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カウンターパーティー・リスク

 紺ガエルさんの名エントリーに触発されて(?)、カウンターパーティー・リスクについて思うところをいくつか。

<最広義のカウンターパーティー・リスク?>
 あまり一般的な考え方ではないが、カウンターパーティー・リスクを最も広く考え、「取引相手が契約通りにお金の支払いなどを行なってくれないリスク」と整理してみる。

(1) 期間1年の融資をA銀行に10億円出しました、1年後にA銀行が10億円を返してくれるかどうか?

(2) A銀行が発行する期間1年の社債を10億円買いました、1年後に10億円が償還されるかどうか?

(3) A銀行から期間1年の融資枠(コミットメントライン)を10億円受けました、1年後に引き出そうとした時にA銀行は10億円貸してくれるかどうか?

(4) A銀行から、B社を参照するCDSのプロテクションを10億円買いました(期間1年)、B社破綻時にA銀行が10億円の支払いを行なってくれるかどうか?

 上記、いずれの取引を行う上でも、A銀行が1年間債務不履行状態にならないであろうとの判断が必要となる。審査部から「A銀行の信用力を考えれば、期間1年であれば30億円くらいの与信を出してもよい」という許可が与えられれば、現場はA銀行向けに1年30億円の融資を出すことも可能だし、融資を20億円にして社債を10億円買うことも可能だし、はたまた、融資を10億円・社債を10億円・CDSを10億円(A銀行をカウンターパーティーとするプロテクションの買い)と配分することも可能である。

 ここでは、社債と融資と融資枠とCDSを区別する理由は特にないが、CDSでは、B社が破綻した場合に限ってA銀行に支払を行なってもらう必要が生じることになり、A銀行が単独でデフォルトしたからといって必ずしも損失が発生するわけではない。A銀行が破綻することによって、経営に大きなダメージを受けることになるのであれば、それはそもそもA銀行に対する与信の失敗なのであって、CDSが悪いとか、社債が悪いとかといった商品の違いは本質的な問題ではない。たとえば、CDSを使ってLehmanからGMのプロテクションを1000億円買っていて、“保証”の価値が紙くずになったケースと、Lehmanの社債を2000億円保有していた場合では、そもそもLehmanに2000億円与信出した後者の方が審査の罪は重い。

<CDSと他のデリバティブ>
 CDSの商品性を批判する大学の先生の議論で、「カウンターパーティーのデフォルトによって、金利スワップは損失はせいぜい元本の10%から20%であるのに対して、CDSは損失が元本全額になりうる」というものを見たことがあるが、果たしてどうだろう。

 サブプライム危機発生直前から約1年間で、ドルの30年金利は4%程度下落した。30年のドル金利スワップを組んでいれば、時価は将来価値で約29年×4%=元本の116%、現在価値でも元本の100%を上回るほど動いたことになる。10%や20%の話ではない。一方、CDSの損失は元本の100%が上限となる。もちろん、金利スワップでも期間が短ければ短いほど時価の動きは小さなものになるが、CDSでも参照する企業の信用力が高いほど時価の動きは小さなものなる。
 
 教科書的には、他通貨の元本交換のある通貨スワップの潜在的な時価の動きよりも、元本交換のない金利スワップの潜在的な時価の動きははるかに小さいということになり、理論的にはこれが間違っているわけではない。ただし、市場が極端な動きを示す時には多くの金融商品が前例のないような極端な動きを示すわけであり、年限や参照するクレジットの良し悪しと切り離して、CDSという商品がことさらに時価の動きが大きいと一般化するのは短絡的に感じられる。

<CDSで参照するものとプロテクションの売り手の相関>
 参照するクレジットの信用リスクをヘッジする立場であるプロテクションの買い手は、だれからプロテクションを買うか、当然のように神経質になる。GMACからGMのプロテクションを買っても意味がない。現場ではどれだけ神経を使っているか、昔勤務していた大手米系金融機関の例を挙げてみる。

 まずは、リスク管理の約束事として、プロテクションを買う際に、参照するクレジットのデフォルト確率と回収率、取引相手(プロテクションの売り手)のデフォルト確率と回収率、この2社の相関、担保契約の有無などをもとにクレジットチャージを算出して、取引ごとにリザーブを積むことを要求された。この“金融工学的なリスク管理”に加えて、現場のトレーダーの姿勢も非常に保守的であった。

 某メガバンクから、株式保有比率の高いメーカーのプロテクションを買おうとすると、この2社の相関が高いとしてそもそも取引を拒絶される。担保契約があるからいいのではと指摘すると、値洗いの頻度が週に1度であり、このメガバンクとメーカーが共倒れした時に、担保が十分取れていない可能性がある、という理由で取引が却下される。じゃあ交渉して値洗いを日に一度にしてはどうかと問うと、担保がJGBだとしたら、2社が共倒れとなった時にJGBの価値も低下しているかもしれないから、という理由で取引が却下される。じゃあ、どうすればいいのか、と問うと、そもそも日本の銀行から日本の企業のプロテクションを買いたくない、といった反応が返ってくる。
 
 リスク管理やトレーダーの保守性はもちろん会社や人によって異なるが、これくらい厳しくカウンターパーティー・リスクの管理を行ない、今回の危機においても最小限の損失で食い止めた金融機関にとっては、何も知らないメディアや大学の先生から「取引相手が破綻したら保証を受けられないなんてことくらい素人でもわかる」的な批判を受けても、返答に困ってしまうことになる。イチローが野球をやったこともないコメンテーターに「イチローの不振はここが原因」的な指摘をされるようなものか。まあ、市場の拡大とともにリスク管理が人間の嗅覚よりもモデルのアウトプットに頼り、競争の激化とともにカウンターパーティーを甘く見る若いトレーダーが増えていたのは事実だと思うが、、、。

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2009.03.01 | Comments(0) | Trackback(1) | CDS

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