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透明性っていいもの?

 週末に行なわれたG20、ウルトラC的な政策の発表があるわけでもなく(あればとっくに発表している?)、斜に構えて見れば、各国の足並みの不揃いを可能な限り隠すのに全力を尽くしたといった印象が残る。各国の景気のさらなる悪化、保護主義や地域紛争、社会不安の台頭、といった流れは阻止するすべもなく、新しい国際金融システム・産業システム・社会システム等を構築するまでに必然的に生じる痛みを、金融政策や財政政策によってどれだけ和らげることができるか、といったところだろうか。

 声明の中にはお決まりのように「金融市場の透明性拡大」が掲げられていた。政治的にも、透明性の推進を強調せざるを得ないのはよくわかるが、一方で実質的にはあまり意味がないことも事実だ。格付けの問題は複雑で多面的であるが、格付け手法自体は従来から透明性は高く、むしろ原資産のデフォルト率の推定や相関の推定を大きく見誤ったという意味で、格付会社の能力に大きな問題があったように思う。また、格付会社が積極的に開示しているモデルやレポートをきちんと咀嚼せずに利用していたユーザー側のリスク管理体制や、民間企業に過ぎない格付会社の意見をあまりにカジュアルに規制の枠組みに組み込んだ規制当局の規制体制も、いまさらではあるが、改善する余地は大きい。

 クレジット・デリバティブにしても、よく言われるように「透明性がない」ことが問題なのではなく、逆説的であるが、「透明性が高すぎた」ことが今回の金融危機に一役買ったように思う。信用リスク商品の代表ともいえる銀行の融資は、そもそもは銀行のバランスシートに塩漬けとなり、可動性もなく、ほとんど開示義務はなく、価格も不透明で、時価評価も不要で、引当てをする・しないも恣意的で、「不都合な真実」を隠すのには適していた。一方、「不都合な真実」を隠しているうちに状況が改善して、波風立たずに水面下で問題が解決することも多くあったのだろう。

 こうした透明性がない世界に、クレジット・デリバティブは容赦なく透明性を持ち込む。信用リスクの移転を可能にすることで、企業の信用力評価に第三者の視点が入り込み、メインバンクが”ここは健全貸出し先”であると主張しても、市場の総意としてのCDSの市場価格がこれに「待った」をかける。会計的にも時価評価して損益計算書に反映することが義務付けられ、恣意的に引当金や準備金を積む世界よりもはるかに透明性は高い。決算報告書を見ても、今回の金融危機が始まる前から多くの主要参加者はCDS関連の情報を保有社債以上に開示していたし、危機の発生後はどこも詳細な開示を行なっている。

 というわけで、「CDSによって透明性が高まってしまい、隠していた不都合な真実が明るみに出て、大手金融機関は早期に損失処理を迫られ、金融危機が早い段階で顕在化した。だから“臭いものにはふた”をして、時価評価もデリバティブもバーゼル規制も廃止して、透明性をなくして危機を克服しよう」と主張するのであれば、賛成はしないが、うなずける部分もある。ナイーブに「金融市場に透明性を」と主張してもどれだけの意味があるのか、非常に疑問である。

 CDS市場の透明性を高めるという大義名分で推進されているクリアリングの話にしても、前回のエントリーのように、メリットと同時にその限界やデメリットにも目を向ける必要がある。日本でも東京金融取引所と東京証券取引所がCDSのクリアリング導入を検討していると報じられているが、最終的には”小さな日本のCDS市場だけのクリアリング”にとどめずに、より広い視点が必要な気もする。(この2取引所がISDAのメンバーになったことを報じた某新聞の記事には、またまた椅子からずり落ちそうになった。民間の銀行・証券・保険・事業会社・法律事務所などがメンバーである業界団体のISDAに加入することで、日本の取引所にNY連銀の監視が行き届くようになると本気で思っているのだろうか、、、。そもそも、当局がISDAを通じて取引の監視を行なっているということころに根本的な事実誤認がある)

2009.03.15 | Comments(2) | Trackback(0) | 市場雑感

劣後債事情

ここ数ヶ月、何度か取り上げた劣後債市場において、先週も色々と動きが見られた。

日本では、金曜日に三菱東京UFJ銀行が個人向け劣後債を条件決定したが、8年で2.75%という水準が受けて発行額は4500億円まで積みあがった。他行にも追従する動きもあるようで、三菱UFJ信託銀行など法人向けの起債もあるが、日本では劣後債権者が切り捨てられるリスクや、コーラブルの劣後債がコールされないリスクについての意識は低いのかもしれない。仕事上の制約がなければ個人的にも三菱東京UFJ銀行の劣後債は検討に値したのだが、8年後の世の中の見通しはまったくもってわからない。

海外では、引き続き、国有化によって劣後債権者が引き捨てられるリスクや、コールされないリスク、クーポンが繰り延べされるリスクなど、神経質にならざるを得ない部分が大きい。先週の木曜日には、イギリス政府は国有化されたBradford & Bigleyの国有化の条件を変更し、この中で、期限付き劣後債の利払いの繰延べを可能とする内容が含まれていた。Tier 1債などと違って、通常期限付き債の利払いは繰延べが認められていなく、これを怠るとデフォルトとなるが、政府がルールを変えることでこの前提が崩れることになる。イギリス政府は、この変更は柔軟性を高めるものであって、実際に利払いの遅延を促すものではないとコメントしているが、市場は敏感に反応して、金融機関の劣後クレジットで構成されるiTraxx sub Financialインデックスは、金曜日に275/300と50bpsほどワイドニングしている。

先週は欧米ともに銀行の株価が悲惨な状態だったが、国有化によって犠牲となるのは、株主だけではなく、債権者にも徐々に広がっていくというリスクを意識せざるを得ない。





2009.02.22 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

Tier1債の下落

海外の大手金融機関の株価が冴えない。政府から出資を受け、それが優先出資証券で普通株よりもシニアになったり、普通株で増資をすれば希薄化を起こしたり、また、ここ1年間の金融機関破綻・実質破綻の例では例外なく普通株主が犠牲になったことを考えれば、いくらヒストリカルにいいレベルでも、いくらチャート上割安に見えても、今積極的に買う理由は少ない。

普通株は銀行のバランスシートの右側の一番下に位置するが、そのすぐ上にくるTier 1債の価格も1月に入って大きく崩れた。下から上へと徐々に歪みが上昇しているわけだが、典型的なのが1月16日に価格100円で条件決定されたLloydsのTier 1債。既存のUpper Tier 2債(Tier 1より一段階シニア)との交換で新たに約20億ポンド発行されたのだが、クーポンが13%の永久債(10年目~20年目にコールあり)で、そこそこの人気から一時は101.50くらいまで価格が上昇した。ところが、直後にRBSが巨額の損失を発表し、国有化によってTier 1債の利払いが停止・先送りされるのではないかとの懸念が台頭、発行されたばかりのLloydsのTier 1債は  101.50から95→85→50円台へと暴落し、1月23日には47/57(価格)といった気配が見られた。

Lloyds以外のTier 1債も当然大幅に下落し、クーポンの不払い懸念から、債券の売買において経過利息のやり取りを行なわないベースでの取引が増加しているようだ。次回の利払いが期待できないのであれば、当然のように経過利息をやり取りする意味がない。

格付会社もこの状況の変化に対応して(いつも後手後手に回るのだが、、、)、S&Pは先週後半に国から出資を受けたFortis、Northen Rock、Commertzなどの一部銀行の下位劣後債(junior sub)を投機的階級へと格下げした。収益性が悪化し、国への依存度が高い中で国がTier 1債を含む下位劣後債をどれだけサポートするかが不透明になり、利払いの停止・延期の可能性が強まったとしている。

国が金融機関をサポートする余力が低下している中で、切り捨てられる部分が増えているという感じがする。さすがに預金とシニア債は死守されるように思うが、株や劣後債の市場が回復するのはまだまだ先のことになるだろう。

2009.02.01 | Comments(4) | Trackback(1) | 市場雑感

コーラブル劣後債のその後

12月のエントリーで書いた、Deutsche Bankがコーラブルの劣後債を暗黙の合意を破って早期償還しなかった件だが、コールをかけるスケジュールの問題なのかもしれないが、今のところ他の大手金融機関で追従したところは聞こえてこない。報道によれば、投資家や投資家団体はDeutsche Bankの債券の不買運動を展開している/しようとしているようで、思ったよりもハレーションが強いという印象がある。これでは、なかなか追従しにくいのだろうか。

Lloydsに実質的に救済されたHBOSは2月上旬にコール日を迎える劣後債が5億ポンドあるが、こちらは特別な事情もあってどうもコールをかけるようだ。事情とは、現在Lloydsが既存の劣後債をさらに支払優先順位の低い劣後債に交換するよう社債保有者に提案していることで、この時期にコーラブルの劣後債のコールをかけずに劣後債の投資家を怒らせるのは得策ではない、との判断だろうか。

投資家の反応に”恐れをなした”他の金融機関が暗黙の合意通りにコールをかけるようになり、DeutscheBankのコールだけが唯一の例外、ということになったとしても、前例ができてしまった以上は、たとえば「当初5年がL+100、後半5年がL+2000」、といったような極端な条件にでもしない限り、今後は同様の仕組みの劣後債の発行は難しくなるだろう。もっとも、政府の保証付きでようやくシニア債を発行できている銀行が大半である中、保証なしで劣後債を発行できるようになるのは、先日のCredit Agricoleのような一部の相対的に余裕のある銀行を除いて当分先の話なのかもしれないが。

そもそもこうした仕組みが定着した大きな要因がBIS規制であり、銀行の資本構造が大きく変化するのに合わせてBIS規制自体も遠くない将来に大きな改定が必要だろうから、コーラブルの劣後債という一世を風靡した商品ももしかしたら絶滅の危機に瀕しているのかもしれない。

2009.01.10 | Comments(0) | Trackback(0) | 市場雑感

2009年が良い年になりますように

 年末ぎりぎりに発表されたGMACの救済プランを受けて、GMACの5年CDSは16%アップフロントまでタイトニングしたようだ。ピークは70%ほどあっただろうか。来年以降につながって欲しいものだ。GMもタイトニングしたが、まだ76%アップフロントといった水準である。

 2009年は、早期の景気回復は期待できないものの、失業率の上昇も経済成長率の下落もデフォルト率の上昇も住宅価格の下落も峠をこえることがどこかで実感できれば御の字だろう。そして、保護主義が台頭して、地域紛争やテロ、戦争などが起きませんように。

 ストラクチャード・ファイナンスやデリバティブの問題点を洗い出して、今後の姿を占うという問題意識を持ってはじめたこのブログも、大量生産される”にわか専門家”による椅子からずりおちそうになる議論のあげ足をとるだけで終わってしまったような気がする。先日も、「SIVのせいでCDSが62兆ドルに膨れ上がった」ということを話している”専門家”がいました、と後輩から教えてもらったが、議論を展開しているのは実務家どころか金融の専門家ですらないとのことだ。王・長島の野球解説には耳を傾けたいと思うが、運動神経ゼロの”なんでもコメンテーター”が上原のピッチングを解説しても、だれも聞きはしないだろう。

 来年は、PCに接する時間を極力減らそうと思います。ブログの更新も減るかと思いますが、ご興味があればお付き合い頂ければ幸いです。2009年が良い年になりますように。

2008.12.31 | Comments(2) | Trackback(0) | 市場雑感

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