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リスク管理の難しさ

先週・今週と欧米の大手金融機関の第1四半期の決算発表の季節で、Sub Prime関連資産のみならずLeveraged Loanや個人向け債権から発生する損失・引当金の数字がメディアをにぎわせている。引き続きポジションを抱えている以上、マーケットの下落が続けば第2四半期以降も損失が膨らむことは自明の理ではあるが、ポジションの削減や評価減が進んでいることから、とりあえずはdownside riskは小さくなっているのだろう。そんな中、UBSが昨日"Shareholder Report on UBS Write-downs"というレポートを公表し、同社が如何にして巨額の損失を被ったかを赤裸々に書き綴っている。50ページにおよぶこのレポートのすべてを読んだわけではないが、内容は非常に具体的かつ細部にわたり、自分の失敗をここまで客観的に告白できる素直さに驚きを覚えた(悪い意味ではない)。その内容にはもっと驚かされた。JPMorganと並んで業界でも早い時期からbalancesheet型の証券化に積極的に取り組んで、自行のリスク管理の面ではトップクラスと思われていた金融機関が、いくつもの原始的・初歩的なリスク管理上の失敗を重ねているのである。

UBSが公表している損失の多くがいわゆる"Super Senior"と呼ばれるCDOのトランシェの中でも標準的なAAA格のさらに上位に位置するリスクの極めて低い(と考えられていた)ポジションである。このレポートによると、UBSが保有したSuper Seniorは総額で500億ドル程度で、このうちの約300億ドルは自行でアレンジしたCDO案件のSuper Seniorで外部に販売せずに保有した部分であるが、残りの約200億ドルは外部から購入してきたものとされている。初期の頃はアレンジしたCDOのSuper Senior部分も外部に販売・リスク移転をしていたが、ここ数年はSuper Senior以外のトランシェを販売してSuper Seniorを保有することが多かったのはCitigroupなどと同じであるが、収益追求の目的で積極的にポジションを内部で保有したり、他社の案件を外部から仕入れてきたようだ。

こうしたSuper Seniorの一部はそのまま保有し、残りは"Negative Basis Trade"といって(主にAAA格の)モノライン保険会社からプロテクションを購入するか、AMPS(Amplified Mortgage Portfolio trades)といって、Super Seniorの2%から4%のfirst loss部分のみのプロテクションを購入して「リスクヘッジ」を行っていた。Super Seniorのポジションについては保有元本のリミットがなく、主としてValue At Riskのリミットのみで管理していたが、Value At Riskの数字も"AAA"の格付けを素直に反映して、リスク量として計上されるのは微々たるものだったようだ。さらには、Negative Basis TradeかAMPSを実行するとVARやStress Test上リスクはゼロとされ、どんなに取引元本が多かろうと、どんなに2006-2007年 vintageのサブプライムの比率が高い案件であっても、マネージメントレポート上の数字は「リスクゼロ」であった。サブプライムローンを裏付けとするRMBSを含むCDOは、Super Senior部分であっても元本にそれなりの毀損が及んでいることは周知の事実であるが、AMPSはわずかに2%~4%程度のリスクをはずすだけのトレードで、Negative Basis取引のコストが11bps程度であったのに対してAMPSのコストが5-6bpsと安かったことから、積極的に取り組まれていた。結果として、Super Seniorの損失のうち、AMPSによるものが63%、ヘッジをしていないポジションから発生するものが27%、Negative Basisによるものが10%という内訳となった。

この他にも重要な教訓となるべき”逸話”が豊富であり、時間があれば是非熟読されることをお勧めしたいが、ここで学んだ教訓を将来に活用できるかというと、それはそれで難しいような気がする。流し読みをしながら、「羹に懲りて膾を吹く」とか「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」とか、そんな故事成語が頭をよぎった。

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2008.04.22 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

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