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劣後債事情

ここ数ヶ月、何度か取り上げた劣後債市場において、先週も色々と動きが見られた。

日本では、金曜日に三菱東京UFJ銀行が個人向け劣後債を条件決定したが、8年で2.75%という水準が受けて発行額は4500億円まで積みあがった。他行にも追従する動きもあるようで、三菱UFJ信託銀行など法人向けの起債もあるが、日本では劣後債権者が切り捨てられるリスクや、コーラブルの劣後債がコールされないリスクについての意識は低いのかもしれない。仕事上の制約がなければ個人的にも三菱東京UFJ銀行の劣後債は検討に値したのだが、8年後の世の中の見通しはまったくもってわからない。

海外では、引き続き、国有化によって劣後債権者が引き捨てられるリスクや、コールされないリスク、クーポンが繰り延べされるリスクなど、神経質にならざるを得ない部分が大きい。先週の木曜日には、イギリス政府は国有化されたBradford & Bigleyの国有化の条件を変更し、この中で、期限付き劣後債の利払いの繰延べを可能とする内容が含まれていた。Tier 1債などと違って、通常期限付き債の利払いは繰延べが認められていなく、これを怠るとデフォルトとなるが、政府がルールを変えることでこの前提が崩れることになる。イギリス政府は、この変更は柔軟性を高めるものであって、実際に利払いの遅延を促すものではないとコメントしているが、市場は敏感に反応して、金融機関の劣後クレジットで構成されるiTraxx sub Financialインデックスは、金曜日に275/300と50bpsほどワイドニングしている。

先週は欧米ともに銀行の株価が悲惨な状態だったが、国有化によって犠牲となるのは、株主だけではなく、債権者にも徐々に広がっていくというリスクを意識せざるを得ない。





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2009.02.22 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

久々にモノライン

 先週、NY州とイリノイ州当局からの認可獲得にともない、モノライン最大手のMBIAが事業部門の再編を発表した。非常に大雑把に言うと、従来、持ち株会社のMBIA, Incの子会社であるMBIA Insurance / MBIA Insurance Illinoisにてストラクチャード・ファイナンス(SF - 証券化商品中心)とパブリック・ファイナンス(PF – 地方債中心)両方の保証を行なっていたのを、今後はSFと米国以外のPFの保証はMBIA Insuranceで、米国のPFの保証はMBIA Insurance Illinois(National Public Finance Guarantee Corporationに名称変更)でそれぞれ行うというものである。MBIAはこの再編を”good bank – bad bank”モデルではないと強調し、将来的にはSFや米国以外でのPF業務の再開も視野に入れているとしているが、アメリカの地方債市場を守ろうとする当局主導の動きによる事業再編という側面が強いのだろう。

 National PublicにはMBIA Insuranceから5370億ドルの地方債ポートフォリオと(配当とプレミアムという形で)50億ドル程度の資本が移転される。証券化商品のリスクが切り離され、質の高い(とされる)米国のPFに集中できることから、格付会社のスタンスはどちらかというとポジティブで、Moody’sは従来のBaa1を格上げ方向で見直しとし、S&PはAAからAA-と1ノッチの格下げに留めている。以前から、証券化=bad / 地方債=goodといった構図があったが、今後は米国の地方公共団体のクレジットの劣化も予想され、オバマ政権が有効な政策を打ち出せないのであれば、地方債ポートフォリオと言えども予断は許せないだろう。なお、Moody’sは、モノライン業界に対する市場の信認が変化していることから、National Publicを格上げしてもA格にとどめるとしているが、Moody’sの大株主であるBerkshire Hathaway傘下のモノラインは引き続きAaaとしたままであり、米国ソブリンのAaaといい、政治的なにおいを強く感じる。本題からははずれるが、「デリバティブが大嫌い」なはずのWarren Buffet率いるBerkshire Hathawayは、株価下落による株式デリバティブの損失懸念が払拭されず、金曜日も株価は下がりCDSも拡大した。政治的な要因がなければAaaも危ういのではないかという気もする。
 
 残されたMBIA Insuranceは、SFと米国以外のPF合計2400億ドル程度のポートフォリオを98億ドルの資本で支えることになる。Alt AやCMBSなどの毀損が今後も進むことが予想されることもあり、CDSのスプレッドはアップフロントで60%を超える水準まで拡大している(発表前に比べて+10%程度)。Moody’sはBaa1からB3へ、S&PはAAからBBB+へと大きく格下げし、これにともない、MBIAが保証する証券化商品のうち、原資産の格付けがないものや低いものについては、格付けの取下げや格下げが生じることになる。多くは織り込み済みであると思われるが、損失引当ての甘い某大手海外金融機関などにおいて、ちょっとしたノイズが発生する可能性は否定できない。MBIAは過去2年における保証履行による支払額は約20億ドルであったとしている。モノラインの保証は、スケジュール通りの元利払いに対するものであり、一部の例外を除いて、保証が前倒しとなることはない。新聞や書籍などで、“専門家”の方々が「住宅ローン市場の混乱でモノラインは大量に保証の履行を迫られた」といったような分析をされているが、これは正確ではない。ここまでボロボロな市場環境であっても、MBIAが保証を履行したのは8000億ドル弱のポートフォリオのうち20億ドルに過ぎない。

 持ち株会社のMBIA, Incについては、Moody’sはBa1のまま据置きする一方、S&PはA-からBB+へ格下げした。内部的な事業再編によって持ち株会社の格付けが4ノッチも変わるのは少々違和感があるが、元々が高すぎたということなのだろうか。

 今後の展開としては、Ambacも当局主導で同様の再編を行うことが予想される。また、辛うじてデフォルトを回避しているFGICやCIFG、Syncora (旧XL)について、遠くない将来に何らかのアクションがおきる可能性も否定できない。S&Pは、MBIAを参照組織とするシンセティックCDOに対する影響はmoderateであるとしているが、モノライン保証つきの証券化商品や、モノラインを参照組織とするシンセティックCDOについては、引き続きネガティブなヘッドラインニュースが続きそうな気もする。北米のCDS市場では、3月中旬に市場慣行の大きな変更が予定されているが、それまでにGMやらモノラインのクレジットイベントによって市場がバタバタすることがないとよいのだが、、。

2009.02.22 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

禁酒法(続々編)

現物の裏付けのないCDS(naked CDS)の禁止法案などを審議していた下院農業委員会(House Agriculture Committee)において、修正案HR977が承認された。この後は、他のの委員会などで審議されるようだ。

クレジット・デリバティブ関連では、

(1)今後行なわれるOTCデリバティブ取引(金利・為替・クレジット・株式デリバティブなど)は、CFTC管轄下のクリアリングで行なうことを原則とする。一定の基準を満たす取引はこの限りではない。また、場合によっては、SEC管轄下のクリアリングや、海外のクリアリングを利用することも可能とする。

(2)現物の裏付けのないCDS (naked CDS)について、SECの(株式)空売り規制の実行時において、大統領の合意の上で、取引を一時的に停止する権限をCFTCに付与する。

この2点が大きなポイントであろうか。(1)については、法案が成立してから150日後に実行となるようである。

一部の取引をクリアリングの対象外にするには、市場参加者は自分の財務力が健全で取引も健全なものであるとことをCFTCに対して証明する必要があり、CFTCは承認する上で参加者に必要なキャピタルの積むことを要求する。CFTCがどれだけ柔軟に判断するのか、そもそもCFTCにどれだけ財務の健全性や取引の健全性を見極める能力があるかは定かではないが、”OTCデリバティブは例外なく取引所取引”といった強硬なスタンスからは、現実的になったとも言える。

CFTCは参加者の取引高にもリミットを加える権限があるようだ。この法案導入の背景は大手の米系金融機関の破綻とされているが、果たして格付会社への信認が存在していた2年前に、AAAよりもさらのリスクの低いスーパーシニアから構成されるAIGのポジションを当局が見て、「こんな危ないものをたくさん持っていてけしからん、すぐにリミットを加えよ」と判断できたかどうかは疑わしいところである。民間にリスク管理を任せるとろくなことはなく、判断能力の高い当局がモニタリングすれば安心、というところがスタート地点なのだろう。

株の空売りを禁止する時に、naked CDSも同時に禁止するためには大統領の合意が必要とのことであるが、将来そうなったときに政権がどのような判断をするかも興味深いところである。そもそも、naked CDSとcovered CDS(現物の裏づけのあるCDS)の区分は非常にあいまいで、市場に余計な混乱が生じることは目に見えているのだが、、、。





2009.02.14 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

1月のCDS市場

1月中旬からDTCCが週間のCDSの取引件数と元本金額をレポートするようになった。対象はDTCC経由で取引されるCDSで、全世界の市場をカバーしている。これによると、1月12日ー16日の週は1週間で42,618件の取引が行なわれ、グロスの元本は合計で6000億ドル程度となっている。この数字はピークから比べると地味な印象を受けるが、1月26日-30日の週には市場は活性化し、1週間で54,549件、グロスの元本で合計1.3兆ドルほどの取引が行なわれている。1日に換算すると11,000件となり、最大手のディーラーにおいては1日1,000件ペースを回復したようだ。一方で、TriOptimaなどによる売り買いが両建てでリスクが相殺される取引の解約作業も進み、1月26日-30日の週には1.8兆ドルほどが解約されているため、ストックをレポートするISDAやBISの統計上の数字は着実に減少していることだろう。

大手ブローカーのGFIによると、1月に欧州市場でもっとも取引量の多かった銘柄は、企業銘柄ではGazprom、ソブリンではRussiaであり、CDS市場の関心がEmerging市場に向かっていることが確認できる。ここにきて、 Kazakhstanが大手銀行の国有化をめぐってきな臭い状況になっていることもあり、2月にもこの傾向が続いているのだろう。ちなみに、北米市場ではCitigroup、アジア市場では住友商事がもっとも取引されたとのことである。

日本市場はというと、1月はインターバンク市場の取引の減少が際立っていたが、2月に入って少しずつではあるがトレードが増えている。会社更生法を申請した日本綜合地所を参照する取引は、インターバンク市場では残高は皆無のようであり、社債の保有者や融資を行なっていた銀行はほとんどヘッジできていないのではないか。新聞を見ると、破綻した後に引当てを行なう銀行もあるようだが、CDSであれば時価評価が行なわれているわけであり、会計上の透明性は社債や融資に比べて高い。

yokokenさんがご紹介されているように、東京金融取引所のホームページでクレジットデリバティブに関するQ&Aが掲載された。点数稼ぎの政治家や、売上げ増加に躍起になっているメディア、知名度を上げたいコメンテーターやジャーナリストや先生方などによってスケープゴートにされてしまっているデリバティブや証券化商品であるが、経済規模の縮小に合わせて当面は市場の大幅な縮小は不可避と思われるが、将来また”効率よくリスクが分担される社会をつくりましょう”という機運が出てきた時のためにも、事実を客観的に記しておくことには大きな意味があるように思う。

2009.02.07 | Comments(2) | Trackback(0) | CDS

禁酒法(続編)

Bloombergニュースによると、先日現物資産を保有せずに取引するCDS (=naked CDS)を禁止する法案を作成した下院農業委員会のCollin Peterson氏は、昨日のインタビューで、naked CDSを永久に廃止することが趣旨ではなく、この法案はSECによる株の空売り規制に対する補完的な位置づけであると説明した。SECが株の空売り規制を導入している時期にはCDSでも”空売り(naked short)”を禁止し、株の空売り規制が解除されればCDSの空売りも再開する、というものである。

各方面からの批判に自身の金融リテラシーのなさを認識したのかどうかは定かではないが、当初の内容とは大きく異なるものであり、個人的にはなお愚案であるとは思うものの、100歩譲ってこれならまだ議論の余地はあろう。

専門外の分野ではあるが、傍から見ていると株の空売り規制に大きな効果があったとは到底思えず、むしろヘッジファンドのCBアービトラージ戦略に大きな打撃を与えるなど、市場を混乱させる副作用も無視できないように思われる。効果がでなかったのは、株の空売り禁止によってベアな市場観を持つプレーヤーがCDS市場に逃げたことが原因だ、という見立てかもしれないが、株式市場とCDS市場両方で自由に取引できるプレーヤーは、特に最近はヘッジファンドや大手金融機関のプロップデスクの動きが低調であることもあって、決して多くないように思う。各市場を自由に動き回れるプレーヤーは、株やCDSでショートが作れなくなれば、ドルを売るなり金を買うなり、コリレーションのある他の市場にシフトするだけで、いたちごっこになるのではないか。

完全に市場メカニズムに任せるのがいいのか、市場の動きを政治的に都合のいいように操作するのがいいのか、あるいはその中間がいいのか、議論が進むのは大歓迎であるが、ひとつの市場や商品だけをスケープゴートにして”木を見て森を見ず”では、何の解決にもならないように思う。

2009.02.04 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

Tier1債の下落

海外の大手金融機関の株価が冴えない。政府から出資を受け、それが優先出資証券で普通株よりもシニアになったり、普通株で増資をすれば希薄化を起こしたり、また、ここ1年間の金融機関破綻・実質破綻の例では例外なく普通株主が犠牲になったことを考えれば、いくらヒストリカルにいいレベルでも、いくらチャート上割安に見えても、今積極的に買う理由は少ない。

普通株は銀行のバランスシートの右側の一番下に位置するが、そのすぐ上にくるTier 1債の価格も1月に入って大きく崩れた。下から上へと徐々に歪みが上昇しているわけだが、典型的なのが1月16日に価格100円で条件決定されたLloydsのTier 1債。既存のUpper Tier 2債(Tier 1より一段階シニア)との交換で新たに約20億ポンド発行されたのだが、クーポンが13%の永久債(10年目~20年目にコールあり)で、そこそこの人気から一時は101.50くらいまで価格が上昇した。ところが、直後にRBSが巨額の損失を発表し、国有化によってTier 1債の利払いが停止・先送りされるのではないかとの懸念が台頭、発行されたばかりのLloydsのTier 1債は  101.50から95→85→50円台へと暴落し、1月23日には47/57(価格)といった気配が見られた。

Lloyds以外のTier 1債も当然大幅に下落し、クーポンの不払い懸念から、債券の売買において経過利息のやり取りを行なわないベースでの取引が増加しているようだ。次回の利払いが期待できないのであれば、当然のように経過利息をやり取りする意味がない。

格付会社もこの状況の変化に対応して(いつも後手後手に回るのだが、、、)、S&Pは先週後半に国から出資を受けたFortis、Northen Rock、Commertzなどの一部銀行の下位劣後債(junior sub)を投機的階級へと格下げした。収益性が悪化し、国への依存度が高い中で国がTier 1債を含む下位劣後債をどれだけサポートするかが不透明になり、利払いの停止・延期の可能性が強まったとしている。

国が金融機関をサポートする余力が低下している中で、切り捨てられる部分が増えているという感じがする。さすがに預金とシニア債は死守されるように思うが、株や劣後債の市場が回復するのはまだまだ先のことになるだろう。

2009.02.01 | Comments(4) | Trackback(1) | 市場雑感

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