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リプロファイリング

ギリシャの財政問題がいよいよ袋小路に突入し、国債の「満期延長」「元本ヘアカット」「不払い」などの可能性が方々で口にされている。国債の条件変更は、「リスケ(reschedule)」「リストラ(restructuring)」「リプロファイリング(re-profiling)」などと称されている、どのように”かっこよく”表現しようと、現在の支払い条件では払いきれないので変更が必要であることには変わりはない。

欧州の政策当局者には、「(CDS)のクレジットイベント(信用事由)に該当するような形での条件変更はありえない」と強調する人が多い。なぜイベント該当を回避したいのかは定かではないが、想像するに、「市場が大混乱し、システミックリスクに発展しかねない」「ギリシャの面子がつぶれる」「プロテクションを買ったヘッジファンドを利することになる」、といったあたりが頭にあるのではないか。そうだとしたら、CDS市場に対する理解不足と言わざるを得ない。

CDSのクレジットイベント決済は近年多数の事例を積み重ね、今では大きな混乱もなく淡々と決済されている。金融危機の真っ只中の2008年秋でさえも、Lehman Brothers、Fannie Mae、Freddie Mac、Washington Mutualといった超大型のイベントがスムーズに決済された。ギリシャが当事者となっているISDAマスター契約の早期終了事由に引っかかると、あらゆる種類のデリバティブ取引が早期終了となり、債権・債務額の確定やポジションの再構築など、結構ややこしいことになるが、CDSのクレジットイベント決済がシステミックリスクにつながることは非常に考えにくい。むしろ、国債の保有者に損失を強いておきながら、クレジットイベントが認定されないと、CDSのヘッジ効果に対する懸念が高まり、欧州国債を市場売却せずにCDSでヘッジしていた投資家などが、アイルランド国債やポルトガル国債を売却を進め、こちらの方がシステミックリスクを引き起こしかねない。

イベント認定が「面子がつぶれる」ことになるかどうかはなんとも言えないが、政府機関(Fannie&Freddie)や業界最大手の企業(GM、Xerox)ですらイベントを経験した後に、いまでは普通に債券を発行しているくらいだから、新聞ネタを提供する程度で済む話ではないか。

当局者が目の敵にしているヘッジファンドは、イベント認定を待たずに、もうとっくに反対売買によって利益を確定して、次の獲物を狙っていそうな気もする。

また、「クレジットイベントに該当しないように格付会社と相談している」という発言を耳にしたが、ちょっと相談する相手を間違えているのではないかという気もする。クレジットイベントは、大手ディーラーや投資家で構成されるグループの投票によって認定され、認定プロセスに格付会社が入り込む余地はない。

いずれにせよ、そう遠くない将来に決着がつくことも予想されるが、「海水を注入したら再臨界するかもしれない」に類する政策当局者の不理解による市場の混乱だけは避けたいものだ。

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2011.05.29 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

Not Again....

また一軒、大好きなオーガニックレストランが閉店することになった。海の幸が絶品の神楽坂のItalian『Les Brindes』。こんなちっぽけなブログで反原発運動を繰り広げるつもりもないが、こちらのオーナーの閉店の挨拶に切実に描写されているように、福島原発はすべてを変えてしまった。地元経済への影響や絡みあう利権を楯に、原発の維持を主張するのは、あまりに浮世離れしている感がある。

週末は、明後日閉店のツチオーネへ、来週は、某セレブ達とLes Brindesへ、最後の晩餐に行ってきます。

2011.05.28 | Comments(0) | Trackback(0) | Blues

CCPって本当に必要か

大御所John Hull氏とのインタビューの内容がIFR誌(5月14日)に掲載されていた。私など、比較的古くからデリバティブの実務にかかわってきた人間にとっては、CCP(中央清算機関)を活用してもカウンターパーティー・リスクの軽減につながらず、むしろネッティング効果の喪失、リスク管理のモラルハザード増加、新たなToo Big To Failの存在の誕生、事務コスト管理コストの増加、といった副作用ばかりが目に付いてしまうのだが、Hull氏もCCPの有用性には懐疑的のようだ。

Dodd Frank法が5年前に導入され、店頭デリバティブの70%がCCP経由で取引されていたとしても、今次の金融危機を回避することはできなかっただろう、とHull氏は主張する。CCPが管理できるのは、普通の金融機関であれば誰でも容易に管理できるようなプレーンな取引だけであり、AIGが取引していたような難易度が高い取引がCCPの対象となることはない。現在、プレーンな取引をCCPにのせようとする動きが全世界で進行中であるが、次の金融危機は現在はまだ開発されていないような非標準的な取引によってもたらされるだろうとのHull氏の主張は説得力がある。

それではCCPは市場の透明性を高めるかというと、DTCCなどのTrade Repository以上に実務的に有用な情報をどれだけ提供するのか、疑問が残る。仮に、有用な情報が追加的に確保できるとしても、それをモニタリングして危機の芽を事前に摘むだけの能力を当局が持ち合わせていなければ意味がない。むしろ、デリバティブよりも取引残高の大きい現物市場の透明性を向上させることのほうが先決のようにも思われる。例えば東京電力、CDSの残高は数100億円単位だが、5兆円ある東京電力の社債をどこの誰が保有しているのか、きちんと把握したいと思っている関係者は多いだろう。

2011.05.22 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

A friend in need

日中韓の首脳が被災地入り。各自したたかな政治的な計算が裏にはあるのだろうが、少しだけ心が温まる光景を見させてもらった気がした(甘すぎる?)

小生は、正義感の強い友人たちのように石巻や陸前高田に乗り込むことができないので、近隣の避難所のお役に立てることを地道に継続。場所によって必要なものは本当に異なるようで、小生が接点のある避難所では衣類やタオルは大きな部屋に入らないほどあふれかえっているにもかかわらず、まだまだ中古の衣類が継続的に届いている。避難生活が長期化していることから、毎日の生活に欠かせないもの、たとえば自炊に使うカセットコンロのガスボンベや液体石鹸・シャンプーが足りないとのこと。食料では、恒常的な栄養不足を補うものようなものが足りていない。ただし、ある程度長期間常温で保存が可能なことが絶対条件。

仮設住宅の完成までまだまだ時間がかかる。中長期的には義援金も役に立とうが、目先の生活にすぐに活用できる物資を継続的に集める必要性は高い。

2011.05.22 | Comments(0) | Trackback(0) | 週末

東京電力の信用リスク

ここ最近考えていることを、こちらの大先生が明快に記述してくれました。

東電に金を貸すのであれば原発のリスクを考慮すべきであり、そのリスクが顕在化したならば損失を被ってしかるべきだ、との官房長官発言。金融機関には原子力発電所の安全性を自ら確認する能力も、震災を予知する能力もない。ただ、国や原子力安全委員会の監督能力と「日本の原発は安全です」との言葉を信じ、国ですら想定できないような事態においては電力会社の賠償責任は免責されるとの法律をバックストップに、投融資していただけだろう。自己の監督責任を棚に上げ、電力会社をスケープゴートに支持率の上昇を狙う構図は、AIGにすべての責任を押し付けようとした米国の金融規制当局と同じである。

「到底国民の理解は得られない」と言われても、私のことはその「国民」にはカウントしないで欲しい。東電だけを悪者にしても票は稼げない。どうせなら、原発の現場で命がけで働いている東電や関連会社の社員などに国民栄誉賞を検討している、とでも言えば、支持率は回復するかもしれませんよ。

2011.05.19 | Comments(0) | Trackback(0) | Blues

お別れは突然やってきて

記念日や送別会で何度も足を運んだ麻布十八番が先月閉店した。

ランチタイムに美味しいおにぎりが楽しめるおむすび茶屋の夜の部、若杉ばあちゃんの台所がしばらくお休みすることに。

そして、この2年間、ランチにカフェにディナーにおそらく100回近く足を運んだツチオーネが今月末に閉店することに、、、。

オーガニックレストランにも色々とあるが、国の定める残留農薬等の基準に異議を唱えて無農薬無肥料栽培で育った食材を使い、化学調味料や食品添加物を回避するお店が多い。そうしたお店が、国の定める放射性物質の基準に従って食材を選ぶことに抵抗があることは想像に難くない。一方で、自然栽培に力を入れている農家との関係もかけがえのないもので、福島原発に近いというだけで仕入れを停止することも容易ではない。かといって、独自に安全性を検査するにも限度がある。

震災後、ただでさえ外食産業が苦戦している中で、オーガニックレストランは特に苦しい状況にあるが、こんなにはやいペースで愛着のあるお店がなくなっていくことには本当に心が痛む。自分だけでも外食を減らさずに、せめて志の高いお店には足を運び続けなければ、、、。

復旧の大きな足枷となる原子力発電所。それでもまだ必要か??

2011.05.16 | Comments(0) | Trackback(0) | Blues

はじめの一歩

(大型連休)
同世代の友人が自衛隊の取材やボランティア活動で東北に向かったのに逆行して山口県へ飛び、死ぬまでに一度は見たかった秋吉台&秋芳洞へ。億万年のロマンは半端ではなく、どこまでも続く息を飲む光景にひたすら感動。と、同時に、億万年かけてつくられた化石燃料を数百年で根こそぎ使い果たし、ひいては原子力発電という人間では制御不能なものを開発してまで繁栄を追い続ける人類っていったい、、、という思いが頭をよぎった。

翌日は萩市内へ。萩といえば幕末だが、個人的には大内氏の栄華や関が原後の毛利氏に思いを馳せてしまう。ここでは、東京でお世話になったLa Ceibaの浅井マスターに会うことを楽しみにしていたが、第三子誕生により連休中は休業とのことで残念ながら再会できず。代わりに、浅井さんお薦めの祇園寿司で地元の海の幸を堪能。このほか、きららオーガニックライフで自然食品の買い物とバイキングを楽しむ。このエリアでは、有機野菜の栽培、販売、レストラン経営等が慎ましやかに営まれている。原発事故でも起きようものなら、この平和なエリアがすべて再起不能となってしまう、などと思いながらのんびりした時間を過ごした。

いつもなら夜は酒が入るところ、代わりに仕事の電話会議が入ってしまい、やむを得ず節酒して仕事に備える、、、。日本の休日は国際的には軽視されやすいのは昔も今も変わっていない。


(ギリシャ)
ここ最近、ギリシャ国債のリストラが取りざたされているが、”風評被害”を回避するためか、わざわざCDSのクレジットイベントに抵触しないような方法でのリストラが模索されているとのこと。国債保有者と”強制的”ではなく”自発的”な債務交換を実施する、あるいは(ファンディングがつけば)既発債を額面で買い取り、代わりに低クーポン&長期債を発行するなどすれば、クレジットイベントにおけるリストラクチャリング規定には該当しない可能性が高い。

そうすると高いコストを払って買ったプロテクションの意味がなくなり、「CDSでプロテクションを買っても無意味」という認識が広がり、市場の縮小につながるのではないかとの声も聞かれる。そんな中、金曜日には、ギリシャがEUを脱退するとの観測が流れた。脱退後に通貨をユーロからドラクマに戻せば、「(G7通貨またはAAA国通貨以外への)通貨の変更」ということで、クレジット・デリバティブではめでたく(?)クレジットイベントが構成される可能性が高い。

クレジット・デリバティブの用語定義は年々改良を重ねているが、現在の定義が完璧なものというわけではなく、債券やローンはデフォルト/リストラされているのに、CDSはテクニカルな理由でクレジットイベントに該当しない、というケースが増えるようであれば、定義の再見直しも必要となるだろう。

(浜岡)
場当たり的であり、かつ政治的な思惑も大いに見え隠れするが、それでも菅首相の決断には敬意を表したい。すぐに日本全国の原子炉をすべて廃炉にすることが非現実的であるにしても、「原発がなくてもなんとななるじゃん」という事実を積み上げていけば、不要な電力消費・不要な原発利用は減るのではないか。その間に、代替エネルギーの開発、省エネライフスタイルの定着を図ればよい。その結果、経済成長がとまり、GDPの世界ランキングがずるずると低下しても、幸せに暮らせればそれでよいではないか。

しかし、明日にも辞任するかもしれない首相の、遠くない将来に政権交代するかもしれない民主党による”駆け込み的”な行動であることには違いない。首相が小沢かだれかにに代わったら、あるいは与党が自民党に代わったら、方針転換、ということにだけはならないで欲しいものだ。

(オーガニックライフ)
最近、夜の外食がめっきり減ったが、その分、週末のランチをオーガニックレストランで食す機会が増えてきた。最近の新しいレパートリーは武蔵小山の四季彩茶屋葉菜。ローフードの世界も勉強してみようかと思った次第。

2011.05.08 | Comments(0) | Trackback(0) | 週末

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