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クレジットイベント決済

9月はCDSのクレジットイベントの“当たり月”で、市場参加者や業界団体のISDAにとっては非常に忙しい月である。とりあえずはAIGが今のところはクレジットイベントに該当しなさそうな感じであり、多くの市場参加者はホッとしているだろう。イベントに該当している企業の中ではTembecはまだいいとしても、Fannie Mae、Freddie Mac、Lehmanの3社については取引量が多いこともあって神経質になるところである。IFRによると、イベントの発生以降にTriOptima社がCDXインデックスやシングルネームCDSの相殺・解約作業を追加的に行なっていることから、ある程度の取引残高の減少は見込まれている。

CDSは標準的には現物決済として契約されているが、ISDA等のアレンジによってこれを現金決済(と現物決済の組合せ)に変更する慣行(=クレジットイベント決済プロトコル)が一般化している。もちろんプロトコルは任意参加なので、元の契約に従って現物決済を行なうことも可能である。先週の金曜日には、これらの企業を参照するCDSのクレジットイベント決済プロトコルのスケジュールなどがISDAから発表された。

GSE2社については引渡可能債務の“仮”リストが発表され、2社のシニア債と劣後債の合計で231銘柄がリストアップされている(ゼロクーポン債は含むがPrincipal Only債は含まれていない)。来週からこのリストについて市場参加者の意見をつどい、9月29日に最終のリストと最終のプロトコルを発表し、10月6日に入札を行なう、といった“仮”スケジュールになっている(変更の可能性あり)。Lehmanについては、同じ週の10月10日が入札の予定日とされている。

短い期間での大企業3社の破綻という前例がない事態であるだけに多少の混乱は避けられないと思われるが、さらなる企業の破綻や市場の混乱によって上記のスケジュールに大きな影響がでないことを願いたいところだ。前向き(?)な話としては、今回ConservatorshipによってGSE2社がいわば”テクニカル”にクレジットイベントに該当したことを受けて、今後GSEを参照して取引する場合には”Conservatoship”をイベントの対象からはずす旨の文言を加えることの是非が議論されている。

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2008.09.21 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

一人歩きする数字

“62兆ドルの巨大マーケット”――― これはISDAの市場調査による2007年12月時点のCDS取引の残高であるが、最近この“62兆ドル”という数字があちこちで一人歩きするようになった。メディアなどの論調は総じて「こんなにまで肥大化したマーケットが金融市場を揺さぶっている」といったものが多い。一部メディアは昔から念仏のようにデリバティブ批判を繰り返してきたが、最近あちこちで出没しているクレジット・デリバティブ悪玉論者には、この“62兆ドル”という数字は使い勝手がいいようだ。

新聞を読んでいると、いつの間にか、AIGを窮地に追いやったのはクレジット・デリバティブで、当局がAIGを救済したのも“62兆ドル”のクレジット・デリバティブ市場の崩壊が金融システムに波及することを恐れたからということになっている。クレジット・デリバティブは信用リスクを取引する道具であり、道具が悪いというよりはこの道具を使って取得した信用リスクの中身に問題があるような気もするし、AIGの救済には(AIG債に投資する)MMFや保険契約者といった個人を守るという目的が大きかったように思う。

このテーマではちょっとした論文が書けそうだが、ここでは簡単に数字のトリック(?)について触れておこう(単純化のためにリスクの集中という観点は無視します)。

<架空の例-その1:CDSは道具にすぎない>
A銀行もB銀行もCDSによって信用リスクを取引している。その取引元本は2社とも1000億円に達する。メディアはクレジット・デリバティブの取引量の大きさから経営不安を報じるが、ふたを開けるとA銀行の1000億円はすべてトヨタ自動車の信用リスクの取得であり、B銀行の1000億円はすべてGMの信用リスクの取得であった。どちらもCDSの残高は巨額であるが、そのリスク量は天と地ほどの差があった。

<架空の例-その2:CDSはゼロサムの世界>
A銀行もB銀行もCDSによって信用リスクを取引している。その取引元本は2社とも1000億円に達する。メディアはクレジット・デリバティブの取引量の大きさから経営不安を報じるが、ふたを開けるとA銀行の1000億円はすべてGMのプロテクションの売り(信用リスクをとる側)で、B銀行の1000億円はすべてGMのプロテクションの買い(信用リスクをヘッジする側)であり、この結果A銀行は大幅な赤字決算となったが、B銀行は逆に大幅な黒字決算となった。

<架空の例-その3:ネットとグロス>
A銀行もB銀行も信用リスクの取引を積極的に行なっている。A銀行は社債投資が中心で、B銀行はCDSによる取引が多い。A銀行の社債保有残高は1000億円であり、B銀行のCDS取引残高も1000億円であった。メディアはクレジット・デリバティブの取引量の大きいB銀行の経営不安を報じるが、ふたを開けるとA銀行の保有する社債1000億円はすべてGMの社債であり、B銀行は500億円がGMのプロテクション買い、500億円がGMのプロテクション売りで、グロスの元本は1000億円だが、ネットではリスクはゼロであった。

62兆ドルという数字はグロスの数字であり、“近年市場における取引が増加している”ということを示しているが、それ自体にはあまり意味がない。売りと買いが両建てとなってリスクが相殺されているポジションを専門的に解約しているTriOptimaというベンダーは、今年の1月から8月までに約22兆ドルのインデックス取引(iTraxxやCDX)などの解約を行なったとしている。BISが発表する統計でも、グロスの元本と並べて時価評価額(イメージ的にはその時点で解約を行なった場合に発生する損益)を発表しているが、2007年12月の数字では、グロスの元本が約58兆ドルであるのに対して時価評価額は約2兆ドルとなっている。CDS市場について取り上げてもらうのは大歓迎だが、数字の裏側にしっかり目を向けて欲しいものだ。

2008.09.21 | Comments(8) | Trackback(0) | CDS

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