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最近の流行

最近どんな金融商品が流行しているのかと知人に尋ねられた。「社債」、と答えるのも芸がないので、少し考えた後に、「再証券化商品」と答えてみた。

たちの悪いJokeでもなんでもなく、実際、金融危機の発生以来、あれだけ酷評されてきた再証券化商品はあちこちで新たに組成されている。Bear Stearns、Citigroup、UBSなどの金融機関の救済スキームにおいては、これらの金融機関が保有する証券化商品をさらに優先部分と劣後部分にトランチングしているし、伝家の宝刀のTALFにしても、ABSやCMBSといった証券化商品をさらにトランチングし、国がシニアファンディングを提供してレバレッジをかける仕組みである。

CMBSやCLOのAAAを複数束ねて再証券化するRe-REMICも、夏前ごろから結構組成されたようだ。
先日、Barclaysが発表したスキーム(Protium)も、同行が保有するモノライン保証付きの証券化商品など120億ドルをSPCに移し、優先劣後構造を作ったものである。

こうした仕組みについて、再証券化商品にアレルギーを持っている論者からの批判はあまり多くないような気がするが、単に気が付いていないだけなのだろうか。

再証券化商品については、「リスクが見えにくい」という批判がよく聞かれた。確かに、必要以上にリスク・リターンがわかにくくなっている案件、格付けは高いものの価格のボラティリティも相当高い案件が結構存在したのは事実である。こうした商品が生まれた反省から、BISでは再証券化商品というカテゴリーについて現行よりも2倍から3倍ほど高いリスクウェイトを課す方向で話が進んでいるが、個々の商品のリスク量や透明性にかかわらず、証券化商品を再度束ねて証券化している、という外形だけを基に、高いペナルティーを課すのはどうかなという気もする。

社債・一次証券化商品・再証券化商品とあった場合、リスクがわかりやすい順に社債>一次証券化商品>再証券化商品、というのが議論の前提となっているように思われる。これが、①JALが発行する社債、②日本の住宅ローンを対象にしたRMBS(一次証券化)、③日本のRMBSを二つ集めてさらにトランチングした商品(再証券化)、とあった場合、本当に先の不等式が成り立つだろうか?社債でもJALの発行する社債のように、政治リスクが高くて先行きが不透明で価格が見えないものもあれば、証券化・再証券化でも、中身がわかりやすいものもある。

個人的には、再証券化商品が好きなわけでもなく、これを擁護する立場にもないが、何か問題があった時に、その問題が属するカテゴリーを十把一絡げに「欠陥商品」というレッテルを貼るのは賢明なことではないように思う。冒頭に挙げた数々の例のように、「欠陥商品」の代表格である再証券化商品でも、自身でリスクが分析できて、リターンが見合うと考える投資家は引き続き投資を行なっているのだ。

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2009.09.27 | Comments(4) | Trackback(0) | 市場雑感

連休明け

5連休が明けて今週はshort week。時間がゆっくり流れるかと思いきや、色々にぎやかですね、、。

海外クレジット市場は、引き続きスプレッドは縮小傾向を辿っている。Moody'sが発表した8月のデフォルト率やクレジットカードの延滞・償却率は結構上昇しているのだが、大きく材料視されていない様子。こちらは、これから真綿で首を絞めるようにジワジワとくるのだろうか。

日本クレジット市場は、アイフル・ウィルコム・JALと話題に事欠かない。

アイフルは、事業再生ADRの申し込みが正式に受理された発表、この中で、12月末を目処に事業再生計画案の決議を行なう見通しを示しているが、仮にここで借入金債務の満期延長などが合意・発表されれば、CDSはリストラクチャリングのクレジットイベントとなる可能性がありそう(前回エントリーの(c)のシナリオに該当)。夕方になって、S&Pがアイフルのカウンターパーティー格付けをCCC(短期はCC)からSD(selective default)に格下げすると発表。事業再生ADRの手続きの一環で、借入債務の元本返済が停止することを理由にあげているが、前回エントリーでいうと(b)のシナリオに該当するということだろうか。

社債の元利払いは、アイフルの気が変わらない限り、お金が続く限り、事業再生計画がご破談にならない限り、当面は行なわれそうな感じであるが、先行きについては不透明感はぬぐえない。

利害関係者への影響という意味では、会計面では(良くも悪くも)一番透明性が高いCDSは既に時価評価されているから影響は限定的(回収率はぶれる可能性あり)、社債も減損が進んでいれば会計上の影響はやはり限定的、会計面で一番透明性が低い融資がどうなるのであろうか。債務者の分類や引当てについて、どこの銀行がどう対応しているかは不明。

ウィルコムも、事業再生ADRを申請・受理されたことを発表、銀行に対してはDESや債権放棄でなく、残高維持や返済スケジュールの変更を求めていくとしているが、ここまでの展開はアイフルのケースと酷似している。ADR申請・受理後に格付けがCCCまで下げられたところもそっくりだ。こちらは、社債の残高もCDSの取引残高もアイフルと比べれば随分と小さいようだ。

JALはどうなるんでしょうね。政治的決着がどこに落ち着くのかよくわかりません。事業を2分割するだけであれば、CDSでは承継事由に該当してもクレジットイベントには該当しないだろうが、いずれにしても債務履行能力が回復しないと、どこかで行き詰る?

2009.09.25 | Comments(1) | Trackback(0) | CDS

クレジットイベントが認定されるには

(気まぐれに更新します。ずっと書いていなかったのに訪問してくれている人がいるようで、大感謝です。)

昨日金曜日、朝の新聞報道に続いてアイフルが事業再生ADR手続きの利用の準備を行なっていると表明した。CDS市場では、クレジットイベント該当の可能性について議論が行なわれたようだ。

以下は、アイフルを参照するCDSを”標準的な契約書”で取引した場合の議論。おそらく、市場に存在する取引の8割以上は”標準形”と思われるが、シンセティックCDOのような仕組み取引や、Big Bang Protocolに批准していない当事者の取引の場合、細かい部分で”標準形”とずれが生じることもあるので要注意。

持論(不正確・的外れであるかもしれません、悪しからず)を述べると、

(a) 現時点ではクレジットイベントとするのは無理がある。バンクラプシー・クレジットイベントには”insolvent(支払不能)”や”管財人等の選任”という条項があるが、事業再生の相談を持ちかけた現時点で支払いが不能な状態と証明するのは難しいのではないか。事業再生実務家協会を管財人に類する主体とするのも無理だろう。

(b) 事業再生ADR手続きの最中に、融資の元利払いを一時的にせよ停止した場合、支払不履行・クレジットイベントに該当する可能性が大。この場合、支払いを停止した事実を記した公開情報が時間内に入手できるかどうかがポイント。

(c) 事業再生ADR手続きの結果、既存の融資の返済日の延長が合意されれば、リストラクチャリング・クレジットイベントに該当する可能性が大。

(d) 事業再生ADRに基づく話合いが不調に終わり、会社更生や民事再生の適用申請となれば、バンクラプシー・クレジットイベントに該当する可能性が大。

ということで、今は無理だが、遠くない将来に何らかの形でクレジットイベントが認定される可能性は否定できない。(c)の場合、融資の当初条件を変更する形で返済日を先延ばしとすればイベントに該当するだろうが、当初の条件通りの返済日に一旦返済を行い、その上で新たに融資を実行するといった形式をとるのであれば、イベントには該当しない可能性が高いので、”返済日の延長の仕方”には注意が必要だ。

いずれの場合でも、ディーラー10社とディーラー以外の参加者5社から構成されるクレジットイベント決定委員会の投票によってイベント発生の有無が決定される。

クレジットイベント認定に必要な細かい要件としては、

①その事由の発生を記した公開情報(アイフル自身が公表する情報やメディア情報等)が存在すること。

②その事由が発生してから60暦日以内にクレジットイベント発生の申し立てを行なうこと。

③免責額以上の金額についてのイベントであること(リストラクチャリングの場合は10億円、支払不履行の場合は1億円)。

④支払不履行の場合は猶予期間中はイベントと認定されない

⑤リストラクチャリングの場合は、当該事由が財務・信用状況の悪化に起因したものであり、また、当該債務についてすべての債権者を拘束する内容の条件変更であること

などといったものがあり、落とし穴になることもある。特に、①と②での関連では、仮にアイフルが銀行に融資の元利払いを行なわなくても、これが60日以内に公にならなければ、CDSにおいてはクレジットイベントとはならない。

クレジットイベントが認定された場合、アイフルを参照するシングルネームのCDS(DTCCによるとネットで12億ドルほどの残高が存在)、アイフルを構成銘柄に含むインデックス(iTraxx 2-11)、その他アイフルを構成銘柄とする取引において、クレジットイベント決済が行なわれる。

標準形の契約書であれば、クレジットイベント決定委員会が、入札に基づく決済を業界横断的に行なうか、現物決済を参加者が個別に行なうかを決定することになる。

入札を行なうことになれば、日本銘柄で初の入札となる。会社更生法などによってバンクラプシー・クレジットイベントが発生すれば、債務ごとの価格差が小さく、比較的スムーズに入札が行なわれるだろう。一方、リストラクチャリングでクレジットイベントが認定されると、長期債務と短期債務、融資と債券などで、小さくない価格差が発生する可能性もあり、入札がややこしくなる可能性もある。

いずれにせよ、しばらくは発表される事実を注意深く見守る必要がありそうだ、、、、。

2009.09.19 | Comments(4) | Trackback(0) | CDS

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