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AIG FP

明日21日、Lehmanを参照するCDSのプロトコル対象取引の現金決済が行なわれる。ちなみに、60億ドル程度とされる現金決済とほぼ同額の57億ドルの現物決済(こちらは回収率相当(=約5億ドル)の現金と57億ドル額面の債券の交換-数字に勘違いがあり修正します)の方は今日20日までに行なわれることになっている。

ネットでショートポジション(プロテクションの買い)が多いとされるディーラーとは対照的に、プロテクションの売りに傾斜したAIGが21日の現金決済を前に資金繰りに苦しんでいるとの観測記事を目にしたが、改めてAIGFPの4410億ドル(2008年6月末時点)のSuper Senior CDSの中身を見てみた。(ちなみに、AIG本体はCDSでなく債券の形態でRMBS、CMBSやCDOなどにそれなりの金額の投資を行なっている)

大まかには4410億ドルの内訳は以下の通り

(1) Regulatory Capital Corporate: 1727億ドル
主に欧州金融機関の規制資本対策のCDOのSuper Senior (AAAのさらに上のトランシェ)。参照するのは欧州の企業。平均年限は1.3年(regulatory call)

(2) Regulatory Capital RMBS : 1326億ドル
主に欧州金融機関の規制資本対策のRMBSのSuper Senior (AAAのさらに上のトランシェ)。参照するのは欧州の住宅ローン。平均年限は2.0年(regulatory call)

(3) Corporate Arbitrage: 538億ドル
いわゆるシンセティックCDOのSuper Senior。参照するのはグローバルの民間企業・ソブリン銘柄。平均年限は4.4年

(4) Multi-Sector CDO: 803億ドル
High Grade ABS CDO (637億ドル)/Mezzanine ABS CDO (164億ドル)のSuper Senior。高格付け~メザニンのABSが主たる参照銘柄。残存年限5~6.2年


6月末時点の『累積損失率』と『加重平均劣後比率』は以下の通り

(1) Regulatory Capital Corporate: 累積損失=0.01%・劣後比率=23.2%
(2) Regulatory Capital RMBS: 累積損失=0.04%・劣後比率=13.41%
(3) Corporate Arbitrage: 累積損失=0.26%・劣後比率=18.94%
(4) Multi-Sector CDO: 累積損失=1.06%(HG)/6.63%(Mez)・劣後比率=15.67%(HG)/39.35% (Mez)

(1)と(2)のRegulatory Capital案件はそもそもの案件の性質がBIS対策であり、劣後比率や累積損失、残存年限を見る限り損失が元本におよぶリスクは小さいだろう。Super Seniorにまで損失が及ぶようなことになれば、オリジネーターの欧州の銀行自身も大変な事態に陥っている可能性すらある。

(4)のMulti-Sector CDOが諸悪の根源であり、6月末時点では平均ベースは余裕がある数字が並んでいるが、個別にはaccelerateされた案件などから一部元本に損失が及ぶケースもあったようだ。Mezzanineに比べてHigh Gradeが多いのが救いではあるが、将来的に大きな損失が発生するとしたらここであろう。CDSというリスクをとる道具が悪者扱いされているが、同じリスクを債券の形で持っても同じだけの損失が発生するわけであり、道具というよりはリスクの中身に問題があったということだろう。

Lehmanを参照するCDSが入っているとしたら(3)であるが、こちらも劣後比率が分厚いことからLehman一社の破綻によってAIGに現金の支払い義務は発生しない。WaMuやGSE、Icelandの銀行など、クレジットイベントの累積によって劣後部分の毀損は進んでいると思われるが、平均劣後比率を見る限りは、よほど悲惨な恐慌シナリオでも具体化しないと、元本毀損が将来発生するにしても、大きな損失にはならないのではないか。

以上はAIG自身のDisclosureのサマリーであり、今後も更新される数字を見守る必要があろうが、少なくとも上記の4410億ドルという数字の中からは、Lehmanを参照するCDSの現金決済において支払いを要求されることはないだろう。根本的な問題は、Multi-Sector CDOに含まれる米国住宅ローンの毀損の度合いと、時価評価の下落 and /or AIG自身の格下げによる追加担保差出し責務がさらに拡大することであり、それまでに資産の売却が間に合うかどうかということだ。

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2008.10.20 | Comments(0) | Trackback(0) | CDS

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