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Central Counterparty

 金曜日の朝、自宅の郵便受けに間違えてスポーツ新聞が紛れ込んできたと思ったが、よく見直すといつもの経済紙であった。1面トップを飾るのは、金融機関の損失処理を促すためにCDSのCentral Counterparty (クリアリング)を設立する動きが日米欧で始まった、という究極の勘違い記事であった。ブログで“あげ足”を取るだけでは不十分で、不買活動でも起こそうかと周りの先輩に声をかけると、「いまどきお金を払ってこの新聞を買っているのはおまえだけだ」と言われてしまった。

 憎まれ口はこの辺にしておこう。しょせんは取引をしたことも実務の現場を見たこともない記者が、取材で聞いた話を自分の主観に沿って組み立てているだけなのだ。私だって、野球をやったこともないのに、裏事情も知らないのに、北京オリンピックでの星野ジャパンの惨敗を見て、飲み屋であそこはああすべきだったと講釈をたれているのだ(星野さんごめんなさい)。それと同じと思えば腹も立たないが、問題なのが“勘違い記事”によって日本中の金融機関の実務担当者が役員などから「これどういう意味なんだ」と質問され、この忙しい市場環境の中で貴重な実務の時間を割いて説明をさせられているという実態だ。

 前日の木曜日には東京で行なわれたISDAのコンファレンスで、金融庁・日本銀行・民間の金融機関などから多数の関係者が集まり、この1年間何が起きたのか、何が問題だったのか、デリバティブ市場をより安定的なものにするのにはどうすればいいのか、CDSのインフラ整備の話も含めて官民で議論が行なわれた。日本銀行の方からは、「クレジット・デリバティブは”自動車”のようなもので、使い方を間違えると事故も起きるが、自動車自体が悪いわけではない」といった趣旨の発言もあり、日本の規制当局の方々の理解度の高さが示されていたが、そんな中で“一流”メディアの理解度の低さや用語の使い方における品のなさが際立つ。

 相対のデリバティブ取引等において各当事者の間に入るCentral Counterparty(以下“CCP”)は一義的にはカウンターパーティーリスクを軽減する目的で設立されるものである。UBSがRBSとCDSを行なった場合、取引後にUBSが破綻するとこのCDSは早期解約となり、その時点で仮にRBSにとって時価がプラスでプラス分を担保物でカバーしきれない場合、カバーしきれない部分がRBSにとっての損失となる。CCPを導入すると、UBSとRBSが取引を行なった後で、“UBS対RBS”という取引が“UBS対CCP”“CCP対RBS”という2つの取引に分解される。CCPには資本金やリザーブが積まれ、かつ定期的に値洗いを行なって担保の出し入れを行うことで、全参加者にとってのカウンターパーティーリスクの軽減が期待できる。また、CCP内の取引情報に規制当局がアクセスを行なうことで、現在よりも効率的な規制が可能となるという期待もある。

 一方で、参加者の破綻後に早期に解約される取引のカバーを行なう必要性は現状のモデルにもCCPモデルにも存在することや、プレーンな取引以外をCCPで取り扱うことが容易ではないことなどはCCPの限界と考えられる。たとえば、AIGがプロテクションを売っている4410億ドルのスーパーシニアCDSなどは、とてもCCPで対応できるとは思えない。”完璧なCCP”を導入するのは先が長い話だが、一歩一歩進めていくということだろう。

 CDS市場にCCPを導入しようという議論は今に始まったことではない。2007年3月にはEurexがiTraxxインデックスの取引所取引を導入した(この時は参加者のサポートを得られずに不調に終わっている)。2008年5月にはThe Clearing Corporationという金融サービスプロバイダーがDTCCとの業務提携を発表し、DTCCのデータベースとリンクしてCCP業務を行なう意向を表明している。2008年7月には主要ディーラーなどがNY連銀に対して2008年12月までに北米のCDXインデックスにおいてCCPの利用をスタートすることを宣言している。現在は日本の取引所も含めて複数の取引所がOTCデリバティブ市場におけるCCP業務への参入意向を表明しているが、CDSに関してはDTCCとのリンクのあるThe Clearing Corporationのリードが大きいだろう。こういう話はローカルベースで行なうよりもグローバルベースで話を進めたほうが効率はよいだろう。

 新聞のそもそもの勘違いの一因は、 “Central Counterparty”のことを“清算機関”と訳していることにあるのかもしれない。“清算”の語感から、TARPや不良債権買取機構のように金融機関がポジションを清算するための制度と、とんでもない方向の誤解が生じる。ましてや、ここから飛躍して”損失を処理して公的資金を入れ、貸し渋りが解消されて金融市場が安定する”など、妄想としか思えない。

 細かい部分をいくつか拾うと、

・「清算機関は売り手と買い手の資金を仲立ちする組織」 
 --- 資金の仲立ちってどういう意味?この説明で専門家以外の読者が理解できる?(専門家でもわからないが)

・「清算機関ができると金融機関は時価がわかり損失額を見積もることができる」
 --- CDS市場参加者がCDSの価格をわからずに取引しているという理解?

・「取引条件などは取引や相手ごとにばらばら」
 --- いったい何年前の話?最近の取引条件の標準化についての認識はない?

どうでもいい瑣末なことではあるが、囲みでCDSという用語を説明しているにもかかわらず、なぜ”CDS”を”損失肩代わり商品”という”造語”に言い換えているのかも理解に苦しむ。まさか、書くことがなくて字数を稼ぐための工夫ということではないだろうが、言い換えることで読者が読みやすくなると考えているのだろうか?『損失先送り商品は一般にCDSと呼ばれる』って、”一般”という言葉の使い方を知っているとは到底思えない(こちらのブログを興味深く読ませていただきました)。

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2008.10.25 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

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