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2009年が良い年になりますように

 年末ぎりぎりに発表されたGMACの救済プランを受けて、GMACの5年CDSは16%アップフロントまでタイトニングしたようだ。ピークは70%ほどあっただろうか。来年以降につながって欲しいものだ。GMもタイトニングしたが、まだ76%アップフロントといった水準である。

 2009年は、早期の景気回復は期待できないものの、失業率の上昇も経済成長率の下落もデフォルト率の上昇も住宅価格の下落も峠をこえることがどこかで実感できれば御の字だろう。そして、保護主義が台頭して、地域紛争やテロ、戦争などが起きませんように。

 ストラクチャード・ファイナンスやデリバティブの問題点を洗い出して、今後の姿を占うという問題意識を持ってはじめたこのブログも、大量生産される”にわか専門家”による椅子からずりおちそうになる議論のあげ足をとるだけで終わってしまったような気がする。先日も、「SIVのせいでCDSが62兆ドルに膨れ上がった」ということを話している”専門家”がいました、と後輩から教えてもらったが、議論を展開しているのは実務家どころか金融の専門家ですらないとのことだ。王・長島の野球解説には耳を傾けたいと思うが、運動神経ゼロの”なんでもコメンテーター”が上原のピッチングを解説しても、だれも聞きはしないだろう。

 来年は、PCに接する時間を極力減らそうと思います。ブログの更新も減るかと思いますが、ご興味があればお付き合い頂ければ幸いです。2009年が良い年になりますように。

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2008.12.31 | Comments(2) | Trackback(0) | 市場雑感

年の瀬2008

 「麗蘭」の京都磔磔での恒例の年末ライブを観るため、29日・30日と京都に赴く。この時期にこんなソウルフルな空間が満喫できる場所は数少ないだろう。

 行きの新幹線は自由席が満席でずっと立ちぱっなし(グリーン車に振り替えるような時代じゃないし)、初日はライブハウスで体調を崩し、帰りは東海道新幹線が止まって1時間あまり車内に箱詰めとbad luckも重なったが、2日目にはお世話になっているJizo堂で陶器の買い物とリフレクソロジーに癒されて元気を取り返し、30日のライブは今年最後の盛り上がりを楽しんだ。

 麗蘭はRCサクセションの仲井戸麗市とThe Street Slidersの土屋“蘭丸”公平の二人のギタリストが17年前に結成したユニットで、結成以来、ツインギターとリズム隊でBlues、R&B、R&R等をベースにしたオリジナルのメロディーを紡ぎだしている。結成当時に留学先のイギリスで聴き込んで以来、すっかりリズムやビートが体にしみこんでしまい、このメロディーを好きになれる自分の感性に誇りを持ったものだ(自画自賛)。

 仲井戸さんも公平も麗蘭以外での活動も幅広く、麗蘭の活動は不定期であるが、年末には京都の磔磔に集まるのが恒例となっている。今年で17年目、16回目の磔磔ライブとのことで、私も10回以上は観に行っている。印象に残るライブも数多い。最近は北沢篤がドラムを担当しているが、オリジナルでは鈴木裕文がパーカッション&ドラムを担当し、独特の彩を添えていた(北沢さんも大好きです)。ゲストにSlidersのZuzuやAsachanといったリズム隊が参加した年、キーボードにDr. Kyonが参加した年、ベースの早川さんが何故かステージ前半参加しなかった年、雪で機材が届かずにライブが中止となったこともあった。

 結成当時は仲井戸さんが40才、公平が30才を超えたばかりの若さ(?)。当初のライブでは2人の間、そしてファンとの間に緊張感もあり、仲井戸さんが公平をステージで「蘭ちゃん」と呼んだことに対して公平がやんわりと拒否反応を示したなんてエピソードも聞いたことがある。2人の所属するバンドには忌野清志郎とHarryという絶対的な個性のボーカリストが存在し、2人が前面に立ってボーカルをとる機会は限られていた。2人とも決して歌がうまい方ではなく、たまにボーカルをとる時にも照れや気恥ずかしさがあるせいか、聴いているほうも苦しくなるようなこともあったが、麗蘭を始めてからはボーカリストとしても超一流になったように思う。

 この日のステージは実に安定感があり、結成当時の極度の緊張感が生みだした奇跡のグルーブも少し懐かしく思われたが、これだけ長くやっていてマンネリ感が最小限に抑えられていることの方が普通では考えられないことなのだろう。

 演奏した曲からいくつか。

「Simple Love Song」
―― Otis Reddingに対する愛情のこもったメンフィスサウンド。この日も公平のギターが温かかった。

「真冬の熱帯夜」
―― いつもはStonesのOne Hit (to the body)を連想するのだが、この日はJumpin` Jack Flashが頭に浮かんだ。

「真夜中のカウボーイ」
―― タイムリーにホームレスを唄った17年前の唄。やっぱり何回聴いても公平のギターソロにしびれる

「As Tears Go By」
―― Stonesのカバー。原曲では「私は座って見ていた」と「一人称」で唄われているのを、仲井戸さんは「あの娘は見ていた」と人称を変えて唄っていた。この曲は、BeatlesがYesterdayのようなバラードを発表した時期にStonesが対抗して(?)発表したとのことだ。

「Blues in 回転木馬」
―― 公平のボーカル。気のせいか、いつも以上のテンポが遅く感じられた。Sliders独特の”横のり”のうねりを思い出してしまった。

「Yes We Can」
―― Obamaに期待をこめた新曲。R&Bの大御所Allen Toussaintの”Yes We Can”がオリジナルなのではないかとのこと。

「今夜R&Bを」
―― 定番の曲。Steve CropperやBo Diddleyなど、数々のBlues manに思いを馳せながらギターソロが奏でられていく。最後は清志郎復帰への祈りをこめて。

「Harlem Shuffle」
―― Stonesのカバー。個人的に、出だしがかっこいい曲ベスト3に入る曲。

「年の瀬」
―― 30日だけ演奏。仲井戸さんが20才の時の作品ということで、38年前(私が生まれた年)の曲だが、少しも古さを感じさせない。


これ以上やせないように
これ以上へらないように
これ以上しゃべりすぎぬように

ジングルベルで気がついて
あの人たちの手紙を書き出す
今年も暮れるんだな

(年の瀬)
 

2008.12.31 | Comments(0) | Trackback(0) | ライブレポート

I just did not call to say I am in trouble

クリスマスもすぐそこまで来ているが、Detroit Three、FOMC、Madoffファンドなど、先週も引き続き大きなニュースには事欠かない週であった。今週・来週も、クリスマス・年末ムードとは程遠い展開になりそうだ。

先週は、大手金融機関等に対する格付けアクションが相次いだ。Moody’sは決算発表を行なったGoldman SachsとMorgan StanleyをそれぞれAa3→A1、A1→A2、CitigroupをAa3→A2へと格下げした。S&Pは金曜日に大手金融機関12社を一斉に格下げしているが、週の半ばにはGEとGECCのトリプルAを見通しネガティブとし、2009年の収益性によっては格下げを行う可能性を示唆した。

トリプルAと言えば、CDPC(クレジット・デリバティブ専門会社)の老舗であるAthilonに対して、Moody’sはAaaからBaa1まで一気に格下げしている。ここ数年でトリプルAを失った代表的なものを挙げてみると、RMBS、ABS CDO、シンセティックCDO、CPDO、SIV、CDPC、モノラインといった証券化に関連したものから、AIG、UBS、Kaupthing(!)といった金融機関まで、多岐にわたる。ToyotaがFitchから格下げされ、GE・GECCにネガティブウォッチがついた今、安定的なトリプルAと言えば、米国政府くらいなものだろうか(皮肉が過ぎる?)。

S&PがMorgan StanleyをAとしたことで三菱東京フィナンシャルグループと並び、ようやく「破綻の危機を救った側」の格付けが「救われた側」よりも低いという逆転現象が解消された。

(竜王戦第7局以外で)個人的にトップニュースと感じているのは、Deutsche Bankが発行体に早期償還する権利のある(=コーラブル)期限付劣後債をコールしない(早期償還しない)と発表したことだ。長年にわたって、コーラブルの期限付劣後債・永久劣後債は経済合理性にかかわらずに発行体がコールをかけるものという暗黙の了解が存在してきた。10月のI just call to say I love youというエントリーでも書いたように、金融危機が深刻化して銀行の資金調達が困難となる中で、暗黙の了解が破られる可能性は水面下では上昇していたのだが、いざDeutsche Bankのような最大手がコールをしませんと宣言すると、改めて影響の大きさを実感する。投資家団体はDeutsche Bankに抗議を申し入れるとともに、他の大手銀行には追従しないようにと要望を出し、また、一部の投資家はDeutsche Bankの社債をすべて投資対象からはずして抗議の意を示しているようだ。

基本を簡単におさらいすると、BIS規制を受ける銀行が自己資本比率を高めるためには、「資産を減らす」ことと「資本を増やす」という選択肢がある。「資本を増やす」ためには、株式を発行するのがオーソドックスではあるが、この他にも劣後債にも資本性があるということで、(詳細は省くが)一定の制約の元に自己資本としてカウントすることが認められている。Lower Tier II(LT2)とよばれる期限付劣後債については、残存期間が5年以上あるものは元本全額が自己資本として認められ、4年以上は元本の80%、3年以上は60%、というように残存期間が5年を切ると自己資本としてカウントできる金額が減少する。

一方で、投資家のニーズは5年程度以下の年限にあることが多く、期間が長い劣後債を発行しても販売できる金額には限りがある。この“ギャップ”を埋めるために作られたのが俗に“10NC5(ten non call five)”とよばれる「年限は10年だが5年目以降に発行体に早期償還する権利が付与されている」タイプの債券である。クーポンは、たとえば当初5年目まではL+20で、後半5年はL+80と大幅にステップアップするものが多い。これによって、発行体は(残存期間が5年以上である)当初の5年間はBIS規制上の恩恵を100%享受することが可能となり、投資家も5年目からクーポンが跳ね上がることなどからほぼ確実に5年目にコールがかかって終了する債券、という認識で投資を行っていた。実際に、セカンダリー市場では5年目のコール日を満期として価格が計算されていたし、CDSでヘッジする場合でも5年目のコール日に合わせることが一般的であった。

発行体からすると、5年目にコールをかけないと利払い負担が増加し、自己資本としてカウントできる金額も減ることから、「コールをかけて新たに10NC5を発行する」ことが経済的に合理性のある当然の選択肢だった。それ以上に、投資家は5年目にコールがかかるものとして投資を行っている以上、コールをかけてしまうと投資家の期待を大きく裏切ることになり、以降同様の劣後債の発行市場から締め出しをくらってしまうリスクを抱えることになる。

Deutsche Bankの場合、金融危機によって新たに期限付劣後債を発行するとおそらくL+200とか300といった発行コストになることが見込まれる一方で、今回の債券(10億ユーロ)はコールをかけないことでクーポンはL+88にしかステップアップせず、経済合理性からすると今回の判断は至極当たり前のことではある。Deutscheはまだではあるが、公的資金が入った銀行などは、国から借りた資金で既存の社債を早期に償還することには各方面から待ったがかかる可能性もある。それでも、コールをかけるという暗黙の了解を破った代償は、資本市場の投資家とのリレーションという、将来を考えると決して小さくはないものである。

今回の発表によって他の銀行も追従することも大いに予想され、社債もCDSも銀行の劣後クレジットのスプレッドは拡大した。すでにある程度は織り込まれていたリスクであるが、スプレッドが拡大したということは、完全には織り込まれていなかったのだろう。今回の発表を予想していなかった社債保有者にとっては、残存1ヶ月債としてリスクもキャッシュフローも見ていた債券が残存5年1ヶ月債に変わってしまった。これが理由でキャッシュショートとなって連鎖破綻が起きるようなことはないだろうが、価格面からも資金繰り面からも対応を迫られることになった投資家は相当気分を害しているだろう。

証券化商品・コーラブル劣後債という自己資本対策には欠かせなかった道具が、少なくとも短期的には使いにくいものとなってしまった。CDSにも実務を無視するような過度な規制がかかるようになると、なおのこと銀行にとっては逆風である。今でこそ政府のサポートによってなんとか生き延びているが、将来的には、こうした道具の使い勝手が悪くなると、その分資産を売却したり、新規の融資を絞ったりすることが容易に想像される。バーゼル規制も含めて、銀行の資本構造の周辺については根本的に見直しを行なう必要性が高いだろう。





2008.12.21 | Comments(1) | Trackback(0) | 市場雑感

ボトムはまだまだ先

先週はBig threeの帰趨ばかりに注目していたが、その間にTribuneがあっという間にChapter 11を申請し、エマージングではエクアドルがRepudiation(履行拒否)を宣言した。景気が悪化してお金が回らない状況が続く中で、今後も投機的階級の企業やエマージングにおいてデフォルトが増加することが容易に予想される。悪いことに、デフォルト率が高い時には回収率は低くなる傾向があり、担保付なので回収率が高いはずのレバレッジド・ローンの世界でも回収率の低下が著しく、米銀をはじめとするレバレッジド・ローンの貸し手やCLOの投資家にとっては頭の痛いところだ。投資適格級クラスでも、消費者金融・建設・REIT・リテールといったセクターは苦境が続き、日本もまったくひとごとではない。

金融機関やファンド・投資ビークルからの資産の売り圧力はまだまだ強い。嵐のような投売りもあって、さすがにファンドや投資ビークルからの売りはそろそろ山を越えるような気もするが、商業銀行・投資銀行・保険会社などのデレバレッジはまだまだ続きそうだ。現在の市場は売るに売れない状況で、ディーラーはポジションを増やさないようにしながらじっと耐えているが、市場の回復に合わせて資産の売却も再開するのだろう。市場回復→資産売却→市場下落→停滞期間→市場回復→資産売却、、、というサイクルがあと何回過ぎれば、ポジションが軽くなるのだろうか?株にしてもクレジットにしても、まだまだ持続的な回復は期待できそうにない。経済環境に閉塞感が漂う中で治安の悪化も懸念されるが、どうか戦争にだけはならないことを祈るばかりだ。

デレバレッジが完了した後の世界はどうなっているのだろうか。2年前に比べて、金融機関の資金調達コストがはるかに高くなり、収益性の低下はさけようもない。規制のあるなしにかかわらずレバレッジを高めることは当面は考えにくいし、リスク許容度が低い中でトレーディング益も期待薄できない。何か、まったく新しいバブルでも見つからない限りは、ボトムをつけてからも先は相当長いように思う。サブプライム危機が発生した1年半前には、日経平均が9000円を下回るまで株は買うまいと心に決めたが、9000円を下回った今でもなかなか買う気になれない(外貨はつい早まって買ってしまったが、、、)。

それにしてもTribuneの破綻は衝撃的かつ象徴的な出来事だった。このネット時代、日本の新聞もひとごとのように報道している場合ではないだろう。「正確な内容の記事よりも、人目を引く記事を書かなきゃいけないんですよ」なんてプロ意識のかけらもないこと言って経済専門紙が”トンデモ記事”ばかり書いているようでは先が思いやられる。わが将棋界も、昔から新聞各社が最大のスポンサーであっただけに、今後の伝統文化を安定的に継承する道を真剣に考えなければいけない時代になったと思う。

2008.12.14 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

クレジットイベントの影響

10月のアイスランドの3銀行の破綻以降、投資適格級銘柄の怒涛のクレジットイベントの流れはいったん止まったが、一方でMasoniteやHawaiian Telecomなど、レバレッジドローン銘柄の破綻は続き、今後も増加しそうな勢いである。目先はなんと言ってもGMがCDSにおいてクレジットイベントに該当するか否かが注目されるところである。

基本的なところから整理すると、クレジット・デリバティブの定義集には6種類のクレジットイベントが規定され、米国の民間法人銘柄を参照する場合は、市場参加者はこのうち「バンクラプシー」と「支払不履行」の2つ、またはこれに「リストラクチャリング」を加えた3つを適用して取引を行なっている。大まかには、投資適格級銘柄を参照する単一銘柄取引では3つを適用し、インデックス取引などでは2つを適用する。

バンクラプシーは企業の法的な破綻手続き全般を含み、Chapter 11などの連邦破産法の申請もバンクラプシーに該当する可能性が極めて高い。リストラクチャリングは、既存の債務の返済元本の減額や金利の引下げ、支払期日の繰延べなどを債権者と合意するようなケースをカバーするイベントである。

GMがChapter 11を申請した場合、GMを参照するあらゆるCDSにおいてクレジットイベントが宣言される可能性が極めて高い。一方、GMが銀行などの債権者と債務免除などの合意を行なった場合、単一銘柄取引の多くにおいてクレジットイベントが宣言される一方で、インデックス取引には影響がないと思われる。

ここで、DTCCのデータベースから11月末時点のネットの想定元本の数字を拾うと、

GM Corp 単一銘柄CDS = 約34億ドル
GM Corp インデックスCDS = 約8億ドル

ついでに、

GMAC 単一銘柄CDS = 約44億ドル
GMAC インデックスCDS = 約5億ドル

Residential Capital 単一銘柄CDS = 約22億ドル
Residential Capital インデックスCDS = 約16億ドル


というわけで、GMがChapter 11を申請すると約42億ドルが、債務免除を合意すると約34億ドルにおいてクレジットイベント決済が行なわれる(ネットベース)。GMACやResidential Capitalが共倒れをなると、さらに数字は大きくなる。DTCCのデータベースにはテーラーメードなシンセティックCDO取引などが含まれていないことから、実際はこの数字よりやや多めに見ておいた方が正確かもしれない。

この数字をどう見るか。CDS残高が42億ドル(+α)であるのに対してバランスシート上のGMの負債は1690億ドルほどであり、数字の上では大きなノイズには見えない。GMが破綻すると1690億ドルの中から融資の出し手、社債保有者、取引先などに損失が発生し、それなりに大きな影響がでるかもしれないが、一部はCDSのヘッジによって損失を免れ、代わりに保険会社などの投資家が広く(浅く?)損失を被る。いうまでもなくシステム全体ではCDSの損益はゼロサムとなる。

Lehmanの時と比べると、Lehmanの時に実際にCDSの決済で動いた金額は60~80億ドル程度ということだから、仮にGMの破綻時の価格がゼロに近いとすると、Lehman以下の金額が動き、GMACやResidential Capitalが連鎖破綻すると、Lehmanを超える数字となる。

ただし、Lehmanの時よりも楽観的になれる要因として、GMはデリバティブのディーラーではなく、デリバティブの世界ではカウンターパーティーリスクは最小限にとどまることがあげられる。さらには、Lehmanの時は破綻が唐突であり、破たん前のスプレッドが(確か)10%以下であったのに対して、GMのCDSスプレッドはすでに元本の90%にも達していることから、時価評価が原則のCDSにおいてはほぼすべて織り込み済みとなっていることである。時価評価→損益計算書への反映が要求されない融資や社債の保有者で、十分に減損や引当てを行なっていない人がいるとしたら、突然損失が発生することもあるだろうか。

テクニカルなことだが、リストラクチャリングでクレジットイベントが構成されると、いつものオークションによる決済がそのままでは活用できなくなることから、イベント決済を行なう事務的な手間隙は大きくなりそうだ。さらには、GM-GMAC-Residential Capitalに続いて、Ford-FMCCやその他の自動車・自動車部品メーカーなども次々に破綻するようになると、実務的にはCDS市場は面倒くさいことになりうる。まあその時は、社債・融資・経済全体がメルトダウンに近い状況で、デリバティブのことなんか誰も気にもしなくなっているような気もするが、、、。









2008.12.07 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

政府サポートによる銀行のファンディング

英米で政府の保証付の銀行債の発行が相次いでいる。発行コストの高さに目をつぶれば、銀行にとっては当面の資金繰りの確保に役立つ反面が、国のバランスシート負担の増加によってソブリンの信用力に対する市場の評価が低下し、ソブリンを参照するCDSは日々ワイドニングしている。

英国の場合、財務省の保証によってリスクウェイトが0%になることから、銀行系の投資家が主な買い手であるようだ。直近の発行レベルを見ると、3年くらいの年限でポンド建てやユーロ建てだとLibor+20程度のクーポンとなるが、ドル建てだとベーシスや需給の関係もあってかLibor+90といった水準になっている。

米国の場合、FDICの保証でもリスクウェイトは20%ということで、英国の政府保証債ほど銀行系の投資家には人気はないらしい。こちらの直近のレベルは、3年くらいの年限でドル建てでLibor+85程度、ユーロ建てだとLibor+50を割り込むようだ。

年限や通貨によって発行スプレッドは異なり、また発行体によっても微妙に異なる。新しいアセットクラスということで、発行市場も流通市場もそこそこ価格は動き、落ち着きどころを探っているようだ。

表面的な発行コストは上述の通りだが、政府の保証がただでもらえるわけもなく、発行体の金融機関は政府に保証料を払っている。

米国の場合、保証料は一律で年率0.75%という案もあったが、結局は年限に応じて、180日未満は0.50%、長い場合は最大1.00%となる。

英国の場合はより緻密で、保証を受ける発行体の信用力が保証料に反映され、例えば信用力の相対的に高いBarclaysはHBOSよりも安い保証料で保証債を発行できる。信用力をどう測るかというと、英国政府はCDS市場の信用力評価を活用し、「保証債の発行体を参照するCDSの過去1年のスプレッドの中央値+0.50%」というルールとなっている。

さて、国から資本注入を受入れ、社債市場で大量に資金調達を行なっている銀行が、国の思惑通りに民間企業向け融資を伸ばすだろうか?国有化の度合いによっては、なかば強制的に融資を増やすことにもなるだろう。しかし、企業の体力が急速に悪化している今の時期に行なう融資はどう考えてもリスクの高い融資となり、将来的には銀行のバランスシートの劣化につながる恐れもある。まっさきに損失を被るのは、国が注入した優先株にさらに劣後する普通株主であることを考えると、まだまだ銀行の株は上昇が見込めないような気がする。

(追伸) 今日の経済紙の夕刊では、先般のCitigroupの救済策についてのコメントがあったが、なんだか「?」な内容だった。基本的に”保証スキーム”を”不良債権の買い入れ”や”資本注入”より効果の高い自己資本対策として評価しているが、どの方法もプライシングによっては効率がよくも悪くもなる。一方で、ベアスターンズの時は資産を切り離して損失を確定したが、今回は資産がバランスシートに残っているので不動産市場が下落すれば損失が膨らみ損失を先送りしている、と解説しているが、資産価値の下落による損失を一定範囲におさえて最大の損失額を確定させているのはどちらの救済策も同じである。そもそも、このスキームは本質的には”証券化”の技術を使い、保証も”CDS”と同じ経済効果なのだが、果たして米国政府が明示的に「証券化の技術を使ってCDSで保証します」と宣言したら、アンチ・ストラクチャードファイナンスのメディアはどのように論じただろうか興味があるところだ。

2008.12.04 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

ヘッジファンドの終えん(??)

私はヘッジファンドについては素人に近いが、素人目から見ても”いかにも”という記事が先週金曜日の大手経済紙の夕刊に載ってたので、ご紹介まで。素通りしようかとも思ったが、「ヘッジファンドってサブプライムのCDOでやられて縮小しているんだ」って勘違いしている人が身近にいたので、念のため。

「ヘッジファンドの終えん(タイトル)」
――― おいおい、勝手に終わらせないでくれ

「ヘッジファンドは複雑な取引で高い運用成績を誇ってきた」
――― 証券化商品にしても何にしても、自分が見たことがない商品をすべて「複雑」の一言で済ませる癖はどうにかならないものか。ヘッジファンドには金融工学を理解していなくても十分理解できる単純な戦略も数多く存在する。

「高い利回りを得るためにCDOに積極投資~サブプラム問題で大きな損失~運用成績は悪化」
――― いったいどれだけのヘッジファンドがCDOに投資しているのか、ヘッジファンドの総資産に占めるCDOの割合がどれだけあるのか調べたことがあるのだろか?ヘッジファンドのパフォーマンスが悪化している原因くらい、少し取材すればわかるだろうに。

「運用手法はブラックボックス、中身が見えず高利をうたったサブプライム商法は破綻」
――― 「中身は見せませんが高利回りですよ」を売り文句に販売したファンドやCDOに実はサブプライムが混じっていて投資家はだまされて損をした、という発想を持っている?メーカーがヒット商品の作り方を開示しないのと同様に、ヘッジファンドも運用手法の肝を自分のファンドに投資もしていない人に進んで開示することは少ない。ファンドの投資家に対しては個別のポジションを含めて相当程度透明性の高い開示を行なっているところも多く、CDOに投資しているファンドの投資家であれば、そのファンドがCDOを買っていることをわかった上で投資しているはずだろう。

「多くのファンドがタックスヘイブンに籍を置く。金融サミットは不透明で不公正な取引にメスを入れる方向性を示した」
――― タックスヘイブンにある無数のSPCは不透明な存在で、不公正取引の温床?

「ヘッジファンドに投資している機関投資家の含み損が拡大、金融不安を増幅する要因となっている」
――― ヘッジファンド投資の損失で特定の機関投資家が大きな含み損を抱えて、それが原因で金融不安が増幅しているなんて状況を見たのだろうか?

「一部外資系金融機関は富裕個人にヘッジファンドへの投資を勧めている。情報の非対称性を利用して、売り抜ける狙いとみられる。厳しい規制が欠かせない」
――― 営業現場を取材している?この時期に新たな投資家のマネーを入れることは、既存投資家の利益を保護することにもつながるという発想はないのか(まあこれを期待するのは無理か)?今の時期にヘッジファンド投資を行なうことがエントリーの価格にかかわらずすべからく危険な試みなのだろうか?

運用に失敗して大きな損失を出しているヘッジファンドや投資家保護を考えない証券会社のセールスが一部に存在することは事実であるが、大した取材もしないで思い込みだけで「ヘッジファンド」「CDO」「タックスヘイブン」を悪と決め付けるのはいかがなものだろうか、、、。

「情報の非対称性」という言葉は非常に政治的に便利で色々なところでつい気軽に使ってしまいがちだか、重要な概念である一方で実際に意味するところは意外にあいまいである。「腐っているとわかっていてそれを隠して売る」、これはモラルに反するというより犯罪行為だ。「色々経済情報が豊富なので株式市場の先行きに悲観的なセールスが個人客に株を売る」、これは押し付け営業でなければ許容範囲のような気もする。「欧米市場よりも日本市場でのほうが割安に資金調達できるから日本で債券を発行するが、欧米市場での発行コストのことはあえて開示しない」、「法人向けよりも個人向けの方が割安に資金調達できるから個人向けに債券を発行するが、法人向けの発行コストのことはあえて開示しない」、これも日常茶飯事であるが、許されるかどうかは程度の問題ということか。「ヘッジファンドを情報の非対称性を利用して売り抜ける」って、どういう意味だろう、、。

2008.12.02 | Comments(2) | Trackback(0) | ヘッジファンド

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