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Dinallo氏の戦略

昨日は遅れ馳せながらモノライン大手のFGICが第2四半期の決算発表を行ない、同時に北米パブリックファイナンス(地方債など)ポートフォリオのMBIAへの再保険と、ABS CDO保証のCalyonとの解約(commutation)を発表した。FGIC、MBIA、NY州保険局それぞれから声明が出ているが、ここでは、一番詳細に記述しているNY州保険局のステートメントを基に内容を確認する。

(1)FGICからMBIAへの北米パブリックファイナンスの再保険
FGICの北米パブリックファイナンスの保証ポートフォリオは今年の3月末時点で約2180億ドルであるが、FGICはこのうち約1840億ドル相当をMBIAに対して再保険によってリスクを移転し、アップフロントでプレミアムを約7.41億ドルを支払うことで合意している。実行には諸々の手続きや承認が必要で、9月2日に正式な申請を行なって、これに対して10営業日の間パブリックコメントを募集し、最終的には9月末までには実行して、第3四半期の決算には間に合わせる、といったスケジュールである。

この7.41億ドルというプレミアムは、元々の保証のプレミアムの約80%とされる。ざっくり言えば、地方公共団体がFGICに10の保証料を支払ううち、FGICはMBIAに8を支払う、といった感じだろうか。以前、Berkshire Hathawayが同様の再保険で当初プレミアムの150%程度を要求したのに比べると格安とも思われるが、Dinallo氏は今回の再保険は入札形式でMBIAを含めて複数のbidを比較して決定したとコメントしている。

これが実行されれば、FGICのポートフォリオから北米のパブリックファイナンスの大半が消えて、証券化と北米以外のパブリックファイナンスが残ることになり、以前から模索していた「地方債保証と証券化保証の分社」が図らずも実質的に実現することになる。FGICに残る北米のパブリックファイナンス保証は、Jefferson County向けなどの投機的階級のクレジットに対する保証が中心となるようだ。

Dinallo氏が強調しているのは、今回の再保険は”cut-through”方式によって行なわれ、保険の受益者はFGICを飛ばしてMBIAに直接保証の履行を求めることができるということである。一般的には、FGICが破綻した場合、最終的に再保険先から保証の履行が行なわれるまでにはタイムラグが発生するが、”cut-through”方式によってこのタイムラグがなくなり、ARSを含むモノラインラップつき地方債の投資家の利益となることが見込まれる。Dinallo氏はこれによって”FGICのラップ付き&MBIAの再保険付きの地方債”の格付けがFGIC単独のB~CCCからMBIAのAA~Aへとあがることを期待しているようだ。

(2)FGICとCalyonのABS CDO保証の解約
これはドイツのIKBのABCP Conduitが投資するABS CDOをCalyonが買い取り、それにFGICが保証を入れるといった契約に関するもので、今年の3月ごろにはFGICはIKBのRepresentation & Warrant違反で保証契約が無効であると主張していた。結局今回は、18.75億ドルの保証を2億ドルの解約フィーの支払いで解約することになり、FGICにとっては完全な“勝ち逃げ”はできなかったものの、ひとつの頭痛のタネが減ったことになる。

Dinallo氏は、上記の2つの合意が実現すると、FGICがラップする地方債の投資家にとっては「地方債とFGICの同時デフォルトリスク」から「地方債とFGICとMBIAの同時デフォルトリスク」へとリスクが減り、証券化商品の投資家はFGICに約10億ドルの資本が新たに創出される効果によって返済の確実性が高まることになるとしている。また、MBIAにとっても新規のビジネスの獲得が困難な環境において大きな収益&キャッシュフローが生まれ、保証ポートフォリオにおける地方債 VS 証券化のバランスがより安全とされる地方債寄りとなり、格上げも期待できるとしている。

今のところ、格付会社はコメントを出していないようだが、ここもとの格付会社の保守的なスタンスを考えると、Dinallo氏が描くような楽観的なシナリオとなるかは不明である。先般のXL(現Syncora)のcommutationの発表の際に、Dinallo氏はこれによって大幅な格上げが期待できるとコメントしたように記憶するが、今のところは実現していないようだ。9月の上旬には格下げ方向で見直しとされたFSAとAssured GuarantyがMoody’sに格下げされるかどうかの結論が出る見込みである。色々な意味で予断が許せる状況には思えないが、少なくともモノラインの破綻・当局の直接的介入によるデリバティブ契約のトリガーといったハードランディング的なシナリオは先送りされることになったと前向きに評価することは可能だろうか。

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2008.08.28 | Comments(0) | Trackback(0) | モノライン

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