スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- | スポンサー広告

メディアが報じるGSEのクレジットイベント

Fannie MaeとFreddie MacをFHFAの公的管理下に置くとの措置によって、CDSにおけるBankruptcy Credit Eventが認定される可能性があることを、ワンテンポ遅れて日本のメディア等も報道するようになった。新聞報道に多くの誤解や先入観が混じっていることは今に始まったことではなく、いちいち間違いを指摘していたら切りがないが、いくつか目に付いた誤解をあげてみる。実務家にとっても複雑な世界ではあるので、慣れていない記者などが一度間違えるのはしょうがない気もするが、少しずつでもクオリティが向上して欲しいものだ。

『ISDAはGSEを参照するCDSにクレジットイベントが発生したと決定した』

― クレジットイベントの発生を決められるのは取引当事者であって、当然ながら業界団体のISDAにそのような権利も責務もない。取りまとめ役としてISDAは主要な参加者にヒアリングを行ない、クレジットイベントが発生したと考える参加者が多かったことから、クレジットイベント決済をスムーズに行なう手続き(=クレジットイベント決済プロトコル)の準備を進めている、というのが正確な表現だろう。プロトコルが準備されたとしても、プロトコルに参加するしない、イベントを通知するしないは完全に取引当事者の任意であり、ISDAはクレジットイベントの認定機関ではない。


『ISDAはGSEを対象とするクレジット・デリバティブを前倒しで清算する手続きに着手すると発表した』

― これはクレジットイベント決済を行なうことを表現していると思われるが、“前倒しで清算”という表現はイメージ的にはわからないでもないが、正しい表現ではない。CDSはクレジットイベントが発生しない限り(プレミアムの支払い以外の)決済は行なわれず、決して決済を前倒しにしているわけではない。


『GSEを参照するCDSは100兆円単位にものぼり、これを決済すると数兆円単位の損失が発生する』

― CDSは相対の取引であるために、GSE2社を参照するCDSの残高を推計するのは難しい。2007年末の統計で、CDS市場全体の残高は62兆ドル程度とされる。このうち約半分がインデックスで、残りがシングルネーム取引とされる。今年に入っても取引量は増加しているが、一方でTriOptima社は今年に入って8月までに市場に存在する22兆ドル(!)のインデックス取引を相殺・解約したとしている。インデックス取引のうちGSE2社が含まれるのは北米のCDX IGだけで、このインデックスに占める構成比率も125分の2であることを考えると、インデックスの構成銘柄としてのGSE2社の残高は決して大きなものはない。シングルネームでの取引の残高を推計するのはより難しいが、合計で1兆ドルという数字を鵜呑みにするのは抵抗がある。また、こちらの方がより重要なポイントであるが、ここで議論している数字はグロスの数字であり、予想損失額を計算する際にはプロテクションの売り買いをネットした数字を使うべきである。簡単に言えば、今日1億ドルプロテクションを買って、明日1億ドル売れば、市場統計の数字は2億ドルの残高となるが、実際のリスク量はゼロということである。ISDAのプロトコルは、ネットでの決済をスムーズに行なう機能も持つ。さらには、CDSはいわばゼロサムの世界であり、誰かが損をすればどこかで同じだけ得をしている人がいるわけであり、もちろん個別では大きな損失を計上する参加者が出てくることもありうるが、システム全体での損得は理論上はゼロということになる。

潜在的なリスクについて警鐘を鳴らすことは非常に重要ではあるが、この書きぶりは大げさである印象が否めない。もちろん、極端に価格の低いCheapestなどがどこかに存在していたりしたら、話はややこしくなる。当面は、Cheapestの価格がどの程度のものなのか、Auctionではどの債券がDeliverable Obligationに選ばれる(あるいは選ばれない)のかが注目される。まだまだ注意は必要である。

スポンサーサイト

2008.09.11 | Comments(1) | Trackback(0) | CDS

«  | HOME |  »

FC2Ad

CalendArchive

人生が輝き出す名言集



presented by 地球の名言

プロフィール

dbsb

Author:dbsb
ようこそ。

FC2カウンター

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。