオを予想する向きが多いようで、この場合は、普通株はゼロとなり、既存の優先株も国が保有する優先株に劣後させることで、既存株主に”自己責任”をとらせる、というシナリオもよく目にする。

だが、既存株主の自己責任とはなんだろうか?今年にはいって、国の意向を受けてGSE2社は住宅ローンの買取り枠を拡大したり、必要とされる自己資本の上乗せ分を縮小したり、民間RMBSの買取りを行なうなどの措置をとっている。これによって、世界中の金融機関が必死に資産を売却してレバレッジを下げている中で時代に逆行してバランスシートを拡大させ、結果的に行き詰まりを迎えるタイミングを早めてしまったように思うが、この時に既存株主がとるべき行動は、この顛末を予想して今年の早い段階でGSEの株式を売却すべきだったのだろうか。売らずに国のサポート等を期待して継続保有したことがナイーブで、その責任をとるべきだということなのだろうか。既存の株主が今年の早い段階で一斉にGSEの株を売りに走ったら、市場にさらにストレスがかかっていたとも予想されるだけに、ここで普通株主や優先株主に大きな皺寄せを行なうような措置をとることが妥当なのか、やや疑問にも思う。

2008.08.23 | Comments(0) | Trackback(0) | GSE

デフォルト率の上昇

少し前の話になるが、7月のデフォルト率の数字が格付会社から発表された。
Moody’sによると、グローバルベースでは7月の投機的階級企業のデフォルト率は前月の2.1%から2.5%へと上昇、北米については7月は前月の2.5%から3.0%へと上昇している。件数で見ると、7月には11件の企業破綻(うち9件が北米)があり、破綻件数が二桁に上ったのは5年ぶりとのことである。Moody’sは今後12ヶ月でグローバルの数字は6.3%に、北米の数字は7.2%に上昇すると予想しているが、それほど違和感のある数字ではない。S&Pも数字こそMoody’sよりは小さいが、同様の伸び率を示している。

今年に関しては、航空会社など原油価格の上昇のあおりを受けた企業や、地銀や不動産・建設などの住宅ローン市場で損失をこうむった企業のデフォルトが目立つが、金融機関の貸出し抑制姿勢が鮮明となり、全般的に消費も伸び悩んでいる中で、今後はより幅広いセクターでリファイナンスにつまずく企業がでてくることも考えられる。S&Pはレジャー・メディア・リテールなどの消費者関連のセクターが脆弱であるとしている。

日本でも、昨年来中小企業のデフォルトが増加し、最近では不動産関連の上場企業の破綻も相次いでいる。数字的なイメージは沸きにくいが、こちらもデフォルト率は上昇基調にあるのだろう。

ステレオタイプ的な考え方に過ぎないのかもしれないが、北米の企業は比較的早い段階でChapter 11に駆け込む傾向にあり、日本の企業はメインバンクが債権放棄に応じるなどしてぎりぎりまで支えようとする傾向にある。すなわち、北米=法的整理/日本=私的整理、CDSの世界でいうと北米=バンクラプシー/日本=リストラクチャリング、という構図であるが、ここのところこの傾向がすっきりとは当てはまらなくなっているように思う。Bear Stearns(特殊なケースだが)、Residential Capital、ACA、XLなどが法的な破綻を(今のところ)回避して生き延びている一方で、日本ではメインバンクがあっさりと見放して会社更生・民事再生手続きに入るケースが見られる。

この“ステレオタイプ”は日米の企業文化的な要因によるといった説明を聞いたこともあるが、それ以上に銀行側に企業を破綻させる余力があるのかどうか、といった要素が強いのだろう。一般論として、現在米銀は大手企業を破綻させる余力がなく、追い貸しや実質的な債権放棄を行ってでも延命した方が得策であり、モノライン保険会社などにもcommutationの要求に応じている節がある。一方で、大手の邦銀は一時期から比べると体力も回復し、破綻すべき企業は破綻させることが可能なのかもしれない。

とすると、米銀が今後数年かけて体力を回復させていった場合、その時にはもう追い貸しなど行わずに融資先を破綻させる、という選択肢をとる可能性も否定できないのだろうか。特に具体的な根拠があっての話ではないが、デフォルト率が低位で安定するようになるのはまだ相当先の話になりそうな気がする。

2008.08.18 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

ARSの買戻し

大手の金融機関が過去に不十分なリスクの説明で販売したARS(Auction Rate Securities)を投資家から額面で買い戻すとの発表が相次いでいる。買戻しに加えて、当局へペナルティーを支払い、すでに額面未満で売却を行なった投資家に対しては損失分の穴埋めを行なう。買い戻す金額は小さくないが、ARSの詳細が開示されていないために、金融機関にとっての経済的な損失の度合いがわかりにくい。

ARSは1週間から2ヶ月といった短いサイクルで入札を行なって金利を決定するタイプの債券で、地方公共団体や学生ローンの貸し手、CDPC(Credit Derivative Products Company)など幅広い主体が発行している。今でこそ“けったいな”仕組みだと騒がれているが、1年前までは北米ではそれほど違和感のある仕組みではなかったようだ。ARSの保有者は入札のタイミングでARSを売却することが可能であることから、一般に短期投資と位置づけられる。長期の資金調達を希望する地方政府などと個人などの短期投資家をつなぐ仕組みだったと言える。

モノラインの保証が付くARSも多いことから、モノラインの経営危機が表面化・加速しだした頃から入札が失敗する(買い手が見つからない)ケースが目立つようになる。買い手が見つからないとディーラーが引き取るのが慣習だったが、バランスシートを痛めた大手金融機関が入札でのARSの買取りを停止し、短期の金融商品のつもりで買った投資家が売るに売れない状況が続いていた。昨今SECや州当局が大手金融機関に額面での買取りを求めているのも、入札が成立しないと売却できないというリスクの説明が不十分だったことを咎めているものと思われる。

買取りを“強いられた”大手金融機関の中のトップバーターとして(?)、UBSが本日第2四半期の決算発表を行ない、若干の詳細を開示している。UBSが買取りを行なうとしているのは、7月に発表したAPS(Auction Preferred Securities)と呼ばれるARSの類似商品の35億ドルと、先週発表した83億ドル(リテール顧客から)と103億ドル(ホールセール顧客)の合計約221億ドルである。これに加えて、当局にペナルティーとして1.5億ドルを支払い、2月から8月までに売却した投資家の損失を穴埋めするとしている。

この結果、リスクアセットの増加はたいした数字にはならないが、バランスシートを縮小しようとする現在の方向性とは逆行しているとコメントし、損失については予測するのが非常に難しいとして、第2四半期は(とりあえず?)9億ドルを損失引当金としている。UBSが買い取ることになるARSの多くは地方公共団体や学生ローン関連であり、モノラインの保証つきのものも多くあると考えられることから、地方債や学生ローン市場のパフォーマンスやモノラインの存亡等によって最終的な損失が上下するのだろうか。ちなみに、6月末時点でUBSは83億ドルの学生ローンのARSを自己ポジションとして保有し、うち47億ドルはモノラインのラップ付きとしている。

大手証券会社のレポートでは、ARS買取りによる金融機関の損失は40億ドルといった見積もりが提示されていた。たいした根拠があるわけではないが、数字的には小さなノイズくらいで収まるような気もする。ただし、UBSではないが、レバレッジを下げようとする現在の動きとは明らかに逆行し、レピュテーションに与えるネガティブな影響も無視できず、経営者としては頭の痛い問題であることには違いないだろう。



2008.08.12 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

モノライン決算発表 その2

金曜日に発表された第2四半期のMBIAの決算は、他のモノライン同様にSFAS157による負債(CDSの時価のマイナス分)の時価評価による影響(約29億ドル)が大きく、17億ドルの純利益(1株あたり$7.14)となった。6月末の5年CDSが2800bps程度のレベルで、今は1000bps近辺ということで、今の今に関して言えば“かさ上げ分”もかなり剥げ落ちているだろう。市場が“かさ上げ分”の剥げ落ちをマイナスと見てプロテクションを買えば、CDSスプレッドはワイドニングして、再び会計上の利益が発生することになる。なんとも不思議な会計原則だ。

決算で目に付いたポイントとしては、Q2における住宅ローンの損失率の上昇は従来からの見込み通りということで、住宅ローン関連での損失の引当てを増やしていないことだ。この日決算発表を行なったFannie Mae等の大手金融機関が軒並み損失引当てを増やしている中で、MBIAだけは他社に比べて保守的な見積もりを行なってきたということなのだろうか。例えば、損失の大きい第2抵当権関連の商品(HELOCやCES)については、今後18ヶ月はストレスがかかった状態が続き、その後は大きく市場は回復すると見込んでいるが、果たして結果的に現実的な見積もりだったということになるだろうか。

GIC関連については、先般のMoody’sとS&Pの格下げによって担保の追加差出しとGIC債の早期償還の必要性が生じたが、これ見合いで40億ドルほどの資産を売却して3億ドルの売却損が発生し、また、追加の格下げに備えて3Qも資産売却を続ける意向を示している。Moody’sで1ノッチ格下げされると、追加的に36億ドルを、2ノッチ格下げされるとさらに54億ドル(2ノッチで合計90億ドル)を手当てする必要があり、Ambac同様に追加的な格下げに対する耐性は必ずしも強くないようだ。

Ambacが積極的に行なっている、個別の案件のRep&Waraの精査については、現在はこれによる回収増見込みを決算の数字に反映させていないが、今後プラスの影響が発生する可能性があるとしている。Commutationについては、50億ドル元本のCDSを解約コストの支払いなしで解約したと発表しているが、中身が不明なので影響のほどはわからない。詳細を開示していないということは、たいしたプラスになっていないのではとつい勘ぐってしまう。

MBIAのホームページで決算発表を見ていて気が付いたが、7月31日のFinancial TimesでNY州保険局のEric Dinallo氏が「モノラインは債務不履行状態("insolvent”)だ」と繰り返し発言しているヘッジファンドPershing SquareのAckman氏に暗に警告を発している。趣旨をまとめると、銀行や保険会社というものは市場の信用・信頼の上に成り立つものであり、債務履行能力に関する事実に基づかない説を世に広めることについては当局としてはペナルティーを考える。モノライン保険会社に関するネガティブなうわさによって、特にNYに本拠を置く大手金融機関やモノライン保険会社自体が大きな影響を受け、NY経済にもネガティブな影響が生じることになる。債務履行能力の有り無しの判断は、未公開情報を有する当局のみが行なうことが可能である、といった内容である。

明らかにAckman氏の言動を念頭においているが、Ackman氏はこれに対して、MBIAは負債をすべて市場で再保険にかけようとすると債務不履行になるとして、自説が正しいとの趣旨の発言を行なっている。果たして“言論の自由”と“風説の流布の統制”のどちらに軍配があがることになるだろうか。

2008.08.11 | Comments(2) | Trackback(0) | モノライン

No More Dance

南青山MANDALAにて仲井戸”CHABO”麗市のソロライブを鑑賞。土屋”蘭丸”公平とのユニットである麗蘭はほぼ毎年続けて聴きに行っているが、チャボさんのソロは結構久しぶり。20年程前にソロを始めた時の異様なかたさはなく、若い頃に作った肩肘張った作品を肩の力を抜いて演じる和やかなBlues Nightであった。後ろの席の隅には大久保さんが座ってニコニコご主人を見つめていた。今年は、愛用のギターセットの盗難や、見事な復活を遂げた盟友の忌野清志郎の再休養など、チャボさんにとって波乱の多い年であるが、いつものごとく精力的にライブ活動を続けている。

この日のゲストはRC時代から長く一緒に演奏している片山弘明(Sax)とたつのすけ(Key)。Saxの強い音にボーカルやギターソロがしぼんでしまうのではないかと、始まる前はチャボさんのソロに片山さんのSaxがどう絡むのか興味があったが、そこは長年の二人の呼吸で絶妙の押し引きが生まれ、暑いライブハウスで涼しい音色と温かい音色を熱く演奏してくれた。

この日はミニアルバムの”Present”シリーズからの名曲が多く演奏されて懐かしさを誘ったが、やはりRC時代の曲が特にうれしい。”ハイウェイのお月様”ではGlad All Overでの清志郎との掛合いが思い出された。あの時のSaxソロは梅津さんだったか片山さんだったか、もう記憶も定かではないのだが。”セルフポートレート”はライブで聴くのは久しぶりで、片山さんのSaxの曲の入り方にしびれた。

 企業の犬どもときたら 私腹を肥やしたいため 魂さえ売り飛ばし 利益を得る
 思惑どおり 見積もりどおり
 利益の行方ときたら 下っ端の俺たちにゃ 上っ面拝まされ 闇に消される
 思惑どおり 見積もりどおり
 No Dance No More Dance No Dance 二度と踊らない 踊らされても
        (セルフポートレートより)

今年2月の清志郎復活ライブで演奏した”コーヒーサイフォン”は、この日はエッセイの朗読付きで演奏した。「電車が遅れて僕は君を待たせてしまった」のは、チャボが初めて清志郎の国立の自宅へ訪問した時のことだったのかと発見、”だんだんわかった”を読んでいたのに今まで気が付かなかった、、。この日の演奏が清志郎にも届くといいな。

もう1時間で”Blue Monday”が始まってしまうが、夏のピークに暖かいひとときを過ごして、少しだけパワーが出てきたような気がする。仕事が始まると、またしぼんでしまうのだろうか、、。

追伸:スーツの背中を汗びっしょりにして熱演した片山さん、酒屋が閉まる前にお酒を買いにいけたのだろうか。

2008.08.10 | Comments(0) | Trackback(0) | ライブレポート

モノライン決算発表

水曜日に発表されたAmbacの第2四半期決算は上場以来最高益を更新とのことだが、これはちょっとした皮肉な冗談である。SFAS157によって負債(クレジットデリバティブの時価の負け分)をAmbacを参照するCDSのスプレッドで割り引くのだが、6月はCDSスプレッドが急拡大したために、負債の時価評価によるプラスが約52億ドル発生したことによる影響が大きく、この分を含めないと逆にアナリスト予想をさらに下回る赤字となっている。6月末のCDSスプレッドがざっくり2000bpsくらいで、現在は1000bpsくらいまでタイトニングしているので、今はこの“かさ上げ分”は相当程度剥げ落ちていると思われる。もちろん悪意があるわけでもなく、Ambac自身もこのことをことさらに強調して注意を喚起している。ちなみに、前のエントリーでも書いたが、MBIAは第1四半期決算で負債の時価評価のプラス分として36億ドルを計上している。この時のCDSが1000bpsを下回っていたのに対して、6月には3000bps近くにまでワイドニングしていたことから、金曜日発表されるMBIAの第2四半期も最高益更新となるのだろうか。

格下げによるGICビジネスにおける担保の差出しや早期償還に応じるための流動性については、これに見合う資産の評価が売却や時価下落の影響で2008年3月の58億ドルから52億ドルへと減少し、引き続きあと2ノッチの格下げによって不足が生じる状況が継続している。ABSや他のモノラインによるラップ債など、価格のボラティリティが高い資産も少なくない。数字上は現在のAa3を維持するのに必要な資本を33億ドル上回っているとのことであるが、数ノッチの格下げが更なる格下げにつながるリスクも念頭に置く必要がありそうだ。

この他、先日のCitigroupとのABS CDOスクエアの解約と同様のcommutationの交渉が進行中であることや、個別の案件においてRepresentation & Warrantに違反しているものがないかどうかの精査を行っていることを表明している。Rep & Warra違反については、Ambacが保証する住宅ローン関連債務において、住宅ローンを実行する際に不正などがなかったかを調査し、これが発覚した場合には保証の履行を拒否する、といったことだと思われるが、今回の決算でもこの精査の結果を反映して損失引当金を一部減らしている。Commutationにしても契約の精査にしても、地味な作業ではあるが、成功すればそれなりの効果は期待できるだけに、今後の進捗が注目される。

 FSAの方は約5億ドルの純損失となったが、Dexiaから資本注入(3億ドル)を受け入れること、GICビジネスにおける流動性リスクと信用リスクをDexiaが引きとること、Structured Financeの保証業務を停止するといった、諸々の“格付け対策”を発表している。FSAのGICポートフォリオには比較的大きな住宅ローン関連のリスクがあるだけに、GIC関連のリスクから解放されることは大きな効果があると思われるが、S&PはAAAを確認したものの、新規ビジネスやポートフォリオの質の今後の不透明性などを理由に見通しをネガティブにしている。6月にネガティブウォッチとしたMoody’sは、先日のコンファレンスコールでは9月上旬に結論を出すとコメントしていたが、どのような判断になるのだろうか。

2008.08.08 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

佐世保決戦

今日の注目はFreddie Macの決算でもAIGの決算でもAmbacの決算でもなく、佐世保で行なわれている将棋王位戦7番勝負第4局。タイトル保持者の深浦康市王位が地元佐世保で最強の挑戦者羽生善治四冠王を迎えうっている。

ここまでの勝敗は深浦王位の2勝1敗、先日の第3局の羽生の先手番をブレークしたのには本当に驚いた。何しろ、相手は第19世名人になったばかりの羽生である。今期に入って森内・佐藤と最強のタイトルホルダーを連破して四冠王になった羽生である。流れ的にはこのまま羽生が五冠目のタイトルを奪うと見る向きが当然多いなか、ここまで深浦王位が優位に7番勝負を進めている。

深浦王位は第3局の勝ち方がまた強かった。3三金と一見筋が悪くみえるが実に力強い金上がりで押さえ込み、羽生の攻めを細いものにして、最後も鮮やかに詰み上げた。羽生四冠は小駒を中心とした細い攻めをつなぐのが得意であるという印象があるが、素人目には深浦王位が終始押し気味だったように映った。

初日の今日は後手番羽生挑戦者の1手損角換りとなっている。初日にしては手が進み、羽生が銀をぶつけたところで封じ手となった。素人目には、なんだか深浦王位は自然な手が多く、羽生挑戦者はやや無理して暴れているような印象を受ける。何か成算があっての攻めだと思わせるのが羽生に対する信頼だが、このまま自然体で羽生の攻めをかわして勝ち切ったらまた深浦強しとの印象が残るだろう。

これまでの活躍はどちらかというと地味であったが、昨年羽生から王位を奪ったのに続いて今年羽生相手に防衛したら、九州男児深浦王位の男気のある将棋の評判が上がるであろう。王位戦と言えば、石橋幸緒女流王位のタイトル戦もそろそろ始まるが、昨年のようにジョイントで王位就位記念パーティーを開催することができるだろうか。

<後日記>
深浦王位の勝利で対戦成績を3勝1敗とし、王位防衛に王手!二日目も重厚で落ち着いた差し回し(に見えた)で羽生挑戦者をカド番に追い込んだ。今、羽生四冠にここまで勝てるのは深浦王位くらいだろう。ハブを退治するマングースの異名は伊達じゃない?ここからは、羽生四冠の奇跡的な巻き返しにも期待した。

2008.08.06 | Comments(0) | Trackback(0) | 将棋

最後のSIV

今日のFinancial TimesにSigma Financeの債券保有者が債権者で構成される委員会の結成を検討しているとの記事が出ていた。Sigma FinanceはGordian Knotという独立系の運用会社がマネージするSIV(Structured Investment Vehicle)で、昨年の夏以降のクレジット市場の混乱の中でSIVというビジネスモデルが実質成り立たなくなり、大半のSIVが清算されたか清算過程にある中で、ぎりぎりのところで何とか体をなしている唯一のSIVである。

高格付けの資産にレバレッジをかけて運用し、短期調達/長期運用という期間のミスマッチによって追加的な利鞘を確保するSIVからは、AAA格のシニア債とキャピタルノートと呼ばれる劣後債が発行される。シニア債はシンセティックCDOの“リスクフリー”の担保資産として、劣後債はレバレッジをかけたリターンを獲得する投資商品として日本でもなじみのある仕組みであった。先般日本でも話題になったCPDOの担保資産としても、Sigma Financeのシニア債が使われていたのは記憶に新しい。

サブプライム危機によって、まず高格付けのサブプライムRMBSやABS CDOに投資していたSIVやSIV-Liteと呼ばれる類似商品がクラッシュする。多くのSIVはサブプライム商品の組入れがないかごく一部に限定されているが、こうしたSIVもマーケットの混乱の中で短期資金のロールに躓き、スポンサー銀行の資金繰りのサポート等を受けながら清算モードに入っている。

Sigmaはこうした中で、以前からレポなどの代替の資金調達手段を準備していたこと、マーケットバリュー・トリガーを撤廃していたこと、運用・調達の期間のミスマッチが相対的に小さかったことなどから、レポや資産売却等を通じて自力で償還を迎えるシニア債の返済を行なってきた。だが、レポのカウンターパーティーがレポ資産として受け入れる資産の種類も限られ、市場での資産の売却も厳しい状況が続く中で徐々に余力を失い、AAAだったシニア債もシングルA格まで格下げされている。独立系であるが故にスポンサーの支援も限定的で、今後償還を迎えるシニア債の返済に暗雲が漂い、これを保有するUSのMMFなどはナーバスになっているのではないかと思われる。

今回FTが報道したのは、こうした中で一部の投資家が追加的な情報の開示を求めて非公式の債権者委員会(creditors’ committee)を結成する動きに出ているというものだ。記事によると、投資家はレポに出している資産の詳細についての開示を求めているようだ。優良資産をレポに使えば、(レポ取引の条件にもよるが)シニア債投資家向けの支払い原資となる資産が相対的に信用力の劣るものになることが懸念されているのだろう。

記事によると、保有資産は290億ドル程度とのことだが、今後も徐々に資産の市場売却が進むこと、市場環境の改善が見られずにシニア債の元本に毀損が出る場合には、これを保有するMMFに損失が発生して場合によって米銀などのMMFのマネジャーが資金を注入する可能性があること、Sigmaを組み込むシンセティックCDOにも毀損が及ぶこと、などがリスクシナリオとして考えられるだろうか。直近のMoody’sのレポートによると、資産の平均年限は3.7年で全体の64%が金融債で残りがABS、85%がシングルA以上ということで、徐々に売却する分には市場の需給に与える影響も限定的とも思われるのだが。

2008.08.05 | Comments(0) | Trackback(0) | SIV

ソフトランディングへの道のり

今週はモノライン保険会社の破綻回避・立直しに向けた動きがいくつか表面化した。

月曜日にはXL/SCAがMerrill Lynchをカウンターパーティーとする元本37.4億ドルのABS CDOの保証を5億ドルの解約フィーで終了(tear-up)することに合意し、これが実現すれば少なくとも近い将来は「法定資本がマイナス→当局の介入(rehabilitation)」という道を回避できる見込みとなった。

木曜日にはFitchがFGICをBBBからCCCへと格下げし、当局による介入を防ぐには上述のXL/SCA同様のcommutation(負担軽減)が必要となる見込みを示した。

金曜日にはAmbacがCitigroupをカウンターパーティーとする元本14億ドルのABS CDOスクエアの保証を8.5億ドルの解約フィーで終了(tear-up)すると発表した。この案件に対してAmbacは10億ドルの評価損(含むimpairment loss)を計上していたことから、この解約によって1.5億ドルの益が発生、また、この案件は格付会社のストレスをかけたモデルでは実質元本全額(14億ドル)が損失となる結果だったことから、格付けモデル上の数字も改善する。このニュースでAmbacの株価は大きく上昇、5年CDSも18.5%アップフロントから一時は14.75%アップフロントまでタイトニングしたようだ。

NY州保険局のDinalloは、こうした何らかのリストラがないと当局の介入が必要となるFGIC / CIFG / XLについては、当局が積極的に仲介して話しを進めているが、Ambacのようにそこまで切羽詰っていないモノラインに対してはある程度距離を置いて関与しているコメントしている。当局の意向はシステミックリスクを避けることや(特に地方債の?)保険契約者の立場を守ることにあると思われ、今後も必要に応じてモノラインと大手金融機関との交渉を後押しするのだろう。但し、交渉がスムーズに進むとは必ずしもいえない。XLとMerrillの場合は両者ともにスピードが要求される状況だったことから、比較的スムーズに落としどころが見つかったと思われるが、長い時間がかかるケースも当然あるだろう。特に、破綻寸前のモノラインの場合は、「このリストラに応じなければ破綻する」と半ば脅迫じみた交渉も可能となろうが、最大手の場合はそうもいかない。

格付会社の立場は、こうした既存の取引を解約する動きはモノラインの資本適正度上はポジティブではあるが、格付けは資本適正の数値だけで決まるわけではなく、今後のビジネスの見込みや財務の柔軟性なども重視するといったものであり、大幅なモノラインの格上げには慎重のようだ。また、Moody’sやFitchはcommutationが”distressed exchange”の要素を含めば、場合によってモノラインの格付けをいったんDまで引き下げることを示唆している。今後の展開によっては、CDSのCredit EventやISDA MasterのEvent of Defaultとの関連に注意を払う必要がありそうだ。

2008.08.02 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

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